広報誌「かちがらす」23号

広報誌「かちがらす」23号 page 9/16

電子ブックを開く

このページは 広報誌「かちがらす」23号 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
文化教育学部美術・工芸講座准教授とく やす かず ひろ德安 和博快挙! 2度目の日展特選を受賞第41回日展特選 『Spiral』第43回日展特選 『束』この度、第42回日展第3科(彫刻)におきまして、二回目の特選を受賞さ....

文化教育学部美術・工芸講座准教授とく やす かず ひろ德安 和博快挙! 2度目の日展特選を受賞第41回日展特選 『Spiral』第43回日展特選 『束』この度、第42回日展第3科(彫刻)におきまして、二回目の特選を受賞させて頂いた事に、まず、関係各位の皆様に厚く御礼申し上げます。彫刻作品の制作にあたって私がいつも大切にしている事は、作家自身のメッセージを鑑賞者に読み取らせる仕掛けよりも、なんとなく心地よい感じがしたり、触ってみたくなるような仕掛けを丁寧に作ることです。一回目の特選を頂いた『Spiral』は、題名のとおり螺旋構造をわかりやすく見える状態にし、人体を自然な状態で捻れるだけ捻ったらどうなるか、という実験的な作品でした。螺旋構造を意識的に人体の形に取り込む事で、粘土のかたまりに生物らしい自然さや、身動きするかのような錯覚を作り出す事ができます。『Spiral』は結果として、捻れたことによる効果は表現できたと思いますが、これは前者の仕掛けに近い要素のものになってしまったので、後者の仕掛けに相当する彫刻の本質としての量感表現が薄まってしまった事が反省点として残りました。その反省を踏まえて、二回目の特選の『束』では、彫刻表現の原点である量感表現に真正面から取り組みました。つまり、なんとなく心地よい感じがしたり、触ってみたくなるような仕掛け作りに没頭したわけです。 結果として、私が狙って行ったその量感表現はこれまでで一番よくできたと思っていますし、日本芸術院会員の先生方を始め、美術評論家の方からもお褒めの言葉をいただくことができました。そして評価をいただいた点が、私が狙った量感表現という仕掛けに対してであったので、とても嬉しく感じています。しかし、量感が豊かであることはそもそも彫刻作品の大前提です。ですから、今回をもってようやく彫刻制作のスタートラインに立てた、というだけの事なのかもしれません。今回は偶然にもこのような栄誉を授かることができました。偶然もじっとしている間は近づいてこないので、これまで迷い、悩みながらでも走ってこれてよかったと思っています。スタート地点をみつけたとはいえ、さてこれからどの方向に走っていくべきか今はまだわかりません。しかしこれからも素晴らしい偶然を自分の方にたぐり寄せる為には、直感を信じつつ、息切れしない速さで走り続けなければならないと強く思っています。トピックス8 学生指導の様子制作風景