平成20年年頭の挨拶
2008年1月4日
佐賀大学長 長谷川 照
明けましておめでとうございます。
今年は、第一期中期目標の達成を点検・確認するとともに、佐賀大学の大飛躍を目指して助走を始める年です。
助走の第一は、平成19年度までの中期計画の達成状況を点検し、第一期中期目標期間に目標を完全に達成するために万全の対策を講ずることです。とくに教育・研究評価は、現地調査を含めて、この4年間の実績・成果をまとめて評価されるものです。
助走の第二は、佐賀大学中長期ビジョン(2008~2015)を策定することです。昨年の末、学内の構成員を対象に本中長期ビジョン(案)に対するパブリックコメントを求めました。現在、コメントされた多くの意見をビジョンに取り入れる作業を行っているところです。二月の早い時期に佐賀大学中長期ビジョンの成案を学内外に公表します。
助走の第三は、ここ数年大学・高等教育をめぐって世界的な規模で広がっている競争的環境に備えることです。世界的な競争を背景に、地方国立大学は厳しい状況に立たされています。政府は総人件費の削減を求め、経済界は運営費交付金を研究費に傾斜することを望んでいます。また国公私立の大学の間に新たな連携のあり方が模索されています。
さて、助走するにあたって、今日の大学を取り巻く状況について3点述べさせていただきます。
1. 平成20年度の運営費交付金は全国的に厳しく査定されました。本学においても継続または実質的に継続の要求のみが採択されました。国立大学法人の総運営費交付金が1%を大きく上回る削減となる中で、「教職員の資質等の向上支援」が新規要求項目の一つとして取り上げられました。この項目は、FDを中心としたもので、「高等教育の実質化」、「学力の保証」を具体的に実現する要求です。少子化、高等教育のユニバ-サル化のもとで、大学教育の内容の改善・工夫は、「教職員の資質向上」の観点から捉える必要が重視されてきました。大学の実質化は何を意味するのか?学力をどのような形で保障するのか?そのためにどのような教育を行うのか?私は、抜本的な教育改革は教職員の現状に対する意識改革から始まると考えています。
2. 佐賀大学は、教育と研究は不可分なものとして両者を極めることを目指しています。佐賀大学の科学研究費補助金(科研費)ついて、この2年間下降を続けてきましたが、平成20年度の科研費に対する「期待度(応募数、採択数、科研費総額)」は、平成17年度の「期待度」並みに回復しました。さらに、今年は、地方国立大学、公立大学、文系分野を対象とした新たな科研費枠とも言える新学術領域研究、人文社会科学の振興の枠組みが設けられました。また間接経費30%措置する科研費枠の増加も図られ、科研費は研究費に特化した第2運営費交付金と位置づけられます。佐賀大学は、教育と研究を極める大学として、教育組織と同様に研究においても組織的な整備を図る必要があると考えています。本学のすべての教員が科研費に応募することを期待しています。
3. 大学の第三の使命である社会貢献は、教育と研究の成果を社会に還元するだけでなく社会貢献そのものが教育と研究の対象でもあります。大学は社会の埒外ではなく両者は共に発展を続ける関係にあり、この関係は今後ますます深くそして地域から国際社会まで多様な広がりを持つでしょう。大学に入学を希望する志願者は、卒業後地域社会あるいは国際社会で活躍する能力を身に付けることを期待しています。21世紀、大学を選択する範囲は佐賀大学から世界の諸国の大学にまで広がって行きます。社会に貢献する能力を教授することが大学の国際的競争力に直結しています。
大学を取り巻く厳しい状況を考えると、助走期間を長くとることは許されません。助走の第一は3月末まで、第二、第三の助走期間は9月末までと考えています。とくに中長期ビジョンに対して早急に共通の認識を図り、ビジョンの実現に向けて具体的な内容の検討とそれに相応しい制度の設計に着手しなければなりません。ビジョンは、第2期中期目標・中期計画の指針となるからです。
本年は中期目標の達成の観点からは苦しい年ですが、中長期ビジョンを完成する年と考えれば、新しい展望の開ける年でも有ります。役職員の皆さん、一致協力して明日の扉を開きましょう。
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