地域医療機関と連携した新たな医師主導治験を開始 ~DCTとシングルIRBを導入した治験プロトコル論文発表~

〇 活動の目的・背景
加齢黄斑変性等による黄斑下出血は、重篤な視機能障害をきたしますが、承認された治療法はありません。
近年、デジタル技術等の活用により、患者さんが臨床試験の実施医療機関に通院する必要性を低減または排除した試験である分
散型臨床試験(DCT)が、患者さん中心の新たな臨床試験の手法として期待されています。また、多施設共同治験の推進や倫理審
査の質向上のため、単一の治験審査委員会(IRB)で審査するシングルIRBの原則化が進められています。
〇 活動の詳細
本研究では、加齢黄斑変性又は網膜細動脈瘤による黄斑下出血の患者さんを対象に、黄斑下出血に対する組織プラスミノーゲン活性化因子製剤(モンテプラーゼ)網膜下投与の有効性及び安全性を検討する単群前後比較多施設共同第Ⅱ相医師主導治験(SACLA試験)を開始しました。九州の9大学病院を中心に、患者さんの紹介元である地域医療機関と連携して、診察及び検査等を分担するDCTモデルを構築しています。また、佐賀大学医学部附属病院IRBで一括審査を行うことにより、迅速な治験開始が可能となっています。
本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「北部九州における分散型臨床試験のための医療機関ネットワーク構築と倫理審査の効率化を目指した研究(研究開発推進ネットワーク事業)」、「全九州における黄斑下出血に対する組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)眼局所治療に関する研究開発(研究開発推進ネットワーク事業)」及び「全九州における電子ワークシートを活用した黄斑下出血に対する組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)の医師主導治験(臨床研究・治験推進研究事業)」の支援を受けました。本研究の試験デザインやDCT運用体制は、国際学術誌であるPLOS Oneにプロトコル論文として掲載され、国際的にも注目されています。
報道解禁日時(Embargo) 2026年7月2日 2 pm ET
論文のリンク先
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0353127
〇 期待される成果/今後の展望
黄斑下出血に対するモンテプラーゼ網膜下投与の有効性・安全性に関する知見を蓄積し、治療法の確立を目指しています。また、DCTにより患者さんの通院負担の軽減や研究参加機会の拡大に繋がること、シングルIRBにより医薬品開発の迅速化に繋がることが期待されます。
【本件に関する問い合わせ先】
佐賀大学医学部附属病院臨床研究センター特任教授 吉田倫子
E-mail: nyoshida@cc.saga-u.ac.jp


