緑茶カテキンの新型コロナウイルス感染阻害メカニズムを解明! ~「ピロガロール型」カテキンがウイルスのヒト細胞への侵入を強力にブロック~

【研究成果の概要】
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、ウイルスの表面にあるスパイクタンパク質がヒト細胞のACE2受容体に結合することで感染を開始します。本学、先進健康科学研究科2年生 松本 芙葉と光武 進 教授らは、独自に構築した細胞ベースの疑似ウイルス感染アッセイを用い、14種類のカテキン誘導体がこの結合を阻害する効果を評価しました。
その結果、エピガロカテキンガレート(EGCG)やガロカテキンガレート(GCG)など、化学構造の「B環」に3つの水酸基を持つ「ピロガロール型」のカテキンが、強い感染阻害効果を示すことを発見しました。さらに、シミュレーション解析により、ピロガロール型カテキンとスパイクタンパク質の493番目のグルタミンが水素結合を形成し、安定した複合体を作ることが強力な阻害効果の鍵であることを明らかにしました。
また、茶葉の加工過程等で生じる「非エピ型」カテキンが、より強力にウイルスに結合することも示唆されました。緑茶カテキンは新型コロナウイルスの感染予防に効果がある可能性が示唆されていましたが、本研究は、そのメカニズムの一端を解明した研究です。茶葉の加工法によりその効果が大きく変化する可能性を示し、産業的にも興味深い研究といえます。

【研究成果の公表媒体(論文や学会など)】
Scientific Reports (2026) 16, 11413
“Pyrogallol B-ring enhances catechin binding to the SARS-CoV-2 spike receptor-binding domain to inhibit interaction with ACE2”
Futaba Matsumoto, Satomi Nagai, Nanako Ikeda, Kanji Ishimaru, Kozue Sakao, Takeshi Miyata, Yoichiro Hama & Susumu Mitsutake
DOI:10.1038/s41598-026-41170-6
【今後の展開】
カテキンは体内に吸収されにくい性質がありますが、本研究で有効性が確認されたカテキン濃度は、一般的な緑茶飲料に含まれる濃度と同等です。そのため、日常的な緑茶の飲用や緑茶を用いたうがいが、ウイルスの主要な侵入経路である口腔や鼻腔などの粘膜表面において、局所的な予防効果や初期の抗ウイルス効果を発揮する可能性があります。抗ウイルス効果が茶葉の加工法によって大きく変化する可能性を示したことから、感染予防策効果の高い緑茶の開発につながる可能性があります。カテキン類とSARS-CoV2は多数の結合様式を持ち、ウイルスが変異した場合にも一定の結合を示します。このことは、ウイルスの変異へ対応可能な新しい予防薬・治療薬開発の概念を提唱しているのかもしれません。
【その他PRしたい特記事項】
これまで緑茶の主要成分であるEGCGに焦点を当てた研究はありましたが、本研究は多様なカテキンの構造(ピロガロール型とカテコール型、エピ型と非エピ型)と阻害効果の関係を詳細に比較した先駆的な研究成果です。特に、市販のペットボトル入り緑茶飲料にも多く含まれる「非エピ型」カテキンの有用性に光を当てた点は、食品の健康機能の再評価に繋がる重要な発見と言えます。
【researchmapのリンク先】
https://researchmap.jp/read0116883
【本件に関する問い合わせ先】
佐賀大学 農学部 光武 進 (Susumu Mitsutake)
Tel:0952-28-8706,
E-mail:susumumi@cc.saga-u.ac.jp


