チェンマイ大学建築学部にて「Saga Machizukuri」セミナーを開催 ― 肥前浜宿を中心とした佐賀のまちづくりモデルを国際的に発信 ―

2026年1月25日、タイ王国・チェンマイ大学建築学部において、セミナー「Saga Machizukuri」が開催されました。本セミナーは、国際交流基金(Japan Foundation)の国際公募事業に採択され,本学理工学部都市工学部門の三島伸雄教授による申請書作成のサジェッションや佐賀県内におけるヒアリング対象者の紹介等を含む本学とチェンマイ大学との長年の交流を背景に実現しました。
本セミナーは、チェンマイ大学建築学部のUmpiga Shummadtayarアンピガ・シューマッドタイヤー准教授(2014年佐賀大学博士号)、Kitika Chiranthaninキティカ・チランタニン准教授、Sant Suwatcharapinunサント・スワチャラピヌン准教授を中心とする研究グループが主催し、チェンマイ市職員、大学関係者、研究者、学生など、約50名が参加しました。参加者の中には、これまで鹿島市を訪問し、佐賀大学および肥前浜宿の関係者と継続的な交流を行ってきたチェンマイ市職員も含まれており、長期的な国際的信頼関係に基づくセミナーとなりました。本学からは三島教授が現地に参加し、成果発信を高める役割を担いました。
当日は、国際交流基金(Japan Foundation)日本研究・国際対話部長の増木帆乃氏も参加し、チェンマイが世界文化遺産を目指すなかで、日本とタイにおける歴史都市の高齢化や災害増の共通課題解決への貢献など、学術交流・文化交流の意義について挨拶が行われました。外務省所管の外郭団体である国際交流基金が関与する本セミナーは、大学間交流にとどまらず,日本の知見を国際社会へ発信する文化外交・学術外交の一環としても位置づけられます。
セミナーでは、日本の重要伝統的建造物群保存地区等の発展を踏まえ、佐賀県鹿島市のガタリンピックや肥前浜宿における地域固有の自然や歴史の保存と居住継続を両立させた自発のまちづくりの実践や三島教授を始めとする本学の研究者や学生の参画を中心に、佐賀市、嬉野市、唐津市など、佐賀県内各地で展開されてきた地域デザインの取り組みが体系的に紹介されました。特に肥前浜宿の事例は、住民・自治体・大学が長期にわたり協働し、伝統的な文化資源を活かしながら観光と生活の調和を図ってきた点が高く評価され、歴史都市における持続可能な地域づくりのモデルケースとして、参加者から大きな関心が寄せられました。
議論の中では、佐賀では民間の中間支援組織であるNPOが歴史的町並みの保存・活用を支えている一方で、チェンマイにおいてはNGOが中心的な役割を果たす点が指摘され、佐賀のような市民中心の仕組みがタイの歴史都市における今後の地域運営の参考になるとの意見が出されました。これは、制度や文化の異なる国においても応用可能な「地域共創型まちづくりモデル」としての日本の経験が国際的に共有されたことを示しています。
三島教授も「Trends in Population Decline in Japan and Saga Prefecture 日本と佐賀県の人口減少の傾向」と題して講演しました。講演では、佐賀県は人口規模こそ全国的に小さいものの、人口減少率では2024年時点で19位と相対的に健闘していることが示されました。そして、2000年に鹿島市・嬉野市で−6~8%であった人口減少率が、2024年には−3~5%に改善していることを示し、地域主導のまちづくりや駅前広場整備などのプレイスメイキングが有効に機能している点が紹介されました。
今後は、本セミナーで扱われた内容を含め、日本の地域活性化の考え方や実践を体系的にまとめたタイ語書籍『Decoding: the local revitalization Japan(日本の地域活性化を読み解く)』が、2026年4月にチェンマイ大学出版社により発刊される予定です。三島教授も序文を書いています。佐賀の事例が今後さらに広くタイ社会に発信されることが期待されています。
このように本セミナーでは、世界遺産登録、観光の持続可能性、居住環境の維持といった国際的課題を背景に、日本とタイの歴史都市を比較しながら意見交換が行われました。本セミナーを通じて、佐賀大学は、国内で培った地域共創型まちづくりの知見をアジア地域へ展開する拠点的役割を果たしています。

セレモニー前の主催者や三島伸雄教授・増木帆乃氏のグループ写真

アンピガ・シューマッドタイヤー准教授による主催者挨拶

Japan Foundation助成の申請代表者サント・スワチャラピヌン准教授の挨拶

日本交流基金・増木帆乃氏の招待者挨拶

キティカ・チランタニン准教授の発表

チェンマイ大学研究者による成果発表

三島伸雄教授の講演

Saga Machizukuriセミナーのフライヤー
【本件に関するお問い合わせは】
佐賀大学 理工学部(部署)教授・三島 伸雄
TEL: 0952-28-8703、E-mail:mishiman@cc.saga-u.ac.jp


