佐賀大学医学部附属病院未収金管理事務取扱要領

(平成18年2月23日制定)

第1章 総則

 (目的)

第1条 この要領は,佐賀大学医学部附属病院(以下「本院」という。)における診

療費の患者負担金未収金等(以下「未収金」という。)の発生防止,発生した場合

の管理及び回収対策について具体的な手続きを定めることにより,円滑な事務執

行と未収金の早期回収を図ることを目的とする。

(未収金管理事務組織)

第2条 未収金は,医師,看護師及び事務職員等が連携し,本院の全組織を挙げて,

その発生の防止及び回収に努めるものとし,責任体制を明確にするため,これに

当たる主たる職員及び役割を次の各項のとおり定める。

1 総括

(1) 病院長

病院長は,本院の未収金対策について統括する。

2 事務組織

(1) 事務部長

事務部長は,未収金管理事務の執行について掌理する。

(2) 患者サービス課長

患者サービス課長は,未収金に関する担当課長として,本要領に定めると

ころにより,未収金事務の執行が円滑に進むよう,本院内の調整及び事務職

員の指導監督を行う。

(3) 医事系係長(債権管理担当)

医事系係長(債権管理担当)は,本要領の定めるところにより,未収金事

   務の執行が円滑に進むよう,具体的な未収金防止対策及び未収金回収対策を

企画立案する。

(4) 収納系係長

収納系係長は,本要領に定めるところにより,未収金事務の執行が円滑に

進むよう,医事系係長( 債権管理担当 )及び関係職員と協力し,事務執行

の調整を行い,患者からの納付相談や困難事例を対応する。

3 支援組織

(1) 診療科長

診療科長は,未収金対策における診療科の責任者として,当該診療科所属

医師の指導監督を行うとともに,未収金回収に資する情報提供及び回収困難

事例等の対応に協力する。

(2) 看護部長

看護部長は,未収金対策における看護部の責任者として,所属看護師の指

導監督を行うとともに,未収金回収に資する情報提供及び回収困難事例等の

対応に協力する。

 

第2章 未収金発生防止

 (外来診療費)

第3条 外来診療費に関する未収金の発生防止に関して,事務対応等を次の各号の

とおり定める。

(1) 時間内及び時間外窓口

ア 外来担当及び時間外窓口担当者は,本院を初めて受診又は住所等の変更が

あった患者については,必ず「診療申込書」を記入させ,当該患者の住所,

   電話番号,勤務先等についても充分,把握するものとする。

  イ 保険証を未持参及び変更手続中の患者については,「保険証持参及び債務確

認書」を徴取し,持参期限までに保険証を持参するよう伝える。

なお,期限までに保険証を持参しなかった場合は,全額自費負担として診

療費を徴収し,保険者から払戻しを受けるように説明する。

 (2) 料金計算

   外来担当者は,診察を終えた患者に対し,患者案内票及び診療担当医等の

   診療オーダ等に基づき,外来診療費を計算する。

(3) 時間外受診患者及び追加請求の対応

    時間外受診患者について,次回の再来予約のない患者に対しては,収納系

係において速やかに電話にて料金の連絡を行い,併せて早期の支払いを依頼

する。

また,入力漏れ,追加検査及び保険変更等のため,追加請求が生じた場合

は,外来担当者は当該患者に電話連絡のうえ,直近の受診日等に支払窓口で

の支払い又は銀行振込等での支払いを依頼する。

(4) 料金収納

    収納系係は,受診当日の診療費及び未収金がある患者には,未収金の金額

   を伝え,当日に支払うよう督促する。

    なお,患者が後日の支払いを希望した場合又は所持金不足等のため,やむ

   なく後日納付となる患者については,「債務確認書」を徴取したうえ,その患

者控を渡し,支払期日までの支払いを約束する。

(5) 診療科等への情報提供

    時間外又は休日の受診を繰り返して未収金を累積させている患者及び時間

内の受診であっても,患者案内票を持ち去り,診療費を納付しないなどの悪

   質な患者については,患者サービス課は適宜診療科等へ当該患者の情報を提

供し,診療担当医は患者サービス課職員と協力して,患者に未収金の支払い

を指導する。

(入院診療費)

