「オール佐賀で挑む!メタボ関連がん撲滅プロジェクト」 佐賀大学医学部附属病院・多久市間でがん対策モデル確立に向けた連携協定を締結
国立大学法人佐賀大学(本部:佐賀市本庄、学長:兒玉浩明)が主体となり推進する「オール佐賀で挑む!メタボ関連がん撲滅プロジェクト」では、佐賀大学医学部附属病院(佐賀市鍋島、病院長:野口満)と佐賀県多久市(市長:横尾俊彦)との間で、「メタボ関連がん撲滅プロジェクト連携協定」を締結しました。協定は、医学部プロジェクトチームの知見を活用し、多久市における生活習慣病対策、特定健診・がん検診のより効率的な運用や最適化、すなわち、がん対策モデルの確立を目指すものです。
■メタボ関連がん撲滅プロジェクトの概要
「メタボ」は、がん発症リスクを高め、転移や広がりを促進することがわかっています。佐賀県は、メタボと判定される方が全国で最も多い部類にあり※1、その影響は、「肝がん」による粗死亡率※2(全国平均の1.3倍)、「前立腺がん」の標準化死亡比(全国ワースト1位)※3と「膵がん」の年齢調整死亡率※4(全国ワースト1位)に表れています。
これらを佐賀県の3大メタボ関連がんと名付け、その撲滅に向けて2022年度に開始したのが「メタボ関連がん撲滅プロジェクト」です。
■プロジェクト活動の方向性
メタボ関連がん撲滅に向かうには、各がんや生活習慣病の頻度やその分布に影響する因子、および、病気の経過や予後に影響を与える因子を、統計学的に分析し同定することが重要です。その確度を上げるには、多くの集団のデータが必要となります。例えば、医療機関が保有するデータ、レセプトデータ、過去の健診データなどが分析に使われます。
また、同定された因子をもとに生活習慣改善の啓発活動を行いリスクの軽減につなげるとともに、特に因子に関わりの深い住民には検診を促し、受診率を高めることが、メタボ関連がん死亡率の低減につながると考えて活動しています。
■多久市との協定締結の理由
市長をはじめ、多久市全体が健康増進・がん対策に熱心に取り組まれていることのほか、多久市ならではの以下の点が、がん対策モデルの早期確立に寄与することから、連携協定の締結に至りました。
✓国保特定健診受診率が、全国2位の60%以上(母数が多いため分析確度が向上)
✓国保特定健診では全国唯一となる血小板数を測定(肝がんや肝硬変のハイリスク者推定可能※5)
✓前立腺がん検診(PSA検診※6)無料クーポンの2025年度配布が既に決定(検診数増が期待)
■協定の内容
1. 医療データ分析
多久市における前立腺がん、肝がん、膵がんに対する医療行為と特定健診/前立腺がん検診の受診有無、検診データ、併存疾患、生活習慣病の受診状況や治療との関連性を検討し、多久市でのより効果的な健診事業、保健指導、がん検診スキームを検討。
2. 特定健診で医療機関受診対象者の受診啓発
特定健診で医療機関受診対象となった住民で、特に肝がんのリスクである脂肪肝、FIB-4 index > 1.3 (65歳以上では2.0)、肝がんや膵がんのリスクである糖尿病の疑いまたは確診の方に対して、これまでの知見を活用したリーフレットを配布し、医療機関受診率向上や医療機関受診内容を検討。
3. 前立腺がん検診受診啓発
PSA検診受診率の更なる向上を目指し、メディアを通じた啓発、リーフレット、クーポン配布による検診受診率の向上を図る。加えて受診推奨による早期診断・治療や医療費に与えるインパクトを検証。
※1 令和2年度・3年度佐賀県メタボ関連状況(国保データベース(KDB);特定健診受診者の都道府県別集計より)
糖尿病の疑い:全国ワースト1位、腹囲:同2位、メタボ予備群:同3位
※2 1年間に10万人あたり何人死亡したかの割合。数字は2023年。
※3 国の死亡率を基準とした各地域における死亡率の比。前立腺がんは2023年。
※4 人口構成が基準人口と同じだったら実現されたであろう死亡率。前立腺がんは2020年、膵がんは2021年。
※5 肝がんや肝硬変のハイリスク者は、年齢・AST・ALT・血小板から算出するFIB-4 Index(肝線維化進行度の評価指数)で推定可能。他市町では血小板数は
特定検診項目でないため算出が不可能。
※6 PSA(前立腺特異抗原)検査。血液中のPSA数値を調べ、数値が高い場合は精密検査へと進む。
【本件に関するお問い合わせ】
多久市役所 健康増進課 健康増進係 堀田・田代
TEL: 0952-75-3355 E-mail: kenkozoshin@city.taku.lg.jp
佐賀大学メディカル広報室 北島・奥田
TEL: 0952-34-3435 E-mail: hpkoho@mail.admin.saga-u.ac.jp