内視鏡治療後の食道狭窄を簡便に予防するコラーゲンデバイスを開発しました

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内視鏡治療後の食道狭窄を簡便に予防するコラーゲンデバイスを開発

 

 

【要旨】

  内視鏡的粘膜下層剥離術後の食道狭窄を予防する貼付型コラーゲンビトリゲル膜の開発に成功。

  本製品は既存の内視鏡機器での使用が可能であり,先進医療に対応しない医療施設でも実施可能。

 

【開発の背景】

  早期食道癌患者に対して実施される内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は,患者の手術侵襲を圧倒的に軽減する治療法である。

 しかしながら,術後合併症として重篤な食道狭窄が生じるため切除面積は狭い範囲に限定されている。この狭窄に対する予防

 法は現在,確立されていない。また,近年では先進医療による予防法も治験段階にあるが,細胞調整センターなどの施設が必

 要であり,一般化は困難な状況である。本研究では,食道癌に対する内視鏡治療の適応範囲を拡大することで,患者のQOLの

 向上と医療費の削減を可能とする,汎用性が高く安価な新デバイスを開発した。

 

【開発の内容】

  佐賀大学病因病態科学・消化器内科学および農研機構からなる研究グループは,絆創膏型の人工皮膚の開発経験と,食道粘

 膜と皮膚の共通性に着目し,貼付型の食道狭窄防止用コラーゲンビトリゲルパッチを開発した。全周性の食道粘膜を切除した

 実験動物を用いて治療効果を非貼付群と比較したところ,非貼付群では高度の食道狭窄が生じたが,コラーゲンビトリゲルパ

 ッチを貼付した治療群では有意な食道開存を認めた(図)。

  本研究内容は,米科学誌Gastrointestinal Endoscopy(電子版)に,日本時間で10月17日公開された(doi information:

 10.1016/j.gie.2016.10.012)。

 

【今後の展望】

  本製品は既存の一般的な内視鏡機器を用いた取り扱いが可能であるため,食道癌への内視鏡的治療が行われている医療施設

 への導入は容易である。今後は,製薬企業の協力を仰ぎ,できるだけ早期に臨床試験を開始する予定である。

 

 ※「ビトリゲル」は,農研機構の登録商標です。

 

 

 

 

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【本件に関するお問い合わせ先】

 ○青木茂久准教授(佐賀大学医学部病因病態科学)

  コラーゲンビトリゲル医療応用 Tel: 0952-34-2253

 

 ○竹澤俊明主席研究員(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門 新産業開拓研究領域)

  コラーゲンビトリゲル発明・開発 Tel: 029-838-6294

 

 ○坂田資尚助教・下田 良助教(佐賀大学医学部消化器内科学)

  食道癌内視鏡治療 Tel: 0952-34-2361

 

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