慢性骨髄性白血病患者,わずか3年の内服で薬が不要となる患者が半数以上。 佐賀大学医学部木村晋也教授らが報告

PRESS_RELEASE

 慢性骨髄性白血病(CML)は,2001年に特効薬メチル酸イマチニブ(商品名;グリベック)が発売されるまで,骨髄移植以外では,どんなに抗がん剤で強力に治療しても数年以内に全ての患者が死亡する難治性の血液がんであった。イマチニブを内服さえすれば,ほぼ健常者と同じ予後が得られるようになった。しかしイマチニブでは,完治することはなく生涯にわたり薬を飲み続ける必要があると考えられていた。フランスのグループが,イマチニブを服用して2年以上CMLの原因遺伝子が陰性の患者では,内服を中止しても約4割は再発をしないことを報告した。しかし止められるとしても最低5年から7年はイマチニブの服用が必要とされてきた。その間,患者は高額な医療費や長期投与による副作用に耐える必要があった。

 

 2009年にイマチニブより強力なダサチニブ(商品名スプリセル)が発売された。そこで佐賀大学医学部内科学講座の木村晋也教授らのグループは,ダサチニブであれば,より短期間でより多くの患者が薬不要となると考えた。木村晋也教授を研究責任者として,全国23の病院の多施設共同で,初診時からダサチニブを服用したCML患者においてダサチニブの中止試験 (ファースト DADI 試験)を2013年に開始した。その結果,ダサチニブ服用によってCMLの原因遺伝子の陰性が1年以上持続した患者においては,わずか中央値40ヶ月(3年4ヶ月)で55%の患者がダサチニブを中止しても再発しないことを突き止めた。初診時から服用のダサチニブの中止試験としては世界初の報告であり,またCMLの特効薬中止までの期間としては世界最短の結果であった。

 

 本研究は,ランセット・ヘマトロジー誌で発表された。本研究結果は,3年程度の服用で内服を止められる患者が一定数いるという画期的なもので,患者個人の経済的負担のみならず医療経済上も非常に意義の高いものである。

 

 

【本件に関するお問い合わせ先】

  佐賀大学医学部内科学講座 血液・呼吸器・腫瘍内科

  教授 木村晋也

  TEL: 0952-34-2366,FAX: 0952-34-2017

  E-mail: shkimu@cc.saga-u.ac.jp

戻る

TOP