日本酒酵母の数百年にわたる選抜の秘密が明らかに!日本酒品質の向上技術への応用も可能に!
日本酒酵母の数百年にわたる選抜の秘密が明らかに!日本酒品質の向上技術への応用も可能に!
この度,佐賀大学,酒類総合研究所,国立遺伝学研究所,情報・システム研究機構,佐賀県工業技術センター,イタリア・
バリ大学のグループは,伝統的に使われてきた日本酒酵母の一部が,11番染色体が3本に増えるという独自の染色体構成
を持つことで好ましい醸造特性を獲得したことを解明しました。
さらに,他の染色体も増えると好ましい日本酒醸造特性を獲得する可能性も示しました。こうした日本酒酵母の変化は,稀
な現象ながら自発的に起きるものであり,数百年にわたる日本酒酵母の進化と自然選択・人為選抜の歴史の中で,優良な酵母
が生まれてきた原因の大きな一端を担ってきたといえるでしょう。
今回の発見は,遺伝子組換技術を使わずに,食経験豊かな,日本酒酵母の染色体構成の自然な変化を利用して好ましい
形質の醸造酵母を育種できることを世界で初めて示したものであり,米国微生物学会が発行する
Applied and Environmental Microbiology (アプライドアンドエンバイロンメンタル・ミクロバイオロジー)に査読付論文
として受理されました。
なお,本研究成果は2017年10月に行われた国際学会International Conference on Applied Microbiology and
Beneficial Microbesで農学研究科大学院生の藤丸裕貴君が発表してベストポスター賞を受賞し,また2017年9月に早稲田
大学で行われた日本生物工学会でも競争倍率27倍でトピックスに選ばれています。
【この件に関するお問い合わせ先】
佐賀大学農学部生物環境科学科 教授 北垣浩志
TEL: 0952-28-8766