佐賀市内の湖沼から高付加価値脂肪酸DHA*を産生するイカダモの新種を発見

*DHA: ドコサヘキサエン酸

 

【研究者】

 代表者:農学部 出村幹英

 学部内協力者:野間誠司、林信行

 

【研究成果の概要】

 イカダモは、2つまたは4つの細胞がつながった筏のような形をしており、世界各地の湖沼に植物プランクトンとして普遍的に生息する微細藻類です(写真)。

 

 出村特任准教授のグループは、佐賀市、および(一社)さが藻類バイオマス協議会の協力のもと、佐賀市内の湖沼の微細藻類の多様性調査を進める中で、高付加価値脂肪酸としてサプリメントなどにも添加されるDHA(ドコサヘキサエン酸)を産生する新種のイカダモを発見しました。DHA産生能をもつイカダモの発見は日本初で、発見されたイカダモは、Desmodesmus dohacommunisと命名されました。

 

【研究成果の公表媒体(論文や学会など)】

電子ジャーナルbiomass

https://www.mdpi.com/journal/biomass

論文タイトル:Species and fatty acid diversity of Desmodesmus (Chlorophyta) in a local Japanese area and identification of new docosahexaenoic acid-producing species.

2021, 1(2)105-118

著者:Mikihide Demura, Seiji Noma and Nobuyuki Hayashi

 

【今後の展開】

 イカダモは培養が非常に容易で大量培養も可能な微細藻類です。まずは、DHAがより多く産生される培養条件の検討を行います。その結果に基づき、佐賀市、(一社)さが藻類バイオマス協議会参画の企業と協力し100Lから数トンレベルの大量培養に発展させ、医薬品、サプリメントなど新しい佐賀発の製品開発を目指します。

 

【その他PRしたい特記事項】

 佐賀市は、微細藻類バイオマスの利活用からの新産業創造を推進しています。佐賀大学は学部横断的な研究体制を構築し、共に微細藻類がもつ新しい産業価値の可能性を探求してきました。本研究成果はその一つです。

 佐賀市清掃工場には、日本初の二酸化炭素回収装置があり、周辺では回収した二酸化炭素を利用して微細藻類培養、野菜栽培など企業活動がすでに盛んに行われています。本研究で発見された新種のイカダモの大量培養時にも回収された二酸化炭素の利用を予定しています。佐賀市で発見されたイカダモは、新しい製品の創出ばかりでなく、資源循環の観点からも地域に貢献できると考えられます。

 

【教員活動DBのリンク先】

出村 幹英 特任准教授

https://research.dl.saga-u.ac.jp/profile/ja.4f4464c1116be31d.html

https://researcher.admin.saga-u.ac.jp/details/750(研究活動ガイド)

 

【本件に関する問い合わせ先】

佐賀大学農学部 特任准教授 出村 幹英

e-mail: st8148@cc.saga-u.ac.jp

 

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