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教育学部特別教科(美術・工芸)教員養成課程・昭和58年卒業つかもといいちろう塚本猪一郎さん今回は、佐賀在住で、制作・個展活動を中心に画家として活躍されている塚本猪一郎さんにお話を伺いました。塚本さんは、詩人の谷川俊太郎氏とのコラボレーションや、全国各地での展覧会など幅広く活動されています。また、3年前から現在に至るまで計29点の作品を佐賀大学医学部附属病院に寄贈されています。【絵を寄贈されるきっかけは?】父親が大腸癌で県内の病院に入院していた時、手術しても余命半年かもしれないと言われていました。しかし病室は6人部屋で、ベッドの横にポータブルトイレがあり、まるで野戦病院のような雰囲気でした。すぐ退院できる人はいいかもしれないが末期の人がこの環境では……と思い、かけあってホスピスに移してもらいました。そこは180度違う環境で、家族と過ごせる4畳半の畳の部屋があり、キッチンやシャワーもあり、その部屋には絵も掛けてありました。病院はこういう環境じゃなきゃいけないと、その時思いました。そんな時、医学部附属病院長の宮﨑耕治氏から絵の寄贈の話があり、お受けした訳です。宮﨑さんは、佐賀県立佐賀西高校の先輩後輩の仲で昔からの知り合いでした。よく個展に来ていただいていて、それがきっかけです。【大学時代の思い出】自分の人生の中で自分を見つめることが一番できた最高の時間だったと思います。「大学生」ということで何もしなくても許される。大学に所属していなければ周りから「なんしよっと?」と言われますよね。そうすると自分も不安になる。すると自分のことを冷静に見つめられなくなる。働かなければいけない、何かをしなければいけないと考えるようになりました。でも大学時代というのは、ピュアな、フラットな状態で自分のことを考えることができます。そして周りにもそういう友達がいる。そういう中で将来のこととか芸術のこととかを、損得抜きで、議論したり話したりできたことがとても良かったですね。【思い出に残る先生】深草廣平先生、小川泰彦先生、城秀男先生、山本民二先生、宮尾正隆先生、たくさんの先生がいらっしゃいましたが、一番付き合いが長かった深川善次先生を抜きにしては語れません。深川先生は西高時代の美術の先生だったのですが、僕が大学に入学したのと一緒に、先生も佐賀大学に(教師として)来られたのです。深川先生からは今でも一番印象に残っている言葉をもらいました。「純粋に個人的なことは普遍的なことなんだよ」附属病院に寄贈された絵画病院個室に飾られている絵画純粋な「個」と向き合い見えてくるもの活躍する佐大OB3