情報処理学会アクセシビリティ研究会でヤマハ賞を受賞

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 2018年に情報処理学会アクセシビリティ研究会で発表された研究の中から,本学の客員研究員の大島千佳と工学系研究科博士後期課程の西ノ平志子が,2018年12月1日に首都大学東京 秋葉原サテライトキャンパスにて,パネルディスカッションの形式で議論したセッション「障がい者でも長く楽しめる楽器を目指して ~装置と身体動作へのサポートの在り方~」が,「ヤマハ賞」を受賞しました。

 ヤマハ賞は2016年度からアクセシビリティ研究会にて設定されたものであり,ヤマハ株式会社のスローガン「感動を・ともに・創る」と研究会の設立目的にある「障害者や高齢者を支援する情報処理技術の研究開発を通して,だれもが積極的に参加できる社会の実現を目指す」の両方の観点から,本セッションが評価されました(ヤマハ株式会社の選定者談)。

 

 客員研究員の大島が,セッションの企画と予稿執筆,当日の進行を務め,ギター演奏補助装置 「フレディ君」を三重大学にて松井博和助教(三重大学)と開発し,音楽療法も行っている本学学生の西ノ平と,補助装置を使って練習を始めて2ヶ月の頸髄損傷の障がい者である伊藤靖幸さん(兵庫県頸髄損傷者連絡会),そして理学療法士の池田麻衣さん(日本福祉大学大学院,あんしん訪問介護ステーション)の3人も壇上に上がり,障がい者でも長く楽しめる楽器の演奏補助装置の在り方について議論しました。

 フレディ君の開発過程を実例として示しながら,対象者の身体状態や音楽経験を踏まえて,理学・作業・音楽療法士などの専門士が共同で開発に携わる必要性を訴え,楽器の練習によりリハビリ効果も得られる可能性を示しました。

 さらに補助装置は,楽器本来の奏法(スタイル)と大きく異なったり,使い方の習得に時間がかかったりするものではないこと,そして練習を重ねた後には補助装置を外しても楽器を演奏できるものであることが,長く楽しめる条件であると主張しました。セッションの最後には,伊藤さんが補助装置を使ってギターの演奏を行い,補助装置の有用性を示しました。

 

 フレディ君は,ギターを寝かせて,ネックに装置を取り付けることで,スムーズにフレットの位置を移動し,マウスのクリックのような感覚で弱い力で弦を押さえることができます。脳性麻痺や頸髄損傷などにより,手の操作に力が入りにくい障がい者でも,すぐに音を出すことが可能で,さらに練習により楽器演奏の上達を実感できます。

 

 ギター以外の楽器や日常生活で使う物に対しても,このような観点から補助装置の開発が進められることが,障がい者から望まれています。

 

 

         

           賞 状                     ギター補助装置「フレディ君」(三重大学提供)

 

 

 

※ アクセシビリティ研究会での当日の様子(Youtube)

 https://www.youtube.com/watch?v=PBZqGZo0ZH8

 3:04:20~

 

 

【本件に関するお問い合わせ先】

   佐賀大学理工学部 知能情報システム学科

   准教授 中山 功一(西ノ平の指導教員)

        TEL:0952-28-8597

        E-mail:knakayama@is.saga-u.ac.jp

 

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