細菌成分リポ多糖の検知に重要な植物タンパク質の機能を解明しました

PRESS_RELEASE

細菌成分リポ多糖の検知に重要な植物タンパク質の機能解明

 

 細菌の細胞壁にはリポ多糖が多く含まれています。動植物の細胞はこのリポ多糖を検知することで,周りに細菌がいることを知り,有害な細菌からの攻撃に備えます。ヒトなどの哺乳動物では,佐賀医科大学(現・佐賀大学医学部)で発見されたMD-2など様々なタンパク質が,リポ多糖と直接結合することでリポ多糖を検知していることがよく知られています。一方,リポ多糖と直接結合する植物のタンパク質は,これまで報告されていませんでした。佐賀大学農学部の元大学院生・飯笹さやか(現鹿児島大学農学部研究支援員)らは,このリポ多糖検知に関わる重要な植物タンパク質について研究し,最近二つの論文を著名な国際学術誌にそれぞれ発表しました。2016年6月にサイエンティフィック・リポーツ誌(Springer Nature)に発表した論文では,AtLBR-1とAtLBR-2という二つの植物タンパク質がリポ多糖と直接結合することを示しました。次に,2017年12月にBMCゲノミクス誌(Springer Nature)に発表した論文では,最先端機器・次世代シーケンサーの活用により,AtLBR-2が細菌からの攻撃に備え,防御応答を発動する上で決定的に重要であることを突き止めました。

 本研究で注目した細菌成分リポ多糖は,多くの細菌が普遍的に持っている成分です。つまり本研究の成果は,多くの細菌に対する植物の防御応答を解明する上で基盤となります。農薬に頼らない耐病性を高めた作物の開発や,病気になりやすい作物の症状改善などにより,将来の農業の改革が期待されます。

 なお,本研究には,筆頭著者の飯笹さやかの他に,共著者として渡邉啓一(佐賀大学農学部・教授),永野幸生(佐賀大学総合分析実験センターおよび大学院農学研究科・准教授)らが佐賀大学から参加しました。

 

 

               

 

                  AtLBR-2のリポ多糖検知における機能のモデル図

 

【本件に関するお問合せ先】

   総合分析実験センター 准教授 永野 幸生(ながの ゆきお)

   TEL: 0952-28-8898

戻る

TOP