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わがふるさと佐賀への想い - 佐賀大学へエールを込めて -

 
20151116taidan-top

元内閣官房副長官の古川貞二郎氏(左)と、宮﨑耕治学長(右)

学長:
 今回お迎えしたのは、元官僚トップとして8年7カ月にわたり内閣官房副長官を務められた古川貞二郎先生です。古川先生は、村山首相から小泉首相まで、5代の首相に仕えながら日本の政治の中枢で活躍されてきました。佐賀市大和町のご出身で、平成23年(2011年)には佐賀大学医学部附属病院の30周年式典で記念講演をしていただきました。その際、病院の屋上をご案内させていただきましたが、北側の脊振山系の方を向かれて「私のふるさとはあの辺りだよ」と指をさされたことを今でもおぼえています。まずは、ふるさと佐賀に対する先生の想いを聞かせてください。

 

古川先生:
 まさに佐賀は私の原点です。もちろん、開発などで発展し昔見た風景とは変わってしまいましたが、心の中には父がいて母がいて、姉や妹、友達がいて、秀峰天山が見えて、川が流れてお地蔵さんがいる、あの頃のふるさとが常にあります。中学の頃に読んだ『葉隠聞書』の「一念一念と重ねて一生になり」は、私の座右の銘になっています。“ねん”は年ではなく念じるということ。私なりに解釈すると、一瞬一瞬を大事にして生きる、その積み重ねが人の一生ではないかということです。まさに若い頃、佐賀で過ごした一瞬一瞬が、私の人生の支えになっています。

 

学長:
 佐賀県人として、ふるさと佐賀に対する先生の思いは本当に嬉しいですし、佐賀大学にもぜひエールを送っていただきたいと思います。今、大学は大きな変革期を迎えており、個性や特色を出さなければ生き残れない時代です。佐賀大学では地域に必要とされる大学を目指し、地域の課題解決に取り組むCOC(Center Of Community)に重点を置いています。最近盛んに言われている「地方創生」においては、地域社会に貢献する人材を育成していくという点で、大学も大きな役割を担っていると言えますが、古川先生はどのように地方創生を進めるべきだとお考えでしょうか。

 

古川先生:
 まずは、いかに魅力のある地域にするかということです。魅力とは、若者が働きたいと思える仕事があるとか、ゆったりとした空気が流れていて暮らしやすいとか。もちろん、それは簡単なことではなく、地域の中で知恵を出し合って工夫をしなければならないし、地方活性化のためには都会から地方に会社や工場を移転するための税制を優遇するなど国と一体となった取り組みも必要です。大学は、国・自治体と地域社会をつなげる存在だからこそ、その役割は今後ますます大きくなると言えるでしょう。

 

学長:
 私自身も地元が佐賀ですが、あらためて思うことは歴史的にみても佐賀は素晴らしいところだということです。近代医学の発祥は佐賀ですし、明治の産業革命の原動力になったのも佐賀。私たちは、そういった佐賀の歴史や文化をもっと誇りに思っていいし、佐賀大学の学生にも、こんな素晴らしいところで学んでいるんだということを伝えたい。有田町の佐賀県立有田窯業大学校が佐賀大学に統合されるのに伴い、平成28年(2016年)4月から芸術地域デザイン学部がスタートしますが、学生たちには学部の垣根を越えた広い視野で、文化的・芸術的な理解を広げてもらいたいと考えています。

 

古川先生:
 自分の専門の学問だけでなく、何か興味があるものを持つということは学生生活において非常に重要なことです。人の一生は限られていて、とくに若い時の経験は限られている。だからこそ歴史を学ぶことで、真摯に生きた人の経験を知り、刺激を受けてほしい。たとえば、幕末から明治にかけての佐賀は、近代日本をリードするような優秀な人材を多数輩出してきました。鍋島閑叟というトップリーダーがいたこともありますが、当時の佐賀藩は長崎警備を担当していたことから、いち早く西洋文明を取り入れることができ、それに刺激された若者たちがたくさんいました。その頃の佐賀を知るだけでも、勇気や力がわいてくるんじゃないでしょうか。今の若者に不足しているのは、考える力や想像力ではないかと思います。子供を中心にできれば地域の青年も加え、ときには先生も参加してグループで未来について語って佐賀の歴史を学んで色んな話をして、幕末の若者たちが西洋の新しい文化にワクワクしたように、学生たちにもワクワクした気持ちを持って欲しい。そういった刺激を受けることで、人間はどんどん強くなっていくと思います。