第4条 入院診療費に関する未収金の発生防止に関して,事務対応等を次の各号の

とおり定める。

(1) 入院保証書の提出

ア 入院窓口担当者は,入院受付時に患者又は家族に対して,「入院保証書」

   を必ず提出するよう指導する。

  イ 医師又は看護師は,患者又は家族に対して入院説明を行う場合,「入院保証

   書」を必ず,提出するように指導する。

 (2) 入院保証書の確認

ア 入院窓口担当者は,「入院保証書」の提出を確認するとともに,記載漏れ

等がある場合は,必要事項を記入するように指導する。

イ 収納系係は,必要に応じ,患者等と面談し,滞納のおそれがあると思われ

る患者には,予め,診療費の支払いについて相談を行う。

(3) 保険証等の確認

ア 入院窓口担当者は,患者の入院受付時において,保険証等を確認し,また,

持参していない患者については,速やかに保険証等を提示するよう指導する。

イ 入院計算担当者は,入院患者の保険証等の有効期限及び認定日等の保険資

格を確認するとともに,診療費の収納状況を確認し,特に問題のある患者に

ついては,収納系係に報告する。

ウ 収納系係は必要に応じ,患者等と面談し,未収金の支払い及び今回診療費

の支払いについて相談を行う。

エ 入院計算担当者は,保険証等の提出が遅延している患者については,速や

かに保険証等を提示するよう書面にて患者等に催促する。

(4) 退院時の請求

 入院計算担当者は,退院が確定したときは,速やかに退院時計算を行い,

請求書を直接又は病棟看護師を経由して患者等に手渡し,収納窓口等での支

払いを指導する。

なお,時間外退院及び死亡退院の患者については,診療費の算定が終了し

た後,電話連絡を行う。

また,後日の支払いを希望する患者等に対しては,収納系係で債務確認書

を徴取し,納付期限内に収納窓口又は時間外窓口での支払い,若しくは銀行

等での振込みを依頼し,退院時請求のほかに未収金がある場合は,併せて支

払うよう指導する。

 (5) 追加請求の対応

 入力漏れ,退院時処方の追加,保険変更等のため追加請求が生じた場合は,

入院計算担当者は,速やかに患者に電話連絡のうえ,直近の受診日等に支払

      窓口等での支払い又は銀行振込みでの支払いを依頼する。

 (6) 診療科・病棟等への情報提供

 過去及び入院中の未納診療費を,患者サービス課職員の度重なる支払督促

にもかかわらず,なお納付に応じない患者等について,患者サービス課は,

診療科・病棟等にその旨の情報を提供し,主治医又は診療科長等は,患者サ

ービス課職員と協力して当該患者等に未収金の支払いを指導する。

 (7) 支払いに関する相談の対応

 患者サービス課職員は,患者等から支払いに関する相談を受けた場合,市

町村,福祉事務所,保健所及び保険者等関係機関との調整を図りながら,高

額療養費貸付制度,高額療養費委任払制度,各種公費負担医療及び生活保護

等の活用できる社会保障制度の中から最も有用な制度を選択し,患者等に指

   導・助言を行う。

 (8) 異例・困難事案の対応等

 各診療科,病棟並びに事務職員等は,次に掲げる患者が入院を予定又は入

院した場合は,直ちに患者サービス課職員に報告し,患者サービス課職員は,

それぞれの事項に従い対応するものとする。

ア 行路病者の対応

住所不定の行路病者が,緊急入院を余儀なくされた場合,当該患者から親

族等の連絡先及び住民票の所在地を聴取し,保険資格の確認,診療費支払い

の折衝を行う。

    なお,保険資格が確認出来ない又は保険資格を有していても,患者負担金

の支払いが望めない患者については,速やかに患者の保護地を管轄する福祉

事務所に連絡し,生活保護の認定を依頼する。

  イ 無保険者の対応

    保険資格が無いことが判明した場合,速やかに患者又は家族から事情を聴

取のうえ,加入可能な保険を検討する。なお,保険資格が取得できない場合

には,全額自費計算の請求となることを患者等に十分説明し,診療開始日か

ら保険資格を取得するよう指導するとともに、市町村,社会保険事務所並び

に事業所等との調整など必要な支援を行う。

  ウ 国保10割負担患者の対応

    保険料(税)を滞納したため被保険者証を返還し,被保険者資格証明書の

交付を受けた患者であることが判明した場合,速やかに患者等から事情を聴

取のうえ,市町村国保担当者と保険料(税)の納付相談を行い,被保険者証

の再交付を受けるよう指導する。

    その際,生活保護又は医療保護の申請を視野に入れ,地区民生委員にも相

   談し,市町村への同行を依頼するよう助言する。

    なお,保険料(税)納付に善処しない限り,再交付は非常に困難であるの

   で,被保険者資格証明書では,診療費の全額が患者請求となることを患者等

   に十分に説明し,一年以上滞納保険料の即時納付,分割納付誓約など納付相

談に真摯に応ずるよう指導するとともに,病院からも市町村に対し,被保険

者証の再交付を依頼する。

  エ 第三者行為患者の対応

    患者自身は,被害者意識が強く,支払う意思が希薄な場合が多いため,加

   害者から賠償の可否を見極め,賠償が見込まれない場合,保険者に「第三者

の行為による傷病届」を提出のうえ,保険を適用した患者負担額を納付する

よう指導する。

  オ 交通事故患者の対応

    加害者が任意保険に加入していない,患者側の過失が大きい,若しくは自

   損事故等で自動車損害保険会社からの支払いが見込まれない場合,保険者に

   「第三者の行為による傷病届」を提出のうえ,保険を適用した患者負担額を

   納付するよう指導する。

  カ 生活困窮者の分娩の対応

    生活保護受給者,無保険者等の分娩入院が予定されている場合,事前に福

祉事務所の生活保護担当者又は助産施設担当者と折衝を行い,分娩費用の支

払方法を決定しておくものとする。

 

