佐賀大学医学部附属病院脳死判定実施要項
(平成16年4月1日制定)
(趣旨)
第1条 この要項は,佐賀大学医学部附属病院における臓器の提供を前提とした脳死判定の実施に関して,臓器の移植に関する法律(平成9年法律第 104号)及び臓器の移植に関する法律施行規則(平成9年厚生省令第78号)並びに臓器の移植に関する法律の運用に関する指針(ガイドライン)(平成9年10月8日付け厚生省保健医療局長通知)に基づき,必要な事項を定めるものとする。
(判定医)
第2条 脳死の判定医は,次の各号に掲げる専門医又は認定医等の資格のうち,いずれかを有する本学の教員とし,佐賀大学医学部附属病院脳死判定に関する委員会(以下「委員会」という。)の議を経て,事前に登録しておくものとする。
(1) 日本脳神経外科学会専門医
(2) 日本神経学会認定医
(3) 日本麻酔学会指導医
(4) 日本救急医学会指導医又は認定医
(5) 日本集中治療医学会認定医
(脳死判定の前提条件)
第3条 脳死判定は,臓器提供希望者が臓器を提供する意思及び脳死判定に従う意思を書面により表示している場合に,その旨の告知を受けたその者の家族が当該臓器の提供及び脳死判定を拒まない場合又は家族がいない場合で,次の各号に掲げる事項のすべてを満たしていることを前提とする。
(1) 脳の器質的な障害(以下この項において「器質的脳障害」という。)により深昏睡(ジャパン・コーマ・スケールで300に該当する状態にあり,かつ,グラスゴー・コーマ・スケールで3に該当する状態にあることをいう。)及び自発呼吸を消失している症例
(2) 器質的脳障害の原因となる疾患(以下「原疾患」という。)が確実に診断されていて,原疾患に対して行い得るすべての適切な治療を行った場合であっても回復の可能性がないと認められる症例
(3) 日本臓器移植ネットワークを通じて移植が可能な臓器を有している症例
(脳死判定の除外)
第4条 患者が深昏睡及び自発呼吸を消失している場合であっても,次の各号のいずれかに該当する者については,判定から除外する。
(1) 15歳未満の者
(2) 急性薬物中毒(睡眠薬,鎮痛薬等の中毒)により深昏睡及び自発呼吸を消失した状態にあると認められる者
(3) 低体温(直腸温が摂氏32度以下の状態)にある者
(4) 代謝性障害又は内分泌性障害により深昏睡及び自発呼吸を消失した状態にあると認められる者
(5) 各種麻酔薬,筋弛緩薬及び中枢神経抑制薬の影響下にある者
(6) 知的障害者等
(生命徴候の確認)
第5条 脳死判定に当たっては,次に掲げる事項について確認するものとする。
(1) 直腸温,食道温等の深部温が摂氏32度以下でないこと。
(2) 収縮期血圧が90水銀柱ミリメートル以上であること。
(3) 重篤な不整脈がないこと。
(診療録の的確記載)
第6条 脳死判定に至るまでの治療方針,検査データ,治療内容及び経過は,担当医により診療録に明記されていなければならない。
(検視その他の犯罪捜査に関する手続)
第7条 担当医は,脳死判定の申請をしようとするときは,当該患者が確実に診断された内因性疾患により脳死状態にあることが明らかである者以外の者の場合は,速やかに,当該患者に対し法に基づく脳死判定を行う旨を所轄警察署長に連絡し,当該警察署長より検視その他の犯罪捜査に関する必要な手続(以下「検視等」という。)の必要性あるいはその方法等について指示を受けなければならない。
2 担当医は,前項の規定による連絡を行い,又は必要な指示を受けたときは,その都度病院長に報告するものとする。
3 所轄警察署長から検視等の指示を受けた場合は,当該患者の脳死の判定がなされ,当該検視等を終了した後でなければ,臓器を摘出してはならない。
4 司法解剖の指示を受けた場合は,脳死の判定を行わない。
