重症虚血肢に対するHGF遺伝子による血管新生療法(先進医療)を実施します

PRESS_RELEASE

 

重症虚血肢に対するHGF遺伝子による血管新生療法(先進医療)の実施

 

1.要旨

   佐賀大学医学部附属病院循環器内科では,重症虚血肢に対するHGF遺伝子による血管新生療法(先進医療)を実施して

  います。この先進医療は,薬物療法による効果が思わしくなく,手術療法が困難な安静時疼痛や潰瘍でお困りの閉塞性動

  脈硬化症やバージャー病の患者様を対象としています。

   この先進医療を行うことによりHGF遺伝子(遺伝子治療薬AMG0001)の有効性や安全性を探索的に検討し,将来的に

  薬事承認を取得することにより,一般的な治療法として普及させることを目指しています。

 

2.開発の背景

   足の動脈の狭窄や閉塞により血液の流れが悪くなり発症する閉塞性動脈硬化症やバージャー病は,病状が進行すると安

  静時疼痛や虚血性潰瘍が発症し,重症化すると下肢の切断の可能性もある重篤な疾患です。特に,内科的治療に抵抗性で,

  バイパス手術などの外科的治療の適用が困難な患者への治療法は確立されておらず,新規治療法の開発が望まれています。

   この先進治療で用いるHGF遺伝子は,AMG0001と呼ばれるHGF(肝細胞増殖因子)遺伝子を組み込んだ遺伝子治療薬

  (プラスミドDNA)です。AMG0001が発現するHGFタンパク質の血管新生作用により,これまでにない作用機序の重症

  虚血肢に対する治療薬として注目されています。この先進医療と同様の臨床試験は,これまで大阪大学やアンジェスMG

  株式会社でも実施され,重症虚血肢の安静時疼痛及び潰瘍症状の改善効果がみられていますが,未だ薬事承認には至って

  いない状況です。現時点では,アンジェスMG株式会社による重症虚血肢に対するAMG0001の国内開発が予定されてい

  ないことから,薬事承認を目指す医師により,この先進医療が実施されています。

 

3.研究の内容

   遺伝子治療薬 AMG0001は注射剤で, 虚血部位の筋肉内に4週間おきに2回又は3回投与されます。 初回投与の前に

  2週間の前観察期間があり,この先進医療への参加の適格性を判断するために検査や観察が実施されます。AMG0001の

  1回目の投与から12週後に,安静時疼痛の程度もしくは潰瘍の大きさなどに改善が見られたかどうかが評価されます。

  その後も,安全性を確認するための追跡調査が実施されます。

 

4.今後の展望

   本先進医療は大阪大学医学部附属病院を中心に実施され,全国6施設で実施されています。この先進医療の成果を活用

  し,遺伝子治療薬AMG0001の開発企業であるアンジェスMG株式会社が薬事承認を取得することにより,AMG0001の

  重症虚血肢に対する新規治療法が広く一般な治療法として普及されることを期待しています。

 

5.本研究に関する照会先・問い合わせ先

   佐賀大学医学部 循環器内科 野出孝一 (TEL:0952-34-2364)

 

戻る

TOP