農学研究科の大学院生が2026年日本ベントス学会で優秀発表賞を受賞

【受賞者】
佐賀大学大学院農学研究科 中川潤紀
【受賞した賞の名称】
日本ベントス学会学生優秀発表賞
【受賞先】
日本ベントス学会
【受賞した日】
2026年9月6日
【受賞した研究の題目】
「環境変化は二枚貝内在菌由来の硫化水素生産量にどう作用するか?〜貧酸素と低塩分の複合影響〜」
〇中川潤紀1, 猪股寛大1, 松田烈至2, 山口啓子2, 梅原亮3, 端野開都1, 折田亮4
1: 佐賀大学農学研究科、2: 島根大学生物資源科学部、3: 広島大学環境安全センター、4: 佐賀大学農学部
【受賞につながった研究内容】
沿岸域では、海の貧酸素化に伴い硫化水素(H₂S)が発生し、底生生物の生存を脅かすことが知られています。本研究では、これまで十分に検討されてこなかった二枚貝内在菌に着目し、貧酸素化と低塩分化が内在菌叢およびH₂S生産に及ぼす影響を検証しました。有明海産のサルボウガイ、アサリ、ハイガイ、広島産のアサリ、中海産のサルボウガイを用いて実験した結果、貧酸素条件では、全ての二枚貝種で、二枚貝内部からH₂Sが発生し、その発生量が種間で異なることが明らかになりました。更に、貧酸素条件に低塩分条件が加わると、H₂S発生量が貧酸素条件の時よりも低下することが全種に共通しました。種間におけるH₂S発生量の違いには、内在菌叢の違いが関与しており、特に硫酸還元菌と硫黄酸化細菌のバランスによって規定されていることが示唆されました。
【その他PRしたい特記事項】
従来説では、海が貧酸素化すると、底泥中に棲む硫酸還元菌の働きにより、硫化水素が発生し、その発生した硫化水素の影響で、底生動物が斃死する恐れがあると考えられています。本研究成果より、海が貧酸素化すると二枚貝の内部でも細菌の働きにより硫化水素が生成されたり、消費されたり(無毒化されたり)する複雑な動態があることが見えてきました。
今後、地球温暖化とともに、貧酸素化する海域や期間が増加することが懸念されています。加えて、近年は集中豪雨が多発しており、閉鎖性の高い海域では一時的に低塩分化するリスクが高まっています。本研究成果は、海の貧酸素化や低塩分化などの環境変化が、海底に潜む生物に及ぼす影響を理解することへの貢献が期待されます。
本研究は、JSPS科研費24K15260の助成を受けたものです。
【researchmapのリンク先】
https://researchmap.jp/ryo_orita


【本件に関する問い合わせ先】
佐賀大学農学部 准教授 折田 亮
E-mail:ss7427@cc.saga-u.ac.jp