(脳死判定の申請)
第8条 脳死判定の申請は,第3条に定める脳死判定の前提条件を満たし,第4条各号に掲げる者でないこと及び第5条各号について確認した上で,脳死判定を受ける患者の担当医が所属の診療科長又は中央診療施設等の部長の同意を得て,脳死判定申請書(別紙様式第1)に第3条第1項に定める書面の写し並びに当該患者家族が臓器提供及び脳死判定を拒まない旨を表示した書面を添付して病院長に行うものとする。
(脳死判定医の指名)
第9条 病院長は,脳死判定の申請を受けたときは,直ちに当該申請に係る脳死判定医を命令通知書(様式第2)により指名するものとする。
(脳死判定医)
第10条 前条に定める脳死判定医は,第2条の規定により登録された判定医(担当医と同一の診療科又は中央診療施設等に所属する者を除く。)のうちから2人以上の者を指名するものとする。
(脳死判定基準)
第11条 脳死の判定は,脳幹を含めた脳全体の機能が廃絶した状態で次に掲げる状態が確認され,かつ,当該確認の時点から少なくとも6時間以上を経過した後に,次に掲げる状態が再び確認されたことをもって行うものとする。ただし,自発運動,除脳硬直,除皮質硬直又はけいれんが認められる場合には,判定を行ってはならない。
(1) 深昏睡
(2) 瞳孔が固定し,瞳孔径が左右とも4ミリメートル以上であること。
(3) 脳幹反射(対光反射,角膜反射,毛様脊髄反射,眼球頭反射,前庭反射,咽頭反射及び咳反射)の消失
(4) 平坦脳波
(5) 自発呼吸の消失
(6) 収縮期血圧が90水銀柱ミリメートル以上であること。
2 前項第5号に掲げる状態の確認は,同項第1号から第4号までに掲げる状態が確認された後に行うものとする。
3 第1項各号に掲げる状態の確認のほか,聴性脳幹誘発反応の消失を確認するように努めるものとする。
(脳死判定)
第12条 脳死判定は,当該脳死判定医が前条に基づき行い,脳死判定に参加したすべての脳死判定医の判断が一致した場合に脳死と判定する。
2 担当医は,当該判定の責任者の一人として,脳死判定に立ち会い,当該脳死判定医の必要とする情報等を提供する義務を負うものとする。
3 脳死判定医は,脳死判定に支障があると判断したときは,速やかに病院長に報告又は中止を協議するものとする。
4 病院長は,前項の報告を受けたとき又はその他の事由により,脳死判定の実施に支障があると認めたときは,直ちに脳死判定の中止を決定するものとする。
5 病院長は,前項により脳死判定の中止を決定したときは,その旨を脳死判定医に通知するものとする。
(脳死判定記録)
第13条 脳死判定の記録は,脳死判定医が脳死判定記録書(別紙様式第3)に第11条に定める状態の確認の結果を記録し,脳死判定医欄に記名押印するものとする。
2 担当医は,前項により記録された脳死判定記録書を確認し,担当医欄に記名押印するものとする。
3 脳死判定医は,前2項により記録された脳死判定記録書を速やかに委員会委員長(以下「委員長」という。)に提出するものとする。
(脳死判定結果の報告)
第14条 脳死判定医は,委員長から脳死判定記録書が確認された旨の通知があったときは,速やかに脳死判定結果報告書(別紙様式第4)及び脳死判定の的確実施の証明書(別紙様式第5)を作成し,脳死判定記録書を添付して,脳死判定結果を病院長に報告するものとする。
(脳死判定結果通知)
第15条 病院長は,前条の報告に基づき,当該脳死判定の結果を脳死判定結果通知書(別紙様式第6)に脳死判定記録書の写しを添付して,速やかに申請者に通知するものとする。
(診療録への記載)
第16条 担当医は,脳死判定結果の通知を受けたときは,その判定結果について診療録に記載するものとする。
(記録の保存)
第17条 病院長は,当該脳死判定に関するすべての記録を5年間保存するものとする。
