ARITA×SOGETSU研究発表展(東京)
有田焼がこれまで主力としてきた業務用食器市場が縮小する中で、産地がこれまでターゲットとしてこなかった分野への市場開拓は喫緊の課題となっています。
食器は食材が盛り付けられることによって、花器は花材がいけ込まれることではじめて「うつわ」としての存在が全うされるものです。ですから華道と花器はその成り立ちの頃から密接な関係を持っていたと言えます。
本研究では有田焼窯元(㈱アリタプラス)が芸術分野(いけばな草月流)と協働で花器を開発、最終的には製品化にまでつなげ、新規市場を開拓することを目標としています。
花器を開発する協働作業の過程において、有田焼の強みである卓越した技術力と多彩な表現力、それに加えて有田の地で長きにわたり培われた美意識や芸術性を最大限に引き出し、また双方が新しい表現を探求し、触発し合うことで、新たな芸術の共創に向けて挑戦する試みです。
産業振興、地域振興においては当事者が自ら考え、発想し、行動することが何より重要です。
さらにその取組を長期にわたって行い、より多くの人を巻き込むことが最終的に持続性のある産業・地域の活性化と自立につながると考えています。本研究では、研究者は創造的なプロセスの組み立てと場作りをファシリテートすることに努め、窯業者と華道家の自由な発想を促す役割を担っています。
これまでに有田キャンパスにおいて、技術・表現力の高い華道家が窯業者・佐賀大学教員・学生を対象にいけばなデモンストレーション(いけこみ実演)やいけばな体験教室を行いました。ナマの芸術活動に触れることの少ない環境下にあって、いけばな関連のイベント参加者の創作意欲を触発し、また若い世代にこの取組みを知ってもらい、日本の文化や伝統に興味や関心を集めることで、次の世代の産地の後継者が生まれることを期待しています。
伝統はそれぞれの時代の先駆者の挑戦の積み重ねによって継承されてきました。この取組みが、互いが踏み出す新しい一歩になることを願っています。
【ARITA×SOGETSU研究発表展スケジュール】
2021.12.14(火)〜12.18(土) 10:00〜17:00(最終日は15:00まで)
草月会館2階談話室 東京都港区赤坂7-2-21
12.15(水) 14:00〜15:30 ㈱アリタプラス 寺内信二氏 ギャラリートーク
企画・運営:佐賀大学 肥前セラミック研究センター 本田智子
参加メンバー:㈱アリタプラス / 寺内信二 原田耕三郎 徳永弘幸 原田吉泰
草月流 / 内藤華了 後藤麗美 平井夏光
有田町メンバー:有田町地域おこし協力隊 / 壱岐成太郎
有田町地域活性化企業人 / ANA総合研究所/兼頭理織
草月流東京展メンバー / 遠藤桜泉、小野清翠、金子翠生、齋藤庭黎、
勅使河原明美、橋爪千峰、栁沢香翠
展覧会ウェブサイト https://as.crc.saga-u.ac.jp
主催:佐賀大学 肥前セラミック研究センター
会場となる草月会館
有田キャンパスにて開催した草月流師範顧問によるいけばな教室
日時:2021.10.30
会場:佐賀大学有田キャンパス2階プロジェクトルーム
参加:10名(ARITA ×SOGETU PROJECT関係者、佐賀大学教員・学生)
指導:内藤 華了(草月流師範一級顧問)
先行して行っている取り組み①
これまでの有田焼のイメージが払拭されたというご意見を多く頂いています。
先行して行っている取り組み②③
花器と花材、双方の魅力が掛け合わされ、調和と刺激が感じられる作品となっています。
【本件に関する問い合わせ先】
佐賀大学肥前セラミック研究センター(担当:本田 智子)
〒844-0013 佐賀県西松浦郡有田町大野乙2441-1
TEL : 0955-29-8888 (代表)
email : thonda (at) cc.saga-u.ac.jp