冨永 昌人 教授がエジプト国立研究所、 インドネシア・スラバヤ工科大学から学生を受け入れて JST「さくらサイエンスプログラム」共同研究活動を実施

【概要】
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)日本・アジア青少年サイエンス交流事業「さくらサイエンスプログラム」の共同研究活動コースに採択され、理工学部化学部門の冨永 昌人 教授が、エジプト国立研究所から2名の大学院生、インドネシアのスラバヤ工科大学から1名の大学院生と1名の学部生を受け入れ、10日間の共同研究活動を行いました。
【本文】
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)「さくらサイエンスプログラム」の国際交流事業として,2025年11月25日から12月4日の10日間,エジプト国立研究所の大学院生のShereen Tarek Hamed Mohamed Mahmoudさん、Suhila Mohamed Kadry Mahmoudさん、インドネシアのスラバヤ工科大学の大学院生のAkda Zahrotul Wathoniさん、学部生のTsana Cholidahさんの合計4名が、理工学部化学部門電気化学研究室(冨永 昌人 教授)において、「微生物電気化学システムにおけるカソードの開発」の共同研究活動を行いました。
【共同研究活動】
微生物電気化学システムは、微生物燃料電池による発電と水質浄化に加え、排水等からの栄養素を回収できるシステムです。今回のプログラムでは、同システムのカソードの性能向上を目指した共同研究活動を実施しました。具体的には、酸素還元反応性の効率化と低コスト化のために、アミノ酸修飾カーボン電極とフタロシアニン系触媒修飾電極を作製してその酸素還元能の解析を行いました。
プログラム最終日には、4名の招聘者が,母国大学での研究や本プログラムでの成果について各15分程度の英語でのプレゼンテーションを行いました。冨永研究室の学部生・大学院生も全員が各自の研究内内容を英語で3〜5分間紹介しました。
【体験プログラム】
プログラム5日目の11月29日(土)に、熊本市街を訪問し、熊本城や水前寺成趣園を視察して日本の歴史や文化について理解を深めました。参加者は日本の新幹線も体験しました。また市バスを使って通学していただき、日本の優れた交通システムを体験しました。またプログラム8日目の12月2日(火)には、佐賀市エコプラザと佐賀城本丸歴史館を視察して、佐賀市が取り組むリサイクルシステムや明治初期の日本の科学技術の最先端にあった鍋島藩の取組(蒸気汽船や高炉)について学び、日本文化や歴史についての理解を深めました。




【アクシデント】
実は、エジプト国立研究所からの渡航者の往路便が大幅に遅延し、乗り継ぎ地であるドーハにて約18時間の待機を余儀なくされました。これは、エチオピアの火山が約1万2千年ぶりに突然噴火し、大量の火山灰が上空に拡散したことが原因でした。エジプト国立研究所の学生にとっては今回が初めての国際渡航であったため心配していましたが、航空会社(日本の航空会社)の適切な対応により、ドーハでの滞在および羽田での宿泊はいずれも問題なく行われました。その結果、プログラムの開始は当初予定より半日遅れることになりましたが、全体としては予定通り実施することができました。
【主にお世話をした研究室学生の感想】
研究や視察などを支援した研究室の学生にとっても有意義な研修活動となりました。以下に、プログラムを支援してくださった学生の感想を紹介します。
M.Y.(D3)さん:
I am very grateful to have participated in this Sakura Science Program, especially since I was also part of the Sakura Science participants in 2019. That experience left a great impression on me and I was inspired by the research environment and advanced laboratory here. This year, I wanted to share the same excitement and motivation with the participant during their experimental activity. Guiding the experiment was fun and challenging since the participant came from different research backgrounds. This required me to explain the procedures more clearly and in the simplest term they could understand. This experience has encouraged me to become a better communicator as a researcher and I hope the participants were able to feel the same positive energy that I once did.
I.A.(D1)さん:
By joining the Sakura Science program, I could meet with students and teachers from universities around the world. This year, I met new student from Institut Teknologi Sepuluh Nopember, Indonesia. In this program, I also very happy to meet again with the students from National Research Centre, Egypt. Within this program I had the opportunity to did experiment, presentation, and discuss many things ranging from science, research, cultures, and languages. I also explored unique foods and snacks from each other countries. Sakura Science was a great experience not only for the invited student, but also for me, to improve my scientific skills, communication, and public speech. I hope, I can keep the connection I built with all the students and lecturer from this program when I become researcher or lecturer in the university.
K.T.(B4)さん:
今回、サクラサイエンスプログラムに参加したことで、英語を学ぶ意味についての考え方が大きく変わりました。参加前は「日本から出る予定もないのに英語を勉強する必要があるのか」と疑問を抱いていましたが、日本語が通じない方々に実験のレクチャーする中で、英語で価値観を共有できる楽しさと、うまく伝えられない悔しさを体験しました。
この経験を通して、英語を使えるようになりたいという思いが強まり、外国人と共生するこれからの社会で多様な文化に触れる第一歩になると感じました。
サクラサイエンスプログラムは、私に英語を勉強する意味を気づかせてくれた有意義な機会でした。
【本件に関する問い合わせ先】
佐賀大学理工学部総務 電話 0952-28-8513


