佐賀大学動物実験安全管理細則
(平成19年2月21日制定)
 (趣旨)
第1条 この細則は佐賀大学動物実験安全管理規則(平成19年2月21日制定。以下「規則」という。)第37条の規定に基づき,動物実験等の手続及び審査等に関して,必要な事項を定めるものとする。
 (動物実験の倫理基準)
第2条 規則第13条の動物実験計画書には,別紙に定める倫理基準(カテゴリーA〜E)に対する自己判断を行い,その結果を記載するものとする。ただし,カテゴリーAの実験については,当分の間,規則第13条は適用しないものとする。
 (申請及び報告・届出等)
第3条 規則第13条第1項,第13条第2項,第14条第2項,第15条第1項,第17条第1項及び第20条第1項に規定する申請,報告及び届出等は,別表に定めるところによって行うものとする。
 (動物実験計画の立案)
第4条 規則第13条第1項に定める動物実験計画の立案については,次に掲げる基準によらなければならない。
(1) 研究の目的,意義及び必要性を明確にすること。
(2) 代替法を考慮して,実験動物を適切に利用すること。
(3) 実験動物の使用数削減のため,動物実験等の目的に適した実験動物種の選定,動物実験成績の精度と再現性を左右する実験動物の数,遺伝学的及び微生物学的品質並びに飼養条件を考慮すること。
(4) 苦痛の軽減により動物実験等を適切に行うこと。
(5) 苦痛度の高い動物実験等,例えば,致死的な毒性試験,感染実験,放射線照射実験等を行う場合は,動物実験等を計画する段階で人道的エンドポイント(実験動物を激しい苦痛から解放するための実験を打ち切るタイミング)の設定を検討すること。
 (動物実験計画の審査)
第5条 動物実験計画書の審査は,次に掲げる要領で行うものとする。
 (1) 動物実験計画に伴う関係書類の手続は,佐賀大学総合分析実験センター生物資源開発部門実験動物担当(以下「実験動物担当」という。)受付を通して行う。
 (2) 実験動物担当の専任教員は,すべての動物実験計画書を事前審査し,記載事項等に不備を認めた場合は申請者に指導を行い,訂正の後に動物実験計画書を受理する。
 (3) 受理された動物実験計画書のうち,審査結果が容易に推定できるものについては,規則第11条に規定する専門委員会において審査を行う。
 (4) 専門委員会において,判断・調整が困難な動物実験計画については,委員会を開催し,動物実験計画の審査を行う。
 (動物実験計画の変更)
第6条 動物実験等の中途において,実験方法の変更を要する場合は,別表に定める様式により,審査を受けなければならない。
 (動物実験等の終了・中止)
第7条 動物実験等を終了又は中止した場合は,別表に定める様式を提出するものとする。
 (実験の有効期限)
第8条 通知書により承認された動物実験の有効期限は,承認された日から2年以内とし,実験期間が2年を超える実験については,2年ごとに動物実験計画書を提出しなければならない。
 (証明書の発行)
第9条 学長は,第5条に規定する審査を受け,かつ,計画どおりに行われている動 物実験については,動物実験責任者が要求する審査に関する証明書を発行することができる。
 (飼養保管施設の要件)
第10条 規則第16条に定める飼養保管施設は,次に掲げる要件を満たすものとする。
(1) 適切な温度,湿度,換気,明るさ等を保つことができる構造等とすること。
(2) 動物種や飼養保管数等に応じた飼育設備を有すること。
(3) 床や内壁などが清掃,消毒等が容易な構造で,器材の洗浄や消毒等を行う衛生設備を有すること。
(4) 実験動物が逸走しない構造及び強度を有すること。
(5) 臭気,騒音,廃棄物等による周辺環境への悪影響を防止する措置がとられていること。
 (6) 実験動物管理者が置かれていること。
 (実験室の要件)
第11条 規則第18条に定める実験室の要件は,以下のとおりとする。
(1) 実験動物が逸走しない構造及び強度を有し,実験動物が室内で逸走しても捕獲しやすい環境が維持されていること。
(2) 排泄物や血液等による汚染に対して清掃や消毒が容易な構造であること。
 (3) 常に清潔な状態を保ち,臭気,騒音,廃棄物等による周辺環境への悪影響を防  止する措置がとられていること。
 
 
   附 則
 この細則は,平成19年4月1日から施行する。
 
 
別表(第3条,第6条,第7条関係)
事  項 様 式 等
規則第13条第1項関係 様式1−1 佐賀大学動物実験計画書
規則第13条第2項関係 様式1−2 動物実験審査結果通知書
規則第14条第2項関係,
細則第7条関係
様式2 動物実験結果(終了・中止)報告書
 
