農学研究科の大学院生が第73回日本生態学会大会で優秀賞を受賞

【受賞者】
 佐賀大学大学院農学研究科 中川潤紀

【受賞した賞の名称】
  第73回 日本生態学会大会 ポスター賞優秀賞 (分野:物質循環 /Material cycling)

【受賞先】
 一般社団法人 日本生態学会

【受賞した日】
  2026年3月15日

【受賞した研究の題目】
 「環境変化が二枚貝共在菌の担う硫黄循環を変える〜個体内変化が外環境に及ぼす影響〜」
  中川潤紀1・猪股寛大1, 折田亮2
   1: 佐賀大学農学研究科、2: 佐賀大学農学部

【受賞につながった研究内容】
 有明海に棲む二枚貝3種を対象に、海が貧酸素化する状況や低塩分化する状況を模した室内操作実験を行い、二枚貝の内部に棲む微生物の組成がどのように変わるのかを明らかにした。その結果、二枚貝が環境変化に晒されると、二枚貝内部に棲む微生物の組成が変化することが明らかになった。特に、貧酸素条件に晒すと、硫酸塩を硫化水素に代謝する細菌の作用により、二枚貝内部でも硫化水素が発生することが明らかになった。また、硫化水素の発生量は、宿主の二枚貝の種類や、共在する細菌種(硫酸還元菌や硫黄酸化細菌など)の量の違いによって異なることが強く示唆された。これまで二枚貝に対する硫化水素の悪影響を無毒化してくれる細菌の存在は、深海の熱水噴出口周辺に棲む種類で報告されていたが、本研究により、沿岸域に棲む二枚貝の中にも硫化水素を無毒化する働きを担う細菌が存在することが新たに示唆された。

【その他PRしたい特記事項】
 従来説では、海が貧酸素化すると、底泥中に棲む硫酸還元菌の働きにより、硫化水素が発生し、その発生した硫化水素の影響で、底生動物が斃死する恐れがあると考えられてきた。本研究成果より、海が貧酸素化すると二枚貝の内部でも細菌の働きにより硫化水素が生成されたり、消費されたり(無毒化されたり)する複雑な動態(硫黄循環)があることが見えてきた。

 今後、地球温暖化とともに、貧酸素化する海域や期間が増加することが懸念されている。本研究成果は、海底に潜む底生動物が、貧酸素環境をいかに生き抜くかを理解することへの貢献が期待される。
 本研究は、JSPS科研費24K15260の助成を受けたものです。

【researchmapのリンク先】
 https://researchmap.jp/ryo_orita

【本件に関する問い合わせ先】
  佐賀大学農学部 准教授 折田 亮
   E-mail:ss7427@cc.saga-u.ac.jp

 

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