(病院長の代行)
第18条 病院長に事故があるときは,あらかじめ病院長が指名した者がその職務を代行するものとする。
(事務)
第19条 脳死判定の実施に関する事務は,患者サービス課が行う。
(雑則)
第20条 この要項に定めるもののほか,脳死判定の実施に関し必要な事項は,委員会の議を経て定めるものとする。
附 則
この要項は,平成16年4月1日から実施する。
附 則(平成21年6月17日改正)
この要項は,平成21年6月17日から実施する。
別紙様式第1(第8条関係)
脳 死 判 定 申 請 書
平成 年 月 日
佐賀大学医学部附属病院長 殿
所属・職
氏 名 印
佐賀大学医学部附属病院脳死判定実施要項第8条の規定に基づき,下記のとおり脳死
判定を申請します。
記
患者名 住所
生年月日 年 月 日 性別 男・女
診療科(部)
主たる疾患名 合併症
上記の申請に同意します。
診療科(部)長 氏名 印
添付書類 臓器を提供する意思及び脳死判定に従う意思を表示した書面(写)
家族が臓器提供及び脳死判定を拒まない旨を表示した書面
別紙様式第2(第9条関係)
命 令 通 知 書
平成 年 月 日
殿
佐賀大学医学部附属病院長
印
佐賀大学医学部附属病院脳死判定実施要項第9条に基づき,
別紙様式第3(第13条関係)
脳 死 判 定 記 録 書
脳死判定を受けた者
氏名 住所
性別 生年月日 年 月 日 診療録番号
脳死判定の日時 年 月 日 午前・午後 時 分
判定医療機関
名称 佐賀大学医学部附属病院 所在地 佐賀県佐賀市鍋島五丁目1番1号
脳死判定医
氏名 所属
住所 佐賀県佐賀市鍋島五丁目1番1号 佐賀大学医学部附属病院
(又は所属医療機関の所在地及び名称)
氏名 所属
住所 佐賀県佐賀市鍋島五丁目1番1号 佐賀大学医学部附属病院
(又は所属医療機関の所在地及び名称)
担当医
氏名 所属
原疾患名
適用除外
15歳未満 ( 該当する ・ 該当しない )
急性薬物中毒 ( 該当する ・ 該当しない )
体温(直腸温)摂氏32度以下 ( 該当する ・ 該当しない )
代謝性・内分泌性障害あり ( 該当する ・ 該当しない )
知的障害者等 ( 該当する ・ 該当しない )
1 回 目 の 確 認 2 回 目 の 確 認
( 年 月 日午前・午後 時 分)( 年 月 日午前・午後 時 分)
生命徴候
体温 ( ℃) ( ℃)
血圧 (収縮期 oHg, 拡張期 oHg)(収縮期 oHg, 拡張期 oHg)
昇圧剤の使用 ( 有 ・ 無 ) ( 有 ・ 無 )
心拍数 ( 回/分) ( 回/分)
検査項目
深昏睡 (JCS ,GCS ) (JCS ,GCS )
瞳孔固定 ( 有 ・ 無 ) ( 有 ・ 無 )
瞳孔径 (右 mm,左 mm) (右 mm,左 mm)
脳幹反射
対光反射 ( 有 ・ 無 ) ( 有 ・ 無 )
角膜反射 ( 有 ・ 無 ) ( 有 ・ 無 )
毛様脊髄反射 ( 有 ・ 無 ) ( 有 ・ 無 )
眼球頭反射 ( 有 ・ 無 ) ( 有 ・ 無 )
前庭反射 ( 有 ・ 無 ) ( 有 ・ 無 )
咽頭反射 ( 有 ・ 無 ) ( 有 ・ 無 )
咳反射 ( 有 ・ 無 ) ( 有 ・ 無 )
平坦脳波 ( 該当する ・ 該当しない )( 該当する ・ 該当しない )
自発呼吸 ( 有 ・ 無 ) ( 有 ・ 無 )
自発運動 ( 有 ・ 無 ) ( 有 ・ 無 )
除脳硬直 ( 有 ・ 無 ) ( 有 ・ 無 )
除皮質硬直 ( 有 ・ 無 ) ( 有 ・ 無 )
けいれん ( 有 ・ 無 ) ( 有 ・ 無 )
中枢神経抑制薬,筋弛緩薬等の影響
( 有 ・ 無 ) ( 有 ・ 無 )
聴性脳幹誘発反応 ( 有 ・ 無 ) ( 有 ・ 無 )
