術前中止薬管理アプリの開発
手術等の侵襲的医療行為を実施する際,事前に抗血栓薬の中止を要するかを判断し,適切な休薬期間を指示する必要がある。抗血栓薬の中止忘れ,不適切な中止,再開忘れは,重篤な医療事故につながる恐れがある。
佐賀大学医学部附属病院 横断的止血・血栓診療班(責任者;末岡榮三朗教授)と医療安全管理室(責任者;木村晋也教授)が共同で,このような事故を防ぐために「術前中止薬管理アプリ」を開発した。まず科学的根拠に基づいた術前中止薬管理データベースを構築し,「医薬品」,「出血リスク(予定手術手技)」,「血栓リスク(抗血栓薬投与目的)」の3点を選択するわずか3ステップで「休薬期間と出典」が表示されるアプリとしてプログラム,院内で使用したところ術前の中止忘れは約50%減少し,術後の再開忘れは約10%に減少した(現在英文雑誌に投稿中)。
このようなアプリの開発は世界でも類を見ず,2019年9月21日に旭川で開催された第2回日本腫瘍循環器学会学術集会においてチーム医療賞優秀賞,11月2日に福岡で開催された第29回日本医療薬学会年会において優秀発表賞が授与された。
本アプリにより科学的根拠に基づき適切な休薬指示が可能となると考えられ,全国の病院から使用許諾の依頼が来ている。
【本件に関するお問い合わせ先】
医学部附属病院・医療安全管理室 木村晋也
Tel :0952-34-2353
E-mail:shkimu@cc.saga-u.ac.jp