国内初!佐賀大学と地元企業の共同研究から誕生した便ピロリ菌PCR検査キット ~薬剤耐性も同時判定、除菌成功率UPによる胃がん予防に期待~ 除菌成功率の向上と胃がん予防に新たな道を開く地域発の医療イノベーション

【研究者】
 代表者:佐賀大学 医学部附属病院 小児科 診療准教授 垣内 俊彦

【製品の名称】
体外診断用医薬品「スマートジーン® H.pylori S」の名称、使用目的は、以下の通りです。

一般的名称

ヘリコバクターピロリ核酸キット

販売名

スマートジーン® H.pylori S

使用目的

糞便中のヘリコバクター・ピロリDNA及び23S rRNA遺伝子ドメインV領域の変異の検出 (ヘリコバクター・ピロリ感染及びクラリスロマイシン低感受性のヘリコバクター・ピロリ感染の診断補助)

 

【製品の特徴】
 国内で初めて便を検体とするピロリ菌のPCR検査キットが、体外診断用医薬品として承認されました。佐賀大学と株式会社ミズホメディー(本社:佐賀県鳥栖市)の共同研究から生まれた「スマートジーン® H.pylori S」は、患者が自宅等で採取した便を用いて高感度のPCR検査を約1時間で行うことができます。

 ピロリ菌は、世界保健機関(WHO)により「ヒトに対する発がん因子」と位置づけられている病原微生物であり、日本では胃がん患者の98%がピロリ菌に感染していたというデータが報告されています1

 ピロリ菌に感染していることが判明した場合は除菌治療を行いますが、ピロリ菌の中には抗菌薬が効きにくい「薬剤耐性ピロリ菌」が存在していることが知られています。特に未成年では、一次除菌で用いられる抗菌薬(クラリスロマイシン)の薬剤耐性率が71.1%と高いことが報告されています2。このような薬剤耐性ピロリ菌に感染している場合は、クラリスロマイシンを用いると除菌治療に失敗するケースがあることが問題となります。そのため治療開始前に抗菌薬の効きやすさを検査することがガイドラインで推奨されていますが、従来の方法では胃カメラによる検体の採取を必要としていました3

 「スマートジーン® H.pylori S」は、患者が自宅等で採取した便を用いて、ピロリ菌の感染診断と、クラリスロマイシンに対する薬剤耐性の有無を約1時間で検査することができるPCR検査キットです。本製品は煩雑な測定操作を必要とせず、検査キットに試料を数滴滴下した後、卓上サイズの小型の専用装置にセットするだけで測定が自動で行われます。

 胃カメラの実施が困難な患者に対しても、精度の高いPCR検査を安全におこなうことができるとともに、適切な抗菌薬が選択できることで除菌成功率の向上と胃がん予防への貢献が期待できます。さらに、佐賀県など全国複数の自治体でおこなわれている若年者ピロリ検診(将来の胃がんを予防するために中学生でピロリ菌の検査・除菌をおこなう検診)への活用に期待されます。

※全自動遺伝子解析装置「Smart Gene®」(㈱ミズホメディー)

 

【参考文献】
 1.Uemura N et al. Helicobacter pylori infection and the development of gastric cancer. N Engl J Med. 2001;345:784–789.
 2.Miyata E et al. Eradication therapy for Helicobacter pylori infection based on the antimicrobial susceptibility test in children:
  a single-center study over 12 years. Helicobacter. 2021;26:e12764.
 3.日本ヘリコバクター学会ガイドライン作成委員会. pylori感染の診断と治療のガイドライン 2024年改訂版. 第1版第1刷. 東京: 株式
  会社先端医学社; 2024年11月15日, p.65–67, p.182.

【販売元の企業】
 会社名:株式会社ミズホメディー
 本社:〒841-0048 佐賀県鳥栖市藤木町5番地の4
 設立:1977年11月2日
 代表:代表取締役 唐川 文成

【基となった研究成果の概要】
①https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33228552/
 BMC Gastroenterol. 2020 Nov 23;20(1):397.
 Assessment of a novel method to detect clarithromycin-resistant Helicobacter pylori using a stool antigen test reagent

②https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35562319/
 J Gastroenterol Hepatol. 2022 Sep;37(9):1719-1725.
 Smart Gene™ as an effective non-invasive point-of-care test to detect Helicobacter pylori clarithromycin-resistant mutation

③https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36765451/
 Expert Rev Gastroenterol Hepatol. 2023 Mar;17(3):309-310.
 A true point-of-care molecular testing method for tailored therapy for Helicobacter pylori eradication

【researchmapのリンク先】
 佐賀大学 医学部附属病院 小児科 診療准教授 垣内 俊彦
 https://researchmap.jp/tkyy1115

【本件に関する問い合わせ先】
 佐賀大学医学部附属病院 未来へ向けた胃がん対策推進事業センター
 住所:佐賀県佐賀市鍋島5-1-1 地域医療支援センター1F
 TEL: 0952-34-3003

 株式会社ミズホメディー 学術担当窓口
 住所:佐賀県鳥栖市藤木町5番地の4
 TEL:0942-84-5486
 E-mail:gakujutu@mizuho-m.co.jp

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