ベトナムにおける肝疾患対策推進プロジェクト 「Happy Liver Vietnam supported by Sugi Ryoutaro」への参加報告
医学部附属病院 肝疾患センターの常陸顕悟看護師と医学部内科学 臨床教授の江口有一郎医師(医療法人 ロコメディカル 理事長、ロコメディカル総合研究所 所長)が2024年8月3日に、ベトナム・イエンバイ省において、肝疾患対策推進プロジェクト「Happy Liver Vietnam supported by Sugi Ryoutaro」の一環として、現地住民の肝疾患罹患状況調査を実施しました。
【調査概要】
・対象者:279名の地域住民
・実施内容:フィブロスキャンによる肝臓の硬さと肝臓内の脂肪量の測定、
腹部超音波検査による肝臓の形態、腫瘤の存在などの評価を行った。
(いずれも住民の検査費負担はなし)
【主な調査結果】
1.脂肪肝の高い罹患率
中等度の脂肪化:39.1%、 高度の脂肪化:34.9%
2.進行した肝疾患の発見
高度な線維化:14.3%、MASLD※:44.2%
3.深刻な肝障害の存在
stage 3以上の肝硬変またはそれに近い状態 :MASLD※患者の11.9%、アルコール性肝障害患者の66.7%
※metabolic dysfunction associated steatotic liver disease、現在日本で呼称されている非アルコール性脂肪性肝疾患(non-
alcoholic fatty liver disease: NAFLD)と近似する脂肪肝の状態
4.がんの疑いの発見
肝細胞癌、胆管細胞癌、膵臓癌の疑い:5名
5.B型肝炎、C型肝炎の治療状況
比較的高い水準で治療が実施されている
【今後の課題】
1.山岳地方における肝炎ウイルス検査の普及
2.生活習慣の改善と肝疾患に関する正しい知識の普及
3.脂肪肝およびアルコール性肝障害に対する効果的な啓発活動の実施
本プロジェクトでは、日本の肝疾患対策の経験を活かし、ベトナムの医療体制に適した啓発システムの構築を目指します。今回の調査結果を踏まえ、ベトナムにおける肝疾患対策のさらなる推進と、継続的なサポート体制の確立に取り組んでまいります。
【チームメンバー】
代表:杉 良太郎株式会社杉友
医師・医療支援検査チーム:
<国際人道支援/医療・衛生支援>特定非営利活動法人ピース・ウィンズジャパン
<医師/医療支援>江口 有一郎(佐賀大学医学部内科学 臨床教授、医療法人 ロコメディカル 理事長、ロコメディカル総合研究所 所長)
<看護師/医療支援>佐賀大学肝疾患センター
<機器貸与協力>琉球大学肝疾患センター
<医療機器提供支援/検査協力/広報協力>キャノンメディカルシステムズ株式会社(アジア)
広報啓発支援:エイベックス・アライアンス&パートナーズ株式会社
ベトナム現地コーディネーター等
【参考】在ベトナム日本国大使館 Facebook
https://www.facebook.com/embassyofjapaninvietnam/posts/pfbid0257b7rVLApxAdktFDRmFNq6NewaFqGwUgaK75UaSwMU4on252niMSKMPB3wbTwUc9l
【本件に関する問い合わせ先】
医学部附属病院肝疾患センター
電話 0952-34-3010