国立大学法人佐賀大学安全保障輸出管理規程
(平成23年3月23日制定)
(趣旨)
第1条 この規程は,外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)その他関
係法令等(以下「外為法等」という。)に基づき,国立大学法人佐賀大学(以下「本学」と
いう。)における安全保障輸出管理(以下「輸出管理」という。)について,必要な事項
を定める。
(適用範囲)
第2条 この規程は,本学が行う非居住者への技術の提供又は外国において技術の提供をすることを目的とする取引及び貨物の輸出に関する業務に適用する。
(定義)
第3条 この規程において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定め
るところによる。
(1) 技術 貨物の設計,製造,又は使用に必要な特定の情報をいう。
(2) 貨物 物品全般をいい,研究資機材や試料など研究に使用されるものを含む。
(3) 提供・輸出 技術の提供及び貨物を本邦から外国へ向けて送付することをいい,
輸出を前提とする国内取引及び手荷物による持出しは,輸出に含む。
(4) 提供・輸出を行おうとする者 本学の役員及び職員で技術の提供及び貨物の輸出
を行おうとする者をいう。
(5) 非居住者 日本人にあっては外国にある事務所等に勤務する目的で出国し外国
に滞在する者等を,外国人にあっては外国に居住する者,本邦に入国して6月未満
の者(本邦にある事務所等に勤務する者を除く。),外交官,国際機関の職員等を
いい,外国為替法令の解釈運用について(昭和55年蔵国第4672号)6-1-5及び6に掲げるものをいう。
(6) 部局 事務局,産学官連携推進機構,各学部(理工学部を除く。),工学系研究科,
全学教育機構,共同利用・共同研究拠点及び各学内共同教育研究施設をいう。
(7) 部局長 前号の部局の長をいう。
(8) 相手先 技術の提供については当該技術を利用する者,貨物の輸出については当
該貨物の需要者をいう。
(9) 規制技術・貨物 国際的な平和及び安全の維持の観点から外為法等により規制さ
れている技術及び貨物をいう。
(10) リスト規制技術・貨物 前号の規制技術・貨物のうち外国為替令(昭和55年政
令第260号)別表の1の項から15の項までに該当する技術及び輸出貿易管理令(昭
和24年政令第378号)別表第1の1の項から15の項までに該当する貨物をいう。
(11) キャッチオール規制技術・貨物 第9号の規制技術・貨物のうち外国為替令別
表の16の項に該当する技術及び輸出貿易管理令別表第1の16の項に該当する貨物
をいう。
(12) 核兵器等 核兵器,軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布の
ための装置又はこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機をい
う。
(13) 核兵器等の開発等 核兵器等の開発,製造,使用又は貯蔵をいう。
(14) 通常兵器 核兵器等以外の輸出貿易管理令別表第1の1の項に該当する貨物を
いう。
(15) 通常兵器の開発等 通常兵器の開発,製造又は使用をいう。
(16) 該非判定 輸出しようとする貨物又は提供しようとする技術が,規制技術・貨
物に該当するか否かを確認することをいう。
(17) 取引審査 外為法等に従い,自ら適法な輸出等を行うため,及び外為法等上,
違法輸出等を行うことにならないため,国際的な平和と安全の維持という外為法の
趣旨に反する取引でないかどうかを判断することをいう。
(基本方針)
第4条 本学における輸出管理の基本方針は,次に掲げるとおりとする。
(1) 国際的な平和及び安全の維持を妨げるおそれがあると判断される提供・輸出は,
行わない。
(2) 提供・輸出について外為法等を遵守し,経済産業大臣の許可を受けなければなら
ない場合は,責任を持って当該許可を取得する。
(3) 外為法等の遵守及び適切な輸出管理を実施するため,輸出管理の責任者を定め,
輸出管理体制を適切に整備し,充実を図る。
(輸出管理最高責任者)
第5条 本学に,輸出管理関連業務を適正かつ円滑に実施するため,輸出管理最高責任
者を置き,学長をもって充てる。
2 輸出管理最高責任者の業務は,次に掲げるとおりとする。
(1) この規程の制定及び改廃
(2) 第13条第1項による取引審査で輸出管理統括責任者が判定できない疑義ある取
引の承認
(3)経済産業省への許可申請
(4)その他本学の輸出管理の重要事項に関する決定
(輸出管理統括責任者)
