慢性骨髄性白血病、第二世代ABL阻害剤で高率に治癒が期待できることが判明しました

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慢性骨髄性白血病、第二世代ABL阻害剤で高率に治癒が期待

 

 慢性骨髄性白血病は、造血幹細胞移植が成功する以外、どんなに抗がん剤で治療をしても数年前後で死亡する「不治の病」であった。2001年に、慢性骨髄性白血病の原因である、がん蛋白 BCR-ABL をピンポイントで攻撃する第一世代ABL 阻害剤イマチニブ(商品名;グリベック)が発売され、予後は劇的に良くなった。しかし、毎月自己負担額が数万円となるイマチニブを飲み続けなくてはならないという問題が出てきた。最近、一部の患者でイマチニブを中断しても再発がないことが報告され、注目をされた。

 

 2009年にイマチニブよりBCR-ABLに対する効果が325倍強力で、しかも免疫細胞を増加させる効果もある第二世代ABL阻害剤ダサチニブ(商品名;スプリセル)が発売された。佐賀大学医学部 血液・呼吸器・腫瘍内科 木村晋也教授は、より強力で、しかも免疫作用も利用できるダサチニブであれば、イマチニブより短期間で多くの患者で治療を中断できると考えた。そして研究表者として、全国41ヶ所の病院と協力し、ダサチニブで1年以上BCR-ABLが検出されない慢性骨髄性白血病患者を対象に、治療を中断する臨床試験(DADI試験)をおこなった。この結果は、ダサチニブという飲み薬だけで慢性骨髄性白血病と言う難治性の血液がんが、治癒する可能性を示す画期的なものであった。またダサチニブ内服中に免疫細胞の一つであるエヌケー細胞が増えた患者では、非常に高い確率で中断が可能であることを発見し、ダサチニブを中断する際の重要な指標となり得ることを示した。

 

 本DADI試験の結果は、ランセット ヘマトロジー誌に2015年11月10日にオンライン版で掲載される。

 

 注* Lancet は、New England Journal of Medicine と並ぶ臨床医学最高峰の雑誌であり、Lancet Haematology は、Lancet の姉妹紙として血液疾患に特化した、非常に注目度の 高い雑誌である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【本件に関するお問い合わせ先】

    佐賀大学医学部 血液・呼吸器・腫瘍内科

    教授 木村晋也

    電話 0952-34-2366(血液・呼吸器・腫瘍内科秘書) shkimu@cc.saga-u.ac.jp

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