「佐賀県における神経難病診療支援体制の構築」事業

【事業の概要】
 筋萎縮性側索硬化症やパーキンソン病などの神経難病は、発病機構が不明で治療法も確立しておらず、長期の療養が必要と考えられてきた。以前は希少疾患と考えられていたものが多かったが、人口の高齢化とともに患者数は右肩上がりに増加しており、適切な診療体制の構築が喫緊の課題である。また、核酸医薬品や遺伝子治療などの病態に基づいた新規治療法が近年になって次々と開発されており、診断の遅れが取り返しのつかない後遺障害に直結する時代になっている。
 本事業は、佐賀県において適切な診断と診療を行うことができる医師を育成し、早期診断・治療ができる体制を構築することにより、長期的な介護負担の軽減と患者QOL の向上を図る。また、中核病院以外にも神経難病診療が可能な医師を配置し、在宅医との交流も積極的に行うなど、神経難病診療の均てん化を図る。
 なお、本事業の実施にあわせ、令和7年7月より神経難病診療に軸足を置いた医師を1名採用することとしており、事業実施体制の強化を図る。

【現状と課題】
・脳神経内科が診療を行う疾患は、脳卒中、てんかん、頭痛などのコモンディジーズだけでなく、筋萎縮性側索硬化症やパーキンソン病をはじめとした神経難病も含まれている。
・佐賀大学医学部附属病院は、佐賀県中部の中核病院として二次から三次救急に該当する脳卒中患者の多くを受け入れており、脳神経内科が初期対応および入院加療の中心的役割を担っているため、現状は脳神経内科の診療と教育に関するエフォートの大部分は脳卒中関連のものが占めている。
・神経難病の発症には加齢が重要な役割を果たすため、今後の高齢化に伴い患者数は増加することが予想されるが、佐賀県内の神経内科専門医数は全国より少ない。

【事業の必要性と目的】
・神経難病に対しては、近年、核酸医薬品や遺伝子治療などの病態に基づいた新規治療法が次々と開発されており、十分な知識を持った脳神経内科医が迅速に的確な診断を行い、適切な治療を開始する必要性が高まっている。
・これからの佐賀県における高齢化とそれに伴う神経難病患者数の増加に対応するため、今後は介護体制の構築だけではなく、神経難病診療を担うことができる医師の育成が必要である。
・本事業では、神経難病診療を担うことができる医師を育成することによって、佐賀県における神経難病の診療体制を充実させ、症状が進行する前に脳神経内科を受診できるようにすることで長期的な介護負担の軽減と患者QOL の向上を図る。
・長期的には、育成した医師を中核病院以外にも派遣し、在宅医との交流も積極的に行うなど、佐賀県における神経難病診療の均てん化を図る。

【本事業を本院が実施する必要性】
・佐賀大学医学部附属病院は、難病に対する専門的医療を包括的に行う医療機関かつ難病診療連携拠点病院であり、県内の脳神経内科医の育成において中核的な役割を担っている。
・医学部生の教育も担っており、卒後教育だけでなく、卒前教育においても神経難病の診療に加えて、病態の解明と新規治療法の開発における進歩を示すことによって、この領域に興味を持ち、卒業後に佐賀県での診療を継続する希望者の増加に寄与することができる。

 

【本件に関する問い合わせ先】
 事業代表者:小池春樹
 所属:佐賀大学 脳神経内科
 電話:0952-34-2363
 FAX: 0952-33-1687
 Email: koike@cc.saga-u.ac.jp(小池春樹)

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