佐賀学ブックレット⑦『佐賀藩の医学史』(青木歳幸著)刊行について

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 佐賀大学地域学歴史文化研究センターでは,研究成果を市民のみなさまにわかりやすく発信するために,年1冊「佐賀学ブックレット」を刊行しています。今回は,7冊目となる『佐賀藩の医学史』をご紹介します。

 

 幕末期の佐賀藩が西洋のさまざまな科学技術を導入し,明治期の産業の発展に寄与したことは,明治維新150年のイベントなどで,よく知られるようになりました。じつは,医学においても,佐賀藩は,近代医学推進のトップランナーでした。

 佐賀(人)が新しい文化を導入し,日本国内へ発信したのは,幕末期に限らず,古代から佐賀地域の特性でした。医学についても,幕末期だけをみるのではなく,江戸時代前期から通観することで,時代の変化を先取りした佐賀の姿を明らかにすること,それが本書の目的です。

 

 ◆ 本書の目次と明らかになった内容を簡略に紹介します。

「江戸時代前期佐賀藩の医学」では,京都で日本一の名医といわれた曲直瀬家へ修学した肥前出身医師が最多であり,名医への医学修学が江戸前期から奨励されていたこと。

 

「佐賀藩医師の医学稽古」では,本来家業である医師とその養成はその家に任されていたのですが,佐賀藩は医学修行に補助金を出すことを制度化し,医師養成に積極的であったこと。

 

「実学の奨励と佐賀藩」では,佐賀藩は医師による医療を受けられない庶民のために『普救類方選』というよみがな付きの医療書を刊行し,領民の医療に責任をもっていたこと。

 

「西洋医学との出会い」では,佐賀藩は西洋に最も近い藩であり,長崎警備を担当していたことにより,西洋学術・文化を積極的に導入していたこと。

 

「佐賀藩医学教育の普及」では,1785年に佐賀藩は,藩医だけでなく全領内医師への医学教育を開始し,全領内医師への医学教育の方針は幕末の西洋医学校好生館まで続いたこと。

 

 

「幕末期佐賀藩の医学教育」では,医師は人の命を預かる大事な仕事と考え,試験合格者に免状を渡す医業免札制度を開始し,現在の医師の国家資格試験制度の先駆となったこと。また好生館において,漢方医を禁止し,近代医学である西洋医学研修を全領内医師に命じたこと。

 

「種痘の導入と普及」では,最大の疫病である天然痘予防策である種痘に最初に成功した佐賀藩が,全額藩費で領内へ組織的に普及し,全国へも普及させたこと。

 

「近代医学・薬事制度と佐賀藩」では,佐賀藩出身医師らが「医制」を起草し,我が国の近代医学・薬事制度の基礎を作り上げたこと。

 

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【本件に関するお問い合わせ先】

   佐賀大学 地域学歴史文化研究センター

   TEL / FAX 0952-28-8378 

 

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