平成18年度佐賀大学学位記授与式式辞
文化教育学部 | 303名 |
---|---|
経済学部 | 278名 |
医学部 | 159名 |
理工学部 | 460名 |
農学部 | 150名 |
計 | 1,350名 |
教育学研究科 | 46名 |
---|---|
経済学研究科 | 11名 |
医学系研究科 | 24名 |
工学系研究科 | 186名 |
農学研究科 | 60名 |
計 | 327名 |
医学系研究科 | 7名 |
---|---|
工学系研究科 | 5名 |
計 | 12名 |
学位を授与された皆さん、おめでとうございます。
皆さんが初心を貫き、それぞれ目標とした学位の取得に精励し努力されたことに深く敬意を表します。この会場は皆さんの喜びと充足感で満ち溢れています。本日は、皆さんのこれまでの人生において最も記念となる一日となるでしょう。
また、ご参列いただいています保護者の方々、学位取得に向けて常に支援を続けてこられた支援者の方々、今日の日を無事に迎えられ長い間のご苦労が報われたものと推察いたします。おめでとうございます。
私ども佐賀大学の役職員は、学位を取得した学生の皆さんを誇りに思うと共に保護者、支援者の皆様の期待に応えることが出来たものと安堵しております。まさに、教育に携わるもののみに与えられる教育冥利を実感しているところです。
本日学位を授与された皆さんはそれぞれの学部あるいは研究科で専門的な知識と技術を学んできました。また、佐賀大学での生活を通じて、皆さんは、年齢、国籍を超えた多くのそして多様な人々と交わり、人としての器を大きく成長させてきました。自信を持って、人生の次のステージに登場してください。 今後、皆さんは自らの判断に基づいて、さまざまな分野で知的な活動を行うことになります。その際、科学技術の動向には特に目配りする必要があります。21世紀の科学技術は、自然の破壊に始まり、人類、地球の存亡に関わる展開に結びつく可能性を孕んでいます。皆さんの諸活動は、理系分野、文系分野を問わず科学技術の影響を避けることはできません。自らの行動の目的、社会的効果を絶えず自問自答しながら仕事を進める時代です。
昨年の末、安倍内閣の誕生とともに「格差社会の問題」が取沙汰されています。この問題の深刻さは、今日の社会が格差の回復を不可能にする要因を自ら抱えていることです。今日の社会は、競争社会であり、情報社会であり、国際化社会であると言われています。
競争は格差を生み出すプロセスの主要なものです。一方、競争はあらゆるものの発展、進展を促すプロセスでもあります。何故競争するのか、競争の目的を明確にすることが重要です。今日の社会は、平和の問題をはじめ、環境、エネルギー、食糧、人口、健康福祉など多くの解決すべき問題を抱えています。これらの諸問題を解決するための競争であって欲しいと願っています。皆さんの旺盛な競争心をこの方向に向けてください。競争のための競争は格差を増大させるだけです。
情報は、本来すべての人が共有するものであり、社会の共有財産と考えるべきものです。営利目的の、私的な情報の操作は回復不可能な格差を生み出す要因の一つです。この問題は、株式市場のルールの問題として、企業倫理の問題として、ここ数年しばしばマスコミに登場する話題です。情報をどのように考え活用するか。これのことは、経済活動を志す皆さんに心がけていただきたいテーマです。
情報網と交通網の発達によって、国々をはじめ世界の至る所で地域社会の国際化が進んでいます。国際化に関して「グローバル・スタンダード」という言葉がよく使われます。世界的規模で行われている経済の大競争は、経済的なグローバルスタンダードのもとで、国、地域の間に序列をつける傾向に向かっています。科学技術の水準など地域の特性に依存しない課題について、世界基準を制定することは意味のあることです。一方、各地域の文化や歴史、その上に築かれた独自の政治や経済の仕組みにグローバル・スタンダードを適用することは不可能です。国際化とは、それぞれの地域社会のもつ多様な価値観を認め合い、平和で知的に優れた、情的に豊かな国際社会を創り上げることと思います。皆さんが国際社会で活躍するとき、この国際化の心を是非指針としていただければ幸いです。
明日から、皆さんは、あらゆる情報を駆使して競争している、複雑で一筋縄ではいかない国際社会に船出します。多くの障害に遭遇するはずです。まずは、大学で学んだ知識と技術を総動員して事に当たることです。社会での実体験は皆さんに新たな知識と技術を身につけてくれます。もし、さらに高度な知識と技術を求められたならば、佐賀大学に戻ってきてください。佐賀大学は皆さんの「知の故郷」の役目を果たすでしょう。
21世紀、人は宇宙の起源の解明に迫る、人類史上かってない最高の知識と技術を持つようになりました。皆さんは、これらの最先端の科学技術を有する人に相応しいモラルと叡智を発揮して、直面する様々な課題の解決に挑戦されることを期待しています。
平成19年3月23日
佐賀大学長 長谷川 照
このページのトップへ