 

学長:
 これからは不確実性の時代に入っていくので、多様性のある人間を育てないと社会の変容に対応できません。佐賀大学でもそういった教育に取り組んでいますが、多様性のある人材の教育というのはなかなか難しいですね。

 

古川先生:
 多様性はものすごく大事なことで、私は新しい発展の姿は多様な人々との「出会い」から生まれると思っています。つまり自分とは違った業種や違った経験を持つ人、違った国の人など、自分と異なる人と出会い、交流することで多様性のある人間が形成されると思います。そういったことを通して、学生の皆さんには知識だけでなく、物の考え方、発想の仕方、生き方を身に付けて欲しい。

 

学長:
 古川先生は国家公務員としては頂点のポストで長い期間ご活躍されてきましたが、佐賀大学でも公務員を志望する学生がたくさんいます。安定した職業だからと親に勧められたり、自らの意志で国民のために尽くしたいと思ったり、モチベーションはさまざまですが、公務員志望が多いことをどう思われますか。

 

古川先生:
 非常にいいことだと思います。ただし、どこでもいいから公務員になりたいのではなく、国や地域社会のためにこういうことがやりたい、という目的意識を持つことが大切です。目的意識があって、意欲があれば勉強の仕方も違ってくるし、合格率も高くなるはず。ただ単に公務員になりたい人と、やりたいことや目的意識があって公務員になる人では、その後の人生も大きく違ってくるはずです。

 

学長:
 古川先生は最初から厚生省が希望だったんでしょうか。

 

古川先生:
 実家が農家で、私は父親が数えの45歳、母親が41歳の時に生まれた子どもです。だから中学時代には父は60歳になっていたんですが、今と違って当時の60歳といえばおじいさんです。老いた両親が朝から晩まで働く姿を見て育ち、自分も子供の時から田畑の手伝いなどして育ちました。そんなことから一生懸命働いた人の老後は幸せであるべきだと思いました。そういった社会を作るには、どこが一番ふさわしいかと考えた時、それは厚生省ではないかと思ったので進むべき道を決めました。そういった目的意識と強い意欲があったからこそ、失敗してもめげることはなかったし、想いを叶えるために勉強もしました。

 

学長:
 試験に合格するためのノウハウだけでなく、「公務員になってどんなことをやりたいのか」、「なんで公務員になりたいのか」、具体的な目的意識を持てるような進路指導が学生たちには必要ですね。

 

古川先生:
 「安定しているから」という理由だけなら、公務員にならない方がいい。中途で意欲を失ってしまいます。生涯の職業を選ぶにはきっと必ず強い動機があるはずです。いかなる時代でも、宝は自分の目の前にあると思っています。「やりたいこと」、「目指すべきもの」がきっとあるはずなのに、それに気付いていないだけ。佐賀の学生たちに申し上げたいのは、君たちには潜在能力があるということ。その潜在能力を生涯のうちにどれくらい出せるかが勝負だと思っています。自分でいうのもなんですが、私自身、勉強ができる能力はそんなに高くはなかったけれど、潜在能力は100%出しきったという自信があります。そういった潜在能力を若者なら誰でも持っているし、自分を信じて、自分の思いを貫くことができれば存分に発揮できると思います。

 

学長:
 最近はコンプライアンスが非常に重要視されていますが、官僚機構の中枢で活躍された古川先生の立場から、大学のコンプライアンスはどのように教育をすればいいと思われますか。

