成人外傷患者のせん妄予測スコアリングモデルを構築

【研究者】

 代表者:松岡綾華 阪本雄一郎(佐賀大学医学部)

 分担者や協力者:品田公太 三池徹 村川徹 門司晃 飛田修康 祖川倫太郎

 

【研究成果の概要】

 せん妄は意識混濁、幻覚、錯覚、混乱などをきたす病態であり、特に集中治療室で治療中の患者や高齢者に多く発症する。せん妄を発症すると死亡率の上昇、認知機能予後の低下、医療費上昇につながることが知られており、特に日本のような高齢化社会においてはせん妄の予防や治療に関する研究は急務である。これまでの研究では、内科疾患や予定手術を受ける患者に対するせん妄発症予測モデルが開発されてきた。ただし、外傷患者を対象としたせん妄研究は少なかった。外傷はあらゆる年齢層に突然起こり、誰しも経験する可能性がある。そこで今回我々は、外傷患者におけるせん妄予測モデルを開発した。このモデルを使用することで、入院の時点(受傷時点)で、救命センター入院中のせん妄発症を予測することが可能となる。

 

【研究成果の公表媒体(論文や学会など)】

Trauma Surgery and Acute Care Open(欧文誌)

https://tsaco.bmj.com/content/6/1

Pubmed ID:34901468

 

【今後の展開】

 今後は佐賀県内の他の救命センターと共同して予測モデルの外部検証を行う予定である。予測モデルを使用して、せん妄ハイリスクと判定された患者にはせん妄発症を予防するための取り組みを重点的に行ったり、注意深い観察を行ったりすることでせん妄診療の向上につなげたい。せん妄発症することで長期的な認知機能低下を引き起こすことが報告されているため、せん妄予防するための取り組みが、将来的には患者の長期認知機能改善につながる可能性がある。

 

【その他PRしたい特記事項】

 高度救命救急センター、精神科、薬剤部のスタッフで「せん妄研究カンファレンス」を定期開催している。今後も継続し、せん妄診療向上につなげるための知見を明らかにしていきたい。

 

【教員活動DBのリンク先】

松岡 綾華 助教

https://research.dl.saga-u.ac.jp/profile/ja.97b3aca8cbcfdd4d.html

https://researcher.admin.saga-u.ac.jp/details/907 (研究活動ガイド)

 

【本件に関する問い合わせ先】

松岡 綾華

佐賀大学医学部附属病院 高度救命救急センター

849-0937 佐賀県佐賀市鍋島5丁目1番1号 

TEL:0952-34-3160  FAX:0952-34-1061

E-mail:su1980@cc.saga-u.ac.jp

 

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