第6条 本学に,輸出管理業務を統括する輸出管理統括責任者を置き,国際的な業務を
担当する理事をもって充てる。
2 輸出管理統括責任者の業務は,次に掲げるとおりとする。
(1) この規程の制定及び改廃に関する業務
(2) この規程に基づく運用,手続等の制定及び改廃に関する業務
(3) 該非判定及び取引審査の承認に関する業務
(4) 全学的な輸出管理業務の統括及び全学への徹底事項の指示,連絡,要請等に関す
る業務
(5) 輸出管理業務の監査に関する業務
(6) 安全保障輸出管理の教育に関する業務
(7) 部局長に対する輸出管理業務に係る報告等の要求,調査の実施又は改善措置の命
令に関する業務
(8) 経済産業省への輸出管理業務に係る相談及び許可申請に関する業務
(輸出管理統括部署)
第7条 この規程の遵守及び輸出管理業務を適切に実施するため,輸出管理統括責任者
のもとに,輸出管理統括部署を設置する。
2 輸出管理統括部署は,学術研究協力部とする。
3 輸出管理統括部署の業務は,次に掲げるとおりとする。
(1) この規程の制定及び改廃並びに実施に関すること。
(2) この規程に基づく学内規則,通知等の制定及び改廃に関すること。
(3) 第12条による技術又は貨物の該非判定に係る審査
(4) 第13条第1項による取引審査に係る審査
(5) 第18条による輸出管理監査の実施
(6) 第19条による輸出管理教育の計画策定及び実施
(7) 法令改正等の連絡事項の周知徹底
(8) 部局長に対する報告等の要求,調査の実施又は改善措置の命令
(輸出管理責任者)
第8条 この規程の遵守及び輸出管理業務を適切に実施するため,部局に輸出管理責任
者を置き,部局長をもって充てる。
2 輸出管理責任者の業務は,次に掲げるとおりとする。
(1) 輸出管理統括責任者からの指示,連絡,要請等の部局内への周知徹底
(2) 部局内の輸出管理業務の推進
(3) 第12条による技術又は貨物の該非判定に係る確認及び審査申請
(4) 第13条第1項による取引審査に係る確認及び審査申請
(5) 第19条による部局内の輸出管理教育
(輸出管理アドバイザー)
第9条 この規程の遵守及び輸出管理業務を適切に実施するため,法務及び技術を担当
する輸出管理アドバイザー各1人を置き,学長が指名した職員をもって充てる。
2 輸出管理アドバイザーの業務は,次に掲げるとおりとする。
(1)提供・輸出を行おうとする者が,次条及び第11条の確認を行う際の助言
(2)輸出管理責任者が,前条の業務を行う際の助言
(3)その他この規程の遵守に関する法務及び技術全般に関する助言
(相手先の確認)
第10条 提供・輸出を行おうとする者は,相手先の概要,事業内容,教育研究内容等について,次に掲げる項目に該当するか否かを確認しなければならない。
(1) 経済産業省作成の「外国ユーザーリスト」に記載されている。
(2) 核兵器等の開発等を行う,行ったことが入手した資料等に記載されている,
又 はその情報がある。
(用途確認)
第11条 提供・輸出を行おうとする者は,その提供・輸出を行おうとする次に掲げる
技術・貨物の用途について当該各号に掲げる項目に該当するか否かを確認しなければ
ならない。
(1) リスト規制技術・貨物
ア 核兵器等の開発等に用いられる,用いられるおそれがある,又は用いられる疑
いがある。
イ その他の軍事用途に用いられる,又は用いられる疑いがある。
(2) キャッチオール規制技術・貨物
ア 核兵器等の開発等に用いられるおそれがある。
イ 通常兵器の開発等に用いられるおそれがある。
(該非判定)
第12条 提供・輸出を行う場合には、リスト規制技術・貨物に該当するか否かの判定
を行う。
(取引審査)
第13条 提供・輸出の内容が次に該当する場合,提供・輸出を行おうとする者は,輸
出管理責任者に取引の審査を申請するものとし,この申請に基づき,輸出管理統括責
任者は,当該取引を行うか否かの最終判断を行う。
(1) 第10条(相手先の確認)第1号又は第2号のいずれかに該当する場合
(2) 第11条(用途確認)第1号又は第2号のいずれかに該当する場合
(3) 第12条の該非判定の結果,当該技術・貨物が外国為替令別表の1の項から15の
項,輸出管理令別表第1の1の項から15の項に該当する場合
(4) 経済産業大臣から許可申請をすべき旨の通知を受けた場合
(5) 第1号から第3号までに該当するか否か不明の場合又は疑義がある場合
2 国内取引であっても,提供・輸出されることが明らかな場合には,前項と同様の手続を行う。
3 提供・輸出を行おうとする者は,輸出管理統括責任者の承認を得ることなく,提供・
