「地産地消型ゼロエミ植物工場基盤技術の開発」が NEDO先導研究プログラム/新技術先導研究プログラムに採択

 

 

 

 

2021年4月21日
一般財団法人 電力中央研究所
株式会社 ネクステムズ
国立大学法人 佐賀大学

 一般財団法人 電力中央研究所(東京都千代田区、理事長:松浦昌則)、株式会社ネクステムズ(沖縄県宜野湾市、代表取締役社長:比嘉直人)、および国立大学法人佐賀大学(佐賀県佐賀市、学長:兒玉浩明)は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の「NEDO先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム」における、研究開発課題D1「農山漁村に適した地産地消型エネルギーシステム技術開発、農林業機械・漁船等の電動化及びその普及に資する技術等の開発」の公募に、共同で「地産地消型ゼロエミ植物工場基盤技術の開発」(以下、本研究)を提案し、このほど採択を受けました。
 本研究は、農山漁村に豊富に存在する再生可能エネルギーを最大限活用し、既存電力系統に依存せず、また廃棄物を排出しない、次世代型ゼロエミッション植物工場の離島モデル開発を目指すものです。主な実施場所は沖縄県宮古島市、委託期間は2021年4月から2022年3月までの1年間です。

【背景】
 電力ネットワークの脱炭素化には、風力発電や太陽光発電等の再生可能エネルギー(以下、再エネ)の大量導入実現が期待されていますが、再エネの出力変動に対応するための系統柔軟性の確保が、導入拡大における重要な課題となっています。とりわけ、大規模電力系統と接続されていない離島では、エネルギー需要量、供給量が共に小さく、再エネ導入の不安定性の問題に早い段階で直面すると考えられます。
 完全人工光型の植物工場は気候の影響を受けずに安定的に野菜生産が可能なシステムであり、離島における生鮮野菜の安定供給に適していますが、既存の植物工場は温湿度等の環境を一定に保つことを原則としているため、電源は系統電力に依存しています。
 植物工場で利用する電気を再エネで賄い、その出力変動に対応してディマンド・リスポンス(以下、DR)などを活用しながら、野菜の成長に悪影響を及ぼさない範囲で照明や空調などの電気使用量を調整することができれば、再エネのみで独立稼働しながら、系統運用の安定化にも貢献する、次世代型のゼロエミッション植物工場(以下、ゼロエミ植物工場)が実現可能となります。

【本研究の概要】
 本研究では、宮古島に再エネのみで稼働可能な植物工場実験施設を設置し、DR発動時に想定される様々な条件において、植物工場内の環境変化やその変化による植物への影響についての基礎データを取得・評価するとともに、植物工場側での対策に必要な要素技術を開発します。また特に離島では、電力消費を柔軟に制御することができる需要側機器が、電力系統の需給バランスの維持に協力することが極めて重要となることから、植物の成長への影響を最小化しながら植物工場内の空調、照明、水処理システム等の稼働、負荷を調整する植物工場用のエネルギーマネジメントシステム(PEMS)を開発し、需給調整力をもった小規模植物工場の離島モデルを構築します。さらに電力系統の調整力リソースとしての、ゼロエミ植物工場のポテンシャル評価を行います。
 これにより、DR発動時における植物栽培側と系統側の課題の明確化、および対策技術の基盤を構築するとともに、エネルギーと野菜の地産地消型ビジネスモデルの実用化を推進し、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
  

【将来の社会実装イメージ】
 本研究にて開発するゼロエミ植物工場は、今後離島における再エネ導入率が拡大した場合にも、調整力として機能するとともに、環境負荷の低減、系統運用と食のレジリエンス、エネルギーと食料の地産地消を同時に達成する先導的な事例となることが期待できます。
 また、エネルギーの完全地産地消と廃棄物排出ゼロを実現するゼロエミ植物工場と十分な発電量を得られる環境(日射、風)があれば、地上の任意の場所で安定的に食料生産が可能となります。露地栽培に不適格な気候や水不足など食料生産が困難な地域、野菜の生産や輸送に多大なエネルギーを必要とする地域に対して、ゼロエミ植物工場をパッケージとして提供することにより、我が国のみならず世界の食料情勢への貢献も期待できます。

【本研究に関する問合せ先】
一般財団法人 電力中央研究所
 広報グループ 電話03-3201-5349(広報グループ直通)
株式会社 ネクステムズ
 電話098-943-8658
国立大学法人 佐賀大学
 農学部 電話0952-28-8748

【NEDO先導研究プログラム/新技術先導研究プログラムの概要】
https://www.nedo.go.jp/koubo/CA2_100270.html                           

以 上

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