規則第15条関係 様式3 飼養保管施設設置承認申請書
規則第17条関係 様式4 実験室設置承認申請書
規則第20条関係 様式5 施設等(飼養保管施設・動物実験室)廃止届
細則第6条関係 様式6 動物実験計画(変更・追加)承認申請書
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
別紙(第2条関係)
 倫理基準に基づいたヒト以外の動物種を用いた生物医学実験の分類











 
カテゴリーA カテゴリーB カテゴリーC カテゴリーD カテゴリーE
○生物を用いない 実験又は植物, 細菌原虫若しく は無脊椎動物を 用いた実験





 
○脊椎動物を用い た実験で,動物 に対してほとん ど,あるいはま ったく不快感を 与えないと思わ れるもの



 
○脊椎動物を用い た実験で,動物 に対して軽微な ストレスあるい は痛み(短時間 持続する痛み) を伴う実験



 
○脊椎動物を用い た実験で,避け ることのできな い重度のストレ スや痛みを伴う 実験




 
○麻酔していな い意識のある 動物を用いて, 動物が耐える ことのできる 最大の痛みに 近い痛み,あ るいはそれ以 上の痛みを与 えるような処 置
















































 
○生化学的,植物 学的,微生物学 的研究
○無脊椎動物の研 究
○組織培養,剖検 により得られた 組織を用いた研 究
○屠場から得られ た組織を用いた 研究
○発育鶏卵を用い た研究



































 
○実験の目的のた めに動物をつか んで保定するこ と
○あまり有害でな い物質を注射し たり,あるいは 採血したりする ような簡単な処 置
○動物の体を検査 すること
○深麻酔により意 識のない動物を 用いた実験
○短時間(2〜3時 間)飼料や水を 与えないこと
○標準的な安楽死 法で瞬時に殺処 分できる場合, 例えば,大量の 麻酔薬の投与, 軽く麻酔をかけ 鎮静状態に陥っ た動物を断首す ることなど





















 
○麻酔状態で血管 を露出させた  り,カテーテル を長時間挿入す ること
○行動学的実験に おいて,意識あ る動物に対して 短時間のストレ スを伴う保定を 行なうこと
○フロイントのア ジュバントを用 いた免疫
○苦痛を伴うが, それから逃れら れる刺激
○麻酔状態におけ る外科的処置  で,処置後も多 少の不快感を伴 うもの


























 
○行動学的実験に おいて,故意に ストレスを加え ること
○麻酔状態におけ る外科的処置  で,処置後に著 しい不快感を伴 うもの
○苦痛を伴う解剖 学的あるいは生 理学的処置
○苦痛を伴う刺激 を与える実験  で,動物がその 刺激から逃れら れない場合
○長時間(数時間 あるいはそれ以 上)にわたって 動物の体を保定 すること
○母親を処分して 代理の母を与え ること
○攻撃的な行動を とらせ,自分自 身あるいは同種 他個体を損傷さ せること
○麻酔薬を使用し ないで痛みを与 えること,例え ば毒性試験にお いて動物を死に 至らしめる場合○動物が耐えるこ とのできる最大 の痛みに近い痛 みを与えるこ  と,つまり,動 物が激しい苦悶 の表情を示す場 合,例えば放射 線障害を引き起 こすこと,ある 種の注射,スト レスやショック の研究など
○手術する際の 保定のため, 麻酔薬を使わ ずに,筋弛緩 薬あるいは麻 痺性薬剤,例 えばサクシニ ルコリンある いはその他の クラーレ様作 用をもつ薬剤 を使うこと
○麻酔していな い動物に重度 の火傷や外傷 をひきおこす こと
○精神病のよう な行動をひき おこさせるこ と
○家庭用電子レ ンジあるいは ストリキニー ネを用いて殺 すこと
○避けることの できない重度 のストレスを 与えること
○ストレスを与 えて殺すこと
















 












 
☆無脊椎動物も神 経系を持ってお り刺激に反応す る。したがって, 無脊椎動物も人 道的に扱わなけ ればならない。





 












 
☆カテゴリーCの 処置は,ストレ スや痛みの程  度,持続時間に よって,いろい ろな配慮が必要 になる。





 
☆カテゴリーDに 属する実験を行 なう場合には, 研究者は動物に 対する苦痛を最 小限のものにす るために,ある いは苦痛を排除 するために別の 実験計画を考案 する責任があ  る。
 
☆カテゴリーE の実験は,そ れによって得 られる結果が 重要なもので あっても決し て行なっては ならない。