流出事故後の油臭の主成分は灯油や重油だった

 佐賀豪雨にともなう工場からの油(工場油)の流出事故後、大町町内では異臭に対する苦情が発生している。佐賀大学と日本環境化学会災害時調査手法部会では、9/2より異臭の原因物質について共同調査を実施してきた。

 

 現地調査の結果、順天堂病院周辺における異臭の印象は、下水や生ごみ臭と油臭が混合したものであった。そこで油臭に着目し、それらの成分を官能的・化学的に分析した。分析の結果、油臭の主な成分は、事故発生直後は灯油や重油の強い臭気であり、1週間程度が経過した後は工場油の弱い臭気であった。

 

 灯油や重油は揮発性が高いため事故当初より強い臭気を放ち、時間の経過とともにそれらが揮散するなかで臭気が低減していったと考えられる。一方、工場油は揮発性が低いため臭気は弱く、時間の経過とともに灯油や重油の臭気が低減したため、工場油の弱い臭気を感じるようになったと推察される。

 

 なお佐賀鉄工所からは、この工場油を50年間使用しているなかで健康被害はないこと、また工場内に灯油および重油の備蓄はあるが漏えいは無いことが確認されている。

 

【本件に関するお問い合わせ先】

  佐賀大学農学部総務

  0952-28-8713

      

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