輸出を行ってはならない。
4 取引の承認を得た後,追加的に提供・輸出が発生した場合は,別途当該提供・輸出
の可否につき第1項により審査及び承認を求めるものとする。
(外為法等に基づく許可の申請等)
第14条 前条における承認を得た後,経済産業大臣の許可を受けなければならない提
供・輸出については,輸出管理最高責任者は,所定の申請書及び添付書類を作成し,
経済産業大臣に対して許可申請を行う。
2 前条に定める許可申請の際に提出する書類は,事実に基づき正確に記載しなければならない。
3 提供・輸出を行おうとする者は,外為法等に基づく許可が必要な提供・輸出につい
ては,経済産業大臣の許可を取得しない限り当該提供・輸出を行ってはならない。
(契約書への明示)
第15条 提供・輸出を行う場合は,原則として契約書等の書面による約定の取交しを
行わなければならない。この場合において,これらの契約書等には,経済産業大臣の
許可を受けなければならない提供・輸出については,許可を取得するまでは発効しな
い旨又は許可を取得できないものは契約の対象から除く旨並びに核兵器等の開発等
及び通常兵器の開発等に転用しないこと並びに許可の条件を遵守することを明示し
約定するものとする。
(技術の提供管理)
第16条 技術の提供を行おうとする者は,次に掲げる事項を最終確認した上で,提供
を行わなければならない。
(1) 第10条から第13条まで及び国立大学法人佐賀大学安全保障輸出管理実施細則
(平成23年3月23日制定。以下「実施細則」という。)に定める手続が終了し,内容に変更がないこと。
(2) 経済産業大臣の許可を受けなければならない技術の提供については,当該許可を
得ていること。
(貨物の出荷管理)
第17条 貨物の輸出を行おうとする者又は貨物の出荷の担当者は,次に掲げる事項を
最終確認した上で,輸出を行わなければならない。
(1) 第10条から第13条まで及び実施細則に定める手続が終了し,内容に変更がない
こと。
(2) 経済産業大臣の許可を受けなければならない貨物の輸出については,当該許可を
得ていること。
(3) 出荷される貨物が,出荷書類の記載内容と同一のものであること。
2 貨物の輸出を行おうとする者又は貨物の出荷の担当者は,出荷時に前項の確認がで
きない場合は,直ちに輸出手続を取り止めて,部局等へ適切な措置を要求するととも
に,輸出管理責任者及び輸出管理統括部署へ報告する。
3 貨物の輸出を行おうとする者又は貨物の出荷の担当者は,通関時に事故が発生した
場合は,直ちに輸出管理責任者及び輸出管理統括部署に報告しなければならない。
4 輸出管理統括部署は,前項の通関事故の報告を受けた場合には,事実関係を把握し,
輸出通関停止の指示を含む適切な措置を講ずる。
(監査)
第18条 輸出管理統括部署は,この規程及び実施細則に定められた諸手続が適正に実施されていることを確認するため,提供・輸出を行った部局を対象に,輸出管理監査を書面又は実地監査の方法で,原則年1回実施する。
(教育)
第19条 輸出管理統括部署及び輸出管理責任者は,役員及び職員に対し,外為法等及
びこの規程の遵守の重要性を理解させ,確実な実施を図るため,計画的に教育を行う。
(関連書類の管理)
第20条 規制技術・貨物の提供・輸出に係る文書又は記録媒体は,提供・輸出した日
から起算して,7年間保管しなければならない。
(報告)
第21条 外為法等若しくはこの規程に違反する事実又は違反のおそれがあることを知った役員及び職員は,その旨を輸出管理責任者及び輸出管理統括部署に速やかに報告しなければならない。
2 輸出管理統括部署は,報告の内容について違反する事実の有無を調査し,外為法等
に違反する事実を確認した場合には,速やかに輸出管理統括責任者に調査結果を報告
する。
3 輸出管理統括責任者は,輸出管理統括部署に対応を指示し,輸出管理最高責任者に
その旨を報告するとともに,学内の関係部局に対応措置を指示する。
4 輸出管理最高責任者は,外為法等に違反する事実が判明した場合は,遅滞なく行政
庁に報告する。
(罰則)
第22条 故意又は重大な過失によりこの規程に違反した者及び関係者は,国立大学法
人佐賀大学職員就業規則(平成16年4月1日制定),国立大学法人佐賀大学契約職
員就業規則(平成21年3月11日制定)及び国立大学法人佐賀大学臨時職員就業規
則(平成16年4月1日制定)による処分の対象とする。
(雑則)
第23条 この規程に定めるもののほか,輸出管理に関し必要な事項は,学長が別に定
める。
附 則
この規程は,平成23年3月23日から施行する。