 

古川先生:
 一番大事なことは、大きな志を持って、自分だけの利得のためだけには動かないという信念を持つことです。つまり、コンプライアンスという倫理の前に、自らの我欲のためには生きないという考えがあれば、誘惑にも強くなります。もう一つは、恥じる文化です。たとえ人に見られなくても、自らが恥ずかしいと思うことは絶対にしない。もちろん私自身も、公務員として身を律した生き方を徹底してきました。ただ、学生の皆さんには、「こんなことをしちゃいかんよ」というより、「こういう生き方が自分のためにも大事だよ」と言ったほうがいいような気がします。

 

学長:
 まさに、己に恥じない生き方をするということですね。私たちのように教える立場の人間は、そういった背中を学生たちに見せなければなりませんね。

 

古川先生:
 講演会などで話す機会も多いですが、そういう時はかっこいいことを言いますよね。でもそれは、とっても厳しいことなんです。だって、もし私がそれに反するようなことをしたら、「古川は、あん時こう言ったじゃないか」と私の全人生が否定されてしまいます。だからこそ、しっかり背筋を伸ばして生きていないと、かっこいいことは言えません。

 

学長:
 冒頭で、附属病院の30周年で先生に記念講演をしていただいた話をしましたが、その時に「志は高く、心は寛(ひろ)く、思慮は深く、頭は低く」とおっしゃっていたことをよく覚えています。まさに、古川先生の生き方そのものですよね。

 

古川先生:
 当時のことを覚えてくださっていて、本当に恐縮です。「志は高く」とは、自分以外のために努力したことが、社会的に志の高いことだと評価される世の中にしたいということ。「心は寛く」の“ひろく”は寛容の“寛”で、物質的に豊かなはずの現代社会が妬み嫉みの世界になっているので、心を寛く持ち目線をもっと上げればもっと住みやすくなるんじゃないかということ。「思慮は深く」は、考えるのは当たり前のことで、大事な事柄は考え抜くということ。「頭は低く」は、自然災害などこの世の中には、人間の知恵が及ばないものがあることを知ること。恐れを知ることで人は謙虚になりますし、謙虚になることで頭が柔軟になります。傲慢になったら、他人の意見を聞かなくなりますからね。

 

学長:
 プラス思考で物事を考える大切さもお話しされていましたね。

 

古川先生:
 かつて小渕首相が、コップの水を例にして国民に意識の転換を求める演説をされました。「コップ半分の水を『もう半分しかない』と考えるか、『まだ半分も残っている』と考えるか」というもので、当時の日本は不景気で元気をなくしていたので、悲観的にならずに元気を出そうじゃないかということで発言されたことでした。私流に解釈するならば、オアシスを求めて砂漠地帯を歩いていると仮定してください。チャポンチャポンと音がする。大型の水筒には水が半分入っていて、それを「まだ半分もあるんだ」と思える人は心に余裕をもってオアシスまでたどり着けます。しかし「もう半分しかない」と嘆き、悲観的になってしまう人は、途中で力尽きてしまうかもしれません。世の中にはいろんな問題があるけれども、元気をだしプラス思考で生きていこうという国民に対する呼びかけですね。

 

学長:
 まさに古川先生が貫いてこられた信条ですね。これは、人生に通じることですから、先生からのメッセージとして学生だけじゃなくて教職員にも伝えたかったことです。

 
 

古川先生:
 佐賀大学には、佐賀という地域の特性を踏まえながら、特色と個性のある大学として地域社会を引っぱっていただきたいです。もちろん地域社会だけじゃなく、有意義な人材を日本中に輩出されるわけですから、佐賀大学で育った人材は細かい知識だけじゃなくて、多様性のある骨太の生き方を身に付け、チャレンジ精神を持っていると評価されることを心から期待しています。

 

学長:
 本日は大変お忙しいところ、貴重なお話をしていただき本当にありがとうございました

 
 

2015年11月16日 対談場所:学長室  
 
 
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