心不全研究の広域的な実践に対して臨床薬理研究振興財団賞学術奨励賞を受賞

【受賞者】
佐賀大学医学部 内科学講座(循環器内科) 田中 敦史 特定教授
【受賞した賞の名称】
第36回(2025年度)臨床薬理研究振興財団賞学術奨励賞
【受賞先】
公益財団法人 臨床薬理研究振興財団
一般社団法人 日本臨床薬理学会
【受賞した日】
2025年12月5日
【受賞した研究の題目】
心不全の時間的・空間的多様性を考慮した新規臨床マーカーの探索と治療応用
【受賞につながった研究内容】
私は佐賀大学医学部循環器内科において、野出孝一先生(現佐賀大学長)によるご指導の元、学内外の多くの研究者らと共同で、心不全の臨床研究にこの約10年間にわたって取り組んでまいりました。特に今回の受賞につながった研究は、過去に当学のプレスリリースでもご紹介いただいた「急性心不全患者に対するエンレスト早期投与の有効性と安全性の検証試験」(https://www.saga-u.ac.jp/koho/press/2024083134320)と「心不全患者における遠隔モニタリングの高次脳機能に対する有効性とその意義の検証試験」(https://www.saga-u.ac.jp/koho/press/2025042537218)となります。前者では、日本人のデータが少ない急性心不全患者さんの薬物療法について、佐賀県を含む日本全国の計44施設と共同で新たな薬物治療戦略の有効性と安全性を証明することができました。また後者では、佐賀県内の医療機関における慢性心不全患者さんを対象に、高次脳機能の一つである実行機能が予後と密接に関連し、患者さん自身による体調のセルフケアに対するサポートケアが実行機能の改善に有効である可能性を見出しました。これらの研究は、増え続ける心不全患者さんに対して、従来とは異なる新たな治療アプローチとして注目を集めており、こうした一連の研究活動の成果が認められたものと考えています。
【その他特記事項】
上記いずれの研究においても、関連する臨床的な課題がすべて解明・解決されたわけではありません。特に、一連の研究で対象としてきた急性心不全の薬物療法や慢性心不全における実行機能の役割については、研究例が未だ少なく未知の部分も多いことから、さらなる研究の発展が必要です。そのため、この度の学術奨励賞受賞を契機として、これまでの知見を元に研究をさらに大きく、深く発展させていきたいと考えています。
最後になりますが、これまでの一連の研究にご協力をいただいた患者の皆様をはじめ、携わってくださった多くの共同研究者、医療関係者の皆様の御尽力にこの場をお借りして厚く感謝申し上げます。本受賞では、次年度以降の日本臨床薬理学会学術総会にてその後の研究成果を発表させていただきますので、引き続きのご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
【researchmapのリンク先】
https://researchmap.jp/TanakaAtsushiSaga

【臨床薬理研究振興財団賞学術奨励賞の賞状と田中特定教授】
【本件に関する問い合わせ先】
佐賀大学医学部循環器内科 田中敦史 E-mail: tanakaa2@cc.saga-u.ac.jp


