佐賀大学プロジェクト研究所(SUPLA)
Saga University Project Laboratories

■糖尿病足病変予防戦略研究所

研究所名称 佐賀大学 糖尿病足病変予防戦略研究所
 所   長  医学部附属病院 形成外科 上村 哲司
 研 究 員 上村哲司,安西慶三,松尾清美,萩原世也,杉岡 隆,楊井 晢,安田聖人, 原田慶美,上口茂徳,川崎東太,竹之下博正,菊池 守
 研究テーマ 糖尿病足病変における新規予防戦略の確立
 研究概要

【研究概要】
 糖尿病の合併症としての糖尿病足病変は全世界で急増している。糖尿病足病変は難治性であり、進行すれば下肢の切断に至るため、 その医療費におけるインパクトは計り知れない。糖尿病は本邦で1000万人に到達しており、現在も罹患人口は増加中である。 今後、糖尿病罹患数が1億人といわれる中国、インド、東南アジアにおいて爆発的に急増(パンデミック)すると予想されている。 今後のアジアでの糖尿病性足病変に対し、日本は主導的立場になるべき役割を持つ。糖尿病性足病変・足潰瘍の病態を把握し、 切断への進行を阻止して歩行を維持するための治療戦略の構築及び発症を未然に防ぐ予防治療の確立は我々の急務である
【研究計画】
  本研究者は、今まで継続してきた4つのテーマを軸として研究を更に進める予定である。
 ① 糖尿病の進行と歩行の関連を明らかにし、糖尿病足病変の発生を予防する治療方法を確立する。
 ② 糖尿病足病変の発生を有効に予防する靴の開発を行う。
 ③ 足の切断に至る原因となる急性感染を簡便かつ早期に診断する診断方式を確立する。
 ④ 糖尿病足病変の原因となる神経障害自体を改善させる治療の可能性について検証する。
 それぞれについて既に科学研究費補助金を取得もしくは申請中であり、プロトコルに従って3年を目途に研究を行う。 また、新たな研究シーズが発生した場合は、随時、プロトコールを作成し、外部資金の獲得を目指す。
 【方法】
 ① 糖尿病の進行と足の変形、歩行の容態、関節可動域などの関連を明らかにすることで、糖尿病足病変へ進展する前の発生を予防する治療方法を確立する。 ⇒糖尿病内科、形成外科、リハビリテーションが共同で、糖尿病外来を受診する患者を中心に初期、中期、進行糖尿病患者の関節可動域、足底圧、歩行の安定性、 足底所見などを記録し、糖尿病の進行度と足部、歩行の変化の相関を検討する。
 ② 糖尿病足病変を持つ患者の歩行および足底の圧の変化を解析し糖尿病足病変の発生を有効に予防する靴の開発を行う。 ⇒足部CTモデルと足底圧データから三次元的側圧分布の予測を理工学部と共同で行う。モデルの作成から足圧分散をシミュレーションし、現在形成外科と産学連携を行っている アサヒコーポレーション社と共に靴の開発を行う。
 ③ 糖尿病足病変から足の切断に至る第一の理由である急性感染を感染創部局所の血糖値の変動に着目することで簡便かつ早期に診断する診断方法を確立する。 ⇒糖尿病内科と形成外科が共同で、感染から外科手術に至った患者の持続血糖測定を行い、糖尿病の重症度や全身の血糖値の変動との相関、局所血糖値からの感染の予測の可能性を検討する。
 ④ 糖尿病足病変の原因となる糖尿病性神経障害と足根管症候群との関連を明らかにし、糖尿病性神経障害自体を改善させる治療の可能性について検証する。 ⇒糖尿病内科と形成外科が共同で、糖尿病性神経障害と診断されている中での足根管症候群との合併症例の頻度についての疫学的調査を行い、さらにその治療ストラテジーを確立する。

【研究所の意義】
これらの先進的な予防戦略を開発するためには、診療とともに多くの診療データ収集や検証が必須であり、共同研究体制の形成が必須である。本研究所は創傷外科医である形成外科医、 糖尿病を全身としてとらえる糖尿病内科医、動作解析を行う福祉健康科学部門、予防のための靴を開発する理工学部が共同で糖尿病足病変を見直し、その発生を予防する新しいストラ テジーを確立するために行うものである。それぞれ異なった専門分野を持つ研究員が横断的に連携することで新たな研究のイノベーションが期待される。
 本研究所の目的は糖尿病足病変に対する積極的予防戦略を開発することである。本研究 を進めることにより今後増加する重症糖尿病患者の足病変の進行を防ぎ、 QOLの著しい低下を予防することが可能になる。
 また、糖尿病足病変は長い治療期間と多額の医療コストが必要になることからこれを予防することで将来的にかかる莫大な医療コストを抑制することが期待される。

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