【モニター募集のお知らせ】ドライブレコーダーAI解析技術を活用した高齢者安全運転支援の実証測定の第3期を開始

 

【研究者】

代表者:佐賀大学医学部脳神経内科 客員研究員、福岡国際医療福祉大学 教授 堀川悦夫
分担者や協力者:一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(本実証全体の企画・運営)、株式会社デンソー(AI運転診断システムの構築・運用)

【概要】

一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(Toyota Mobility Foundation以下、「TMF」)、株式会社デンソー(以下、「デンソー」)は、高齢者の安全運転支援を目的とした実証測定の開始にあたり、運転データ取得にご協力いただけるモニターを募集します。今回は、第3回となる実証測定となります。

本実証では、モニターにドライブレコーダーを一定期間貸与し、通常通り運転をしていただきます。収集した映像等を、安全運転のためのアドバイスを行うAI運転診断システムで分析し、高齢者の事故リスク低減を実現する方法を検証します。

トヨタ・モビリティ基金とデンソーは、2022年12月より同様の実証実験を愛知県豊田市で推進しており、この度、佐賀地域においても継続した取組みを展開いたします。

佐賀地域においては、佐賀大学医学部 脳神経内科もの忘れ外来を中心としてこれまでに構築されてきた、運転可否判断総合データベースがあり、運転行動を、より詳細に、そして個人特性を考慮した分析や、運転行動に関するフィードバックが可能になると考えられます。

佐賀大医学部での実車運転や運転可否判断データベース、デンソーのAI解析、そしてトヨタ・モビリティ基金の企画・運営によって、日常的運転行動の数量化することができ、高齢者の安全運転支援のモデルを構築して展開していく中で、交通事故防止、モビリティの維持に貢献してまいります。

【背景】

高齢者の自動車運転を取り巻く現状
 近年、交通事故の件数は減少しているものの、75歳以上の高齢ドライバーによる死亡事故の割合は増加傾向にあります。2022年5月には、改正道路交通法が施行され、一定の違反歴のある75歳以上のドライバーには、免許更新時に「運転技能検査(実車試験)」が義務付けられました。

75歳以上の運転者による死亡事故件数と割合

 佐賀県においては、都道府県別10万人当たりの交通事故件数が全国ワースト3(2022年時点)であるとともに、高齢化も全国平均を上回るペースで進んでいる状況です。

佐賀地域に限らず全国的にみても、今後も高齢の免許保有者の顕著な増加が見込まれる中、高齢者が安全に運転するため、そしてモビリティを維持することで生活の質の高いくらしを維持・向上するための支援や仕組みづくりが重要な社会課題となっています。

本実証測定では、佐賀大学医学部客員研究員、福岡国際医療福祉大学医療学部教授 堀川悦夫がこれまで研究してきている高齢者の運転可否判断(下記詳細)の研究成果とAI運転診断システムによる解析結果を分析し、高齢者の方により長く安全に運転を継続していただけるような取組みをしていきたいと考えております。

研究代表者によるこれまでの研究

代表者は、高齢者が安全に運転を継続し質の高い生活を維持できる仕組みづくりを目指し研究に取り組んできました。その研究対象は安全運転支援、運転可否判断、運転リハビリテーション、運転継続が困難となった方のモビリティ維持など広範に渡ります。

運転可否判断においては、もの忘れ外来等で1,200例超の認知機能検査、延べ1,800例超の運転シミュレータ検査、そして約200例の実車運転評価と車両挙動解析を行ってきています。また、蓄積したデータから医療と運転をリンクした希少なデータベースを構築するなど、エビデンスに基づいた運転可否判断指標の確立に取り組んでいます。

【実証内容】

AI運転診断システムの特徴

運転中の車内外カメラ映像やセンサーデータを常時ドライブレコーダー内のSDカードに記録して分析します。

 一般的に普及するサービスでは、ドライブレコーダーのイベント録画機能を使って衝突時の車内外データのみを解析します。一方、本システムでは記録データを全て解析するため、日常のリスクシーンや運転の癖などの潜在的なリスクまで解析が可能です。
解析データをもとにドライバーにフィードバックすることで行動変容を促し、リスクに結びつく運転特性の改善や事故の抑制に働きかけます。

運転評価&アドバイスの内容(抜粋・イメージ)

・総合評価の点数やアドバイス、前月の自分の成績との比較
・参加者自身の危険運転の映像
・交通ルール違反の回数※免許更新時(75歳以上)、実技試験の受験対象となる違反項目を含む
・統計的に事故が多い自宅周りの危険運転の状態 等

佐賀における実証測定の内容

・対象者:佐賀県在住の60歳以上の方(各回20名程度)
・実施時期:2024年11月~2025年3月

参加者は、5カ月間ドライブレコーダーをつけて運転し、運転データを記録します。
AIが映像を解析して、毎月参加者に運転診断結果・アドバイスを提供します。

 

【応募方法】

・応募方法:参加をご希望の方は「本件に関する問い合わせ先」までお問い合わせください。
・募集期間:2024年10月1日(火)~10月15日(火)

※応募の方が多数となった場合には、資材や解析作業の関係で、皆様のご希望に添えない場合があるかもしれませんがご了承のほどお願いいたします。

 

【社会的な意義・今後の展開】

 本実証は、日常的な運転行動を広範囲かつ組織的に取得する国内でも数少ない試みであり、高齢者の運転特性の把握における貴重なデータとなることが期待できます。

 今後は、本実証測定を通じて取得したデータとこれまでに臨床、実験研究で蓄積したデータとの比較分析を行う予定です。具体的には、エビデンスに基づく運転可否判断手法の確立や、認知機能低下と運転行動の関連性発見を目指し研究に取り組みます。

【本件の推進にご協力いただいている皆様】

佐賀トヨペット株式会社
大町自動車学校、大町自動車学校鍋島校
佐賀自動車教習所
佐賀県指定自動車学校協会

 

【本件に関する問い合わせ先】

佐賀大学医学部 脳神経内科 客員研究員、福岡国際医療福祉大学 医療学部 教授 
堀川悦夫

TEL:0952―34―2141 佐賀大学医学部 (担当:岩井・井手)受付時間:9:00-15:00
Mail: ethori@cc.saga-u.ac.jp,

TEL:092−832−1200 福岡国際医療福祉大学 医療学部(代表)受付時間 9:00-17:00
Mail:horikawa@takagigakuen.ac.jp

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