国内初!ミッドラインカテーテルに関する書籍を出版
【概要】
2025年4月3日、国内初となるミッドラインカテーテルに関する書籍「すぐわかる!ミッドラインカテーテル46の疑問」が発売されました。ミッドラインカテーテルとは、一般的な点滴確保が困難な患者さんに対して、超音波装置を使用し、上腕の静脈から挿入するカテーテルのことです。日本国内では2024年から導入となったばかりの新しい治療方法です。
これまで、点滴確保が難しい患者さんに対しては、確保できるまで繰り返し穿刺をするか、頚部から心臓に向けてカテーテルを挿入する中心静脈カテーテル留置が一般的でした。しかし、中心静脈カテーテルに関連した死亡事故が相次いでおり、2023年3月には一般社団法人日本医療安全調査機構より、「中心静脈カテーテル挿入・抜去に係る死亡事例の分析 第二報(改訂版)」が公表されています。
ミッドラインカテーテルは、上腕の静脈を穿刺するため、致死的な合併症が起こるリスクが極めて低く、安全性の高い治療方法です。治療を受ける患者さんの負担軽減に大きく貢献するとともに、一般的な点滴のように数日おきに交換する必要がなく、一度挿入すれば最大30日間の留置が可能です。そのため、患者さんのみならず、医療従事者の負担軽減、働き方改革の観点からも有用な治療選択肢となります。
佐賀大学医学部附属病院 高度救命救急センターでは、こうした新しい治療法を先駆的に取り入れ、すでに100例以上の治療経験があります。その経験をもとに、国内初となるミッドラインカテーテルに関する書籍を執筆しました。
〇活動の目的
ミッドラインカテーテルを用いた安全で確実な点滴確保を通じて、患者さんにやさしい治療を行うことを目的として日々の診療に取り組んでいます。しかし、この新しい治療デバイスは、まだまだ認知度が低く、患者さんにも医療者にも十分に知られていないのが現状です。ミッドラインカテーテルは、患者さんにとっても医療者にとっても「やさしく」「安全」な選択肢であることを、より多くの人に知ってほしいという思いから、このたび書籍を出版しました。
〇期待される成果
ミッドラインカテーテルが普及することで、患者さんはより安全な治療を受けられるようになります。また、点滴交換のたびに繰り返し穿刺されることがなくなり、治療満足度の向上が期待できます。さらに、医療者も点滴確保に費やす時間が減少し、労働環境の改善にもつながります。
↑ミッドラインカテーテルは上腕を穿刺するので安全 ↑中心静脈カテーテルは頸部を穿刺するので危険性が高い
書 名:すぐわかる!ミッドラインカテーテル46の疑問
監 修:阪本 雄一郎(佐賀大学医学部救急医学講座 教授)
著 者:中山 賢人(佐賀大学医学部附属病院 高度救命救急センター 助教)
出版社:南山堂
ISBN:978-4-525-41241-8
【本件に関する問い合わせ先】
849-8501 佐賀市鍋島5丁目1-1
佐賀大学医学部附属病院 高度救命救急センター 中山 賢人
TEL:0952-31-6511