第3章 患者診療費

 (患者診療費の請求及び徴収期限)

第5条 診療費の患者負担金(以下「患者診療費」という。)の請求及び徴収期限は,

次の各号のとおりとする。

(1) 請求方法

ア 外来患者に対しては,収納窓口で口頭請求する。

  イ 無断帰宅及び時間外受診の外来患者に対しては,速やかに電話請求する。

    ウ 時間外退院及び死亡退院の入院患者に対しては,後日電話請求する。

  エ 銀行等での振込みを希望する患者等に対しては,振込用紙を自宅等に送付

する。

  オ 入院患者に対しては,料金通知書を病棟へ送付する。

(2) 徴収期限

  ア 外来患者の患者診療費は,診療日当日に徴収する。

  イ 入院患者の患者診療費は,当該月の1日から末日までの分を翌月の末日ま

でに徴収する。ただし,退院する場合は,退院時までの分を退院日に徴収す

る。

 

第4章 未収金督促

 (支払督促)

第6条 未収金の支払い督促は,次の各号のとおりとする。

(1) 患者サービス課は,徴収期限までに支払いの無い債務者に対してその支払い

を督促し,収入の確保を図らなければならない。

(2) 債務者に対する督促は,原則として督促状により行うものとする。ただし,

必要に応じ,口頭又は適宜の文書をもって行うことができる。

 (3) 督促の実施方法等の詳細については,別に定める。

 (請求保留患者等の情報)

第7条 患者サービス課外来系係及び入院系係は,患者のうち高額療養費や公費申

請中などにより請求を保留する患者については,収納系係と連携を取り合うこと

とする。

 (交通事故診療費)

第8条 交通事故診療費の支払方法について,自動車損害保険会社から依頼があっ

た場合,当該患者に当該診療費の請求を行わない。ただし,当該支払いが長期間

保留となる見込みの事案については,患者サービス課職員が当該保険会社と協議

のうえ,対応を決定する。

 

第5章 未収金の管理

 (未収金管理状況の記録)

第9条 患者に対する未収金の督促及び支払方法に関する相談を行った場合,その

状況を診療費督促履歴に患者単位で記録するものとする。

 (死亡した者)

第10条 債務者が死亡している場合は,連帯保証人又は法定相続人に対し,支払

督促を行うこととする。

 (自己破産等)

第11条 自己破産,民事再生手続き並びに相続放棄等により回収の見込みがない

未収金については,支払督促を停止する。

 (住居不明者等)

第12条 債務者が行方不明から1年以上経過した債権で保証人が存在しないとき

は,支払督促を停止する。

 (債権金額が少額なもの)

第13条 督促を行ったにも関わらず,支払期限の翌日から1年以上経過しても支

払いがなされず,かつ債権残額が回収費用に見合わない程度に僅少なものについ

 ては,支払督促を停止する。なお,その債権の額としては,3,000円未満を

目安とする。

 (紛争等に係るもの)

第14条 診療行為等に対する紛争,その他の事由により,未収金の回収が困難で

あり,その事由がやむを得ないものについては,支払督促を停止する。

 (支払督促の停止)

第15条 支払督促の停止は,病院長の確認後,学長が決定するものとする。

 

第6章 未収金の徴収業務

 (未収金の徴収業務)

第16条 未納者で次の各号に該当するものは,診療科,看護部及び事務部が情報

交換を行い,互いに連携を取りながら診療費の滞納者に対し,支払いの督促を行

う。ただし,高額療養費委任払等の患者以外が負担することとなる支払い未収金

の場合は除く。

(1) 支払いが長期に渡って滞っている者

(2) 夜間休日等に来院し、未収を繰り返している者

(3) その他悪質な未納者等

 (法的措置の活用)

第17条 診療費を支払う資力があるにも関わらず,支払う意思のない悪質な滞納

者に対しては,適宜,裁判所への支払督促申立等の法的手段により,未収金の回

 収を図るものとする。

 

第7章 債権のみなし消滅等

 (債権のみなし消滅等)

第18条 債務者に次の各号に掲げる事由が生じた場合は,病院長の確認後,学長

 の承認を受け,当該債権の全部又は一部が消滅したものとみなし整理することが

できる。

(1) 当該債権につき消滅時効が完成したとき。

(2) 債務者が死亡し,債務を承継する者がないとき。

(3) 債務者が自己破産の宣告を受け,その債権について責任を免れるとき。

2 請求を停止する債権として分類整理した債権のうち,その取立てが著しく困難

であると認めたときは,病院長の確認後,学長の承認を受け,元本の全部又は一

部を償却することができる。

 

第8章 その他

 (その他)

第19条 この要領の定める以外に必要な措置を行う場合においては,その都度,

 関係部署と協議して実施するものとする。

 

 

  附 則

この要領は平成18年2月23日から実施する。

附 則(平成18年3月24日改正)

この要領は平成18年3月24日から実施する。