佐賀大学プロジェクト研究所(SUPLA)
Saga University Project Laboratories

■インフラ構造物長寿命化研究所

研究所名称 佐賀大学 インフラ構造物長寿命化研究所
 所   長 工学系研究科 伊藤 幸広
 研 究 員 石橋孝治、井嶋克志、帯屋洋之、日野剛徳、三田勝也
 研究テーマ インフラ構造物の維持管理に係る技術者育成および調査・診断方法に関する研究
 研究概要 【研究概要】
 長年月供用したトンネル、橋梁の道路構造物が劣化などにより一部もしくは大規模な崩落を起こし、人命を奪う大事故に至るケースが見られるようになってきた。 平成19年8月に発生した米国のミネアポリス高速道路橋崩落事故では、13名が死亡し145名以上が負傷おり、平成24年12月の笹子トンネルの天井板落下事故では9名が死亡した。 我が国では高度経済成長期に数多くの橋梁,トンネルが建設されており、老朽化したインフラ構造物の安全確保や社会問題化している。政府はこれらを受けて、 平成26年7月に道路法の一部を改正し、全国の橋梁(約70万橋)・トンネル(約1万本)を、5年に1回の頻度で近接目視により点検することをインフラの管理者に義務付けた。 しかし、今後増加する老朽化インフラの維持管理を合理的に行っていくためには、維持管理の担い手の教育・育成や非破壊検査等による調査・診断技術の開発が喫緊の課題 である。

 平成24年度には、佐賀大学都市工学専攻の社会基盤系教員で構成されるインフラ構造物長寿命化研究所を設立し、佐賀県および市町の維持管理に関する各種技術的支援を 行ってきた。これまでの3年間で7回のインフラ構造物長寿命化研修会を開催し、県内の技術者教育を実施してきたが、まだ十分とは言えず自治体や民間企業からの継続の要望が強い。 平成28年度以降も公益社団法人佐賀県建設技術支援機構と連携して技術研修会を開催するとともに、県および県内市町からの維持管理に関する技術相談に対応する予定である。

 上記のような維持管理に関する要望に応えるためには、県内の老朽化したインフラ構造物の実態把握や劣化原因の究明が不可欠であり、可能な限り多くの情報を収集して データベース化する必要がある。これまでに行ってきたように、撤去される構造物があれば管理者の協力を得て試料の提供を受けて詳細な劣化調査を実施し、報告書として記録に 留めることを継続して行う。また、人口減少社会における持続可能なインフラ整備についても調査・研究を行う。現段階では道路施設のコンクリート構造物への対応が中心であるが、 ダムや排水機場等の河川構造物の検討をし始めている。自治体が維持管理するインフラは他にも、盛土、切土斜面、上下水道、ため池堰堤や公共建築物と多岐にわたり、各構造物の 要求性能に応じた維持管理の対応が求められることになる。将来的には、調査・修繕の対象となるインフラの数は増加し、調査・修繕が困難な場合や特殊な事例も増えることが予測 される。当面、貯水堰堤等の土構造物や照明塔、ゲート、貯水槽等の鋼構造物に対して研究範囲を拡大していく予定である。

 重要な課題である非破壊検査等による調査・診断に関する技術開発も平行して行う。過去3年間においてインフラ構造物の調査・診断に係る特許を6件出願した。 現在もNEXCO西日本や民間企業などから技術開発の要請があり、継続して研究開発を行っていく。

 インフラ構造物長寿命化研究所の最終目的は、「点検とモニタリング(定期健康診断)」、「健全性評価(診察,耐震も含む)」、「詳細調査と劣化分析(病状判断)」、 「補修と補強(治療や手術)」という一連のプロセスをサイクルとして機能させるインフラマネジメントシステムの構築にあり、研究を段階的に進めている過程にある。 インフラ構造物長寿命化研究所の維持管理に係る産学官の連携体制を次に示す。


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