『濃尾地方の古墳時代』を出版
現在の愛知・岐阜両県を中心とする濃尾地方の古墳時代は、ヤマト政権の成立と経営に深く関与した重要な地域と目されてきました。本書は、20年以上にわたり発掘調査現場と博物館で学芸員として取り組んできた考古学の研究成果から、この濃尾地方の古墳時代像について通史的かつ体系的に解き明かす研究書です。
濃尾地方は古代日本列島の東と西、日本海沿岸と伊勢湾・太平洋沿岸、海と内陸といった各方面をつなぎ、人と文化が往来する地域でした。その古墳文化の様相には、肥前・筑前・筑後地域(佐賀・長崎・福岡県域)との関係もみとめられます。
本書では「古墳」、「中心拠点集落」、「海上世界」、「埴輪」などのテーマ別に、濃尾地方を中心に展開する古墳時代の首長層と人々の活動を描きます。また、継体大王(天皇)擁立や壬申の乱においてヤマト政権の大王(天皇)擁立基盤として活躍した氏族集団・尾張氏の実体にも迫ります。
本書は専門書ですが、考古学による歴史の研究・解釈の方法や地域像の描写を比較的わかりやすく示し、考古学や古代史を学ぶための概説書として、学生や一般の方々に広くお読みいただける一書です。
《書名・出版情報》
『濃尾地方の古墳時代』,東京堂出版,A5判・520ページ,2022年1月25日刊行予定
《本書の目次》
序章 尾張の地域的特色と本書の視角/第Ⅰ章 名古屋台地の首長墳の再発見/第Ⅱ章尾張の首長墳系譜とその変遷/第Ⅲ章 大首長の拠点と外来文化/第Ⅳ章 海上世界の古墳時代/第Ⅴ章 埴輪生産と尾張の地域相/第Ⅵ章 後期古墳の地域性/第Ⅶ章 志段味大塚古墳を探る/第Ⅷ章 古墳研究からみた古代氏族尾張氏
【本件に関する問い合わせ先】
佐賀大学芸術地域デザイン学部 准教授 藤井 康隆
Tel:0952-28-8321 Email:fujiiyas (at) cc.saga-u.ac.jp