(検査を実施した場合に記入する。)
脳死判定を受けた者が生存中に臓器提供と脳死判定に従う意思を書面により表示している
( 表示している ・ 表示していない )
家族が脳死判定を拒否していない
( 拒否している ・ 拒否していない ・ 家族がいない )
家族の氏名
住所
脳死判定を受けた者との続柄
脳死判定医が特に必要と認めた事項
記録作成日 年 月 日 午前・午後 時 分
脳死判定医 氏名 印
氏名 印
担 当 医 氏名 印
(注)・脳死判定に当たって測定した脳波の記録
・脳死判定を受けた者が生存中に臓器提供の意思及び判定に従う意思を表示した
書面の写し
・家族が臓器提供及び脳死判定を拒否しない旨を表示した書面
を添付のこと。
別紙様式第4(第14条関係)
脳 死 判 定 結 果 報 告 書
平成 年 月 日
佐賀大学医学部附属病院長 殿
脳死判定医
氏名 印
氏名 印
(患者の氏名) に係る脳死判定結果について,佐賀大学医学部附属病院脳死判定
実施要項第14条の規定に基づき,下記のとおり報告します。
記
1 判定結果 脳死と判定する。
脳死とは判定しない。 (判定結果を○で囲む。)
2 判定理由
(脳死判定記録書及び脳死判定証明書を添付する。)
3 その他
報告書作成日時 平成 年 月 日 午前・午後 時 分
別紙様式第5(第14条関係)
脳 死 判 定 の 的 確 実 施 の 証 明 書
脳死判定を受けた者
氏名 住所
性別 生年月日 年 月 日
脳死判定の日時(2回目の確認時) 年 月 日午前・午後 時 分
((1回目の確認時) 年 月 日午前・午後 時 分)
判定医療機関
名称 佐賀大学医学部附属病院 所在地 佐賀県佐賀市鍋島五丁目1番1号
1回目判定医
氏名 所属
住所 佐賀県佐賀市鍋島五丁目1番1号 佐賀大学医学部附属病院
氏名 所属
住所 佐賀県佐賀市鍋島五丁目1番1号 佐賀大学医学部附属病院
2回目判定医
氏名 所属
住所 佐賀県佐賀市鍋島五丁目1番1号 佐賀大学医学部附属病院
氏名 所属
住所 佐賀県佐賀市鍋島五丁目1番1号 佐賀大学医学部附属病院
担当医 氏名 所属
脳死の判定を受けた者は以下のいずれにも該当しません。
・15歳未満の者
・急性薬物中毒により深昏睡及び自発呼吸を消失した状態にあると認められる者
・直腸温,食道温等の深部温が摂氏32度以下の状態にある者
・代謝性障害又は内分泌性障害により深昏睡及び自発呼吸を消失した状態にある
と認められる者
・知的障害者等
・自発運動,除脳硬直,除皮質硬直,けいれんが認められないこと
脳死の判定に当たっては,以下の状態を確認し,少なくとも6時間を経過した後
に再度,以下の状態を確認しました。
・深昏睡
・瞳孔が固定し,瞳孔径が左右とも4ミリメートル以上であること
・脳幹反射(対光反射,角膜反射,毛様脊髄反射,眼球頭反射,前庭反射,咽頭
反射及び咳反射)の消失
・平坦脳波
・自発呼吸の消失
・自発運動,除脳硬直,除皮質硬直,けいれんが認められないこと
・その他( )
脳死の判定に当たっては,中枢神経抑制薬,筋弛緩薬その他の薬物が判定に影響
していないこと及び収縮期血圧が90水銀柱ミリメートル以上あることを確認し
ました。
平成 年 月 日
脳死判定医 氏名 印
氏名 印
氏名 印
担 当 医 氏名 印
別紙様式第6(第15条関係)
脳 死 判 定 結 果 通 知 書
平成 年 月 日
殿
佐賀大学医学部附属病院長
印
平成 年 月 日付けで申請のあった (患者の氏名) に係る脳死判定結果
について,佐賀大学医学部附属病院脳死判定実施要項第15条の規定に基づき,
記
1 判定結果 脳死と判定された。
脳死とは判定されなかった。(判定結果を○で囲む。)
2 判定理由
(脳死判定報告書及び脳死判定記録書の写を添付する。)
3 その他