九州初の高磁場術中MRIが稼働! – 脳腫瘍手術の安全性と精度が向上 –

【概要】
 佐賀大学医学部附属病院は、手術の安全性と精度を大幅に向上させるため、九州地区で初めて高磁場術中MRI装置を導入しました。この新しい技術は、手術中にリアルタイムでの高解像度画像診断を可能にし、外科医が手術中の患者さんの状態を正確に把握できるようサポートします。特に、摘出率が治療に重要な脳腫瘍の手術で威力を発揮します。


手前が手術室。ドアの先が高磁場MRI検査室

 MRI装置は脳腫瘍の診断に極めて有用ですが、非常に強力な磁場を生成します。そのため、患者さんの安全を確保する必要があり、検査室への金属製品の持ち込みは固く禁止されています。それでも手術中に脳腫瘍の摘出具合を確認することは有益であり、低い磁力のMRI検査装置を手術室内に設置し、一定の距離には金属製品を近づけないようにして、MRI撮影が行われてきました。しかし、低磁場術中MRIでは、解像度が低いため詳細な情報を得ることが難しく、手術中の判断に制約がありました。これに対し、高磁場術中MRIでは、これまでより高解像度の画像を取得することで、神経線維を描出し、重要な神経の走行を正確に把握することが可能になりました。

 
MRI(写真左)で撮影した画像をナビゲーションシステム(写真右)に反映

 当院では手術室と隣接した高磁場MRI検査室を設置し、その間を患者さんが全身麻酔のまま行き来することで、高磁場でのMRI検査を可能にしています。脳は豆腐のように柔らかい臓器で、摘出を行っていくと脳が移動(シフト)し、ナビゲーションシステムに表示される当初の画像とはズレが生じますが、手術中に再度MRI検査を行うことで、脳の中の手足を動かす部位や言葉を話す部位など、日常生活に直結する重要な部位を同定しながら、肉眼ではわからないようなわずかな脳腫瘍の残存を検出します。撮影した画像は手術ナビゲーションシステムへすぐに反映され、外科医はより正確な手術を行うことができ、安全かつ最大限に脳腫瘍を摘出します。
 この技術は、患者さんの負担を軽減し、手術の効果を最大限に高めることを目指しています。

 今後も、佐賀大学医学部附属病院は最新の医療技術を取り入れ、地域の皆様に信頼される医療サービスを提供してまいります。

 

【本件に関する問い合わせ先】
 佐賀大学医学部脳神経外科 Tel:0952-34-2346

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