農学研究科の学生が日本藻類学会第49回大会で学生発表賞を受賞

【受賞者】
 佐賀大学大学院農学研究科 植木理子

【受賞した賞の名称】
 日本藻類学会第49回大会 学生発表賞ポスター発表(大型藻)の部

【受賞先】
 日本藻類学会第49回大会(琉球大学)

【受賞した日】
 2025年3月24日

【受賞した研究の題目】
 スサビノリ殻胞子嚢の成熟現象の理解

 ○植木 理子1・吉田 和広2・木村 圭2
 1佐賀大学農学研究科、2佐賀大学農学部

【受賞につながった研究内容】
 ノリ(スサビノリ)養殖は、ノリ糸状体にできる殻胞子嚢(かくほうしのう)を成熟させ、ここから放出された殻胞子を養殖網に付着させることで始まります(この行程を種付けと呼ぶ)。種付け後の胞子は、海で成長して葉状体となり、この葉状体を収穫加工してできるのが我々の食している海苔になります。近年、殻胞子嚢の成熟を、赤色LED光の照射で抑制できる可能性が示されましたが、その成熟抑制過程は未解明でした。そこで本研究では、ノリ殻胞子嚢成熟過程の形態を詳細に観察し、ノリ殻胞子嚢で特に高発現する遺伝子PyKNOXとこの成熟との間に関連があるかを調査しました。殻胞子嚢の成熟誘導時に、白色光照射区、赤色光照射区、白色光から赤色光に切り替えて照射区で培養したところ、赤色光照射区では、形態的に殻胞子嚢成熟が抑制されていることが明らかになりました。また、PyKNOX遺伝子の顕著な発現増加後に、成熟型の殻胞子嚢の割合が増加することも明らかにしました。成熟型の殻胞子嚢への移行は細胞分裂を伴うことを考慮すると、PyKNOXは殻胞子嚢の細胞分裂に関与している可能性があると考えるに至りました。この研究は、ノリの殻胞子の成熟と放出の理解を深化させる、重要な研究と考えています。

【その他PRしたい特記事項】
 ノリの種付けは、海苔養殖のスタートの作業であり、その成否はそのシーズン全体のノリ養殖を左右するような重要な作業です。殻胞子嚢が成熟してから殻胞子を放出するまでの過程を容易に制御できれば、種付け作業の簡易化、安定化に大きく貢献することとなります。本研究では、殻胞子能成熟に関係する仕組みを理解する基礎的な研究ですが、この研究で得られた成果は、新たな殻胞子成熟の制御技術開発に重要な情報になると期待されます。

 

 

【本件に関する問い合わせ先】
 佐賀大学農学部 准教授 木村 圭
 TEL:0952(28)8496
 E-mail:kimurak@cc.saga-u.ac.jp

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