平成20年年末の挨拶
平成20年12月26日
佐賀大学長 長谷川 照
本年は、年頭の挨拶で述べましたように、中期目標の達成を確かなものとしながら次期中期目標の準備をする国立大学法人にとって重要であり且つ認証評価を来年に迎える大切な一年でした。 ここ数年、国立大学法人の財政的基盤である運営費交付金について、1%減額のル-ルを超えて、平成19年度は1.4%、平成20年度は1.9%と減額が増加し、平成21年度は3%の減額を覚悟しながら運営費交付金の行方を見守ってきました。
学生中心の大学として佐賀大学へ入学を希望する志願者数の動向は本学の将来を占う基礎的な数の一つです。昨年から今年にかけて様々な新しい取り組みを試みてきました。その成果は、平成20年度の本学志願者の増加やオ-プンキャンパスの参加数の著しい増加に現れたとものと新しい取り組みに自信を持つことが出来ました。
一方これらの努力を水泡に帰すセクシャルハラスメントの再発を許しましたが、適切な法整備のもと徹底的な審議を行い、この難局を乗り越えることが出来ました。また、この不祥事を契機に男女共同参画事業の取り組みを始めました。 大変な一年でありましたが、役職員一同の結束でなんとか無事に年末を