公平な利益分配でスリランカを支援。スリランカ有用植物産業化コンソーシアムを設立しました
国や企業,大学の枠組みを越えて,公平な利益分配でスリランカを支援 スリランカ有用植物産業化コンソーシアム設立
【概要】
国立大学法人佐賀大学農学部は,株式会社アルビオン(小林章一代表取締役社長),東京農業大学(髙野克己学長),ワヤンバ
大学畜産水産栄養学部(スリランカ・マカンデュラ,アベシンハ学部長)との4者間で,「スリランカ有用植物産業化コンソーシ
アム」を設立いたしましたのでお知らせいたします。
スリランカが固有の植物の宝庫でもあり,アーユルヴェーダなどの薬草を生かした伝統医療が盛んなことなどから,2014年
に株式会社アルビオンと東京農業大学生物産業学部が共同で「スリランカ伝統植物研究所」を設立。本学農学部は,2015年に
アルビオンと共同研究契約を結び, ワヤンバ大学畜産水産栄養学部, 東京農業大学生物産業学部と連携して, 薬草の基礎研究や
栽培研究を行ってきました。
当初より,研究で得た利益や研究結果・技術などはスリランカにフィードバックし,スリランカの産業を支援することを目的に
活動しておりましたが, このたび2017年8月に適用となった「名古屋議定書 ※」の精神に則り, 植物提供国のスリランカに
利益や技術を公平に還元する取り組みを明確にするべく,2017年9月22日に4者間で「スリランカ有用植物産業化コンソー
シアム」を設立いたしました。 11月には本学の渡邉啓一教授が, 株式会社アルビオン, 東京農業大学,スリランカのワヤンバ
大学の関係者とともにスリランカの各機関を訪れ,関係者と面談しました。
スリランカ伝統植物研究所は,2017年に研究棟や薬草園を拡大するなど順調に活動を行なっております。これまでに,本学
教員の他,延べ7名の学生が4回にわたり同研究所を訪問し研究調査を行ってきました。
当初は2019年ごろにアルビオンから,スリランカの原料を配合した商品の発売が予定されておりましたが,薬用植物「ニー
ム」 についてはすでに産業化の目途が立ち, 2018年にはアルビオンブランドの既存のスキンケア商品一品が, 原料の一部を
スリランカ産に切り替えて発売される予定です。
本コンソーシアム設立を機に, 改めて 生物多様性の保護と公平な利益還元に対処しながら, スリランカの有用植物の商品化の
ための基礎研究をさらに進めてまいります。
※名古屋議定書…海外の動植物などから化粧品や薬品,食品を開発した場合,その利益を,資源を提供した国などにも公平に
分配する国際的な取り決め。日本では2017年8月20日から適用開始。
左から 株式会社アルビオン 小林章一社長,佐賀大学 渡邉啓一教授, ワヤンバ大学研究生による研究発表
ワヤンバ大学 ウィジェセカラ上級講師,東京農業大学 山本祐司教授
研究所 圃場視察 ワヤンバ大学エカナヤケ学長との面談
名 称:スリランカ有用植物産業化コンソーシアム
設 立:2017年9月22日
国立大学法人佐賀大学 農学部
株式会社アルビオン
東京農業大学
Wayamba University of Sri Lanka Faculty of Livestock, Fisheries and Nutrition
(ワヤンバ大学 畜産水産栄養学部)
【スリランカ伝統植物研究所 概要】
ワイカーラ研究所(2014年4月設立/試験栽培および見本園)
所 在 地 Thoppuwa Junction Chilaw Road Waikkala, Sri Lanka
建 物 平屋建て(レンガ,コンクリート)
延床面積 約261㎡
薬 草 園 約3000㎡
ゴダーラ研究所(2017年8月設立/栽培実証および植物の量産)
所 在 地 No 9/3, shantha sebestian mawatha shantha helan mawatha godalla dankotuwa, Sri Lanka
建 物 平屋建て(レンガ,コンクリート)
延床面積 約115㎡
薬 草 園 約5000㎡
【本件に関するお問い合わせ先】
佐賀大学農学部 教授 渡邉 啓一
TEL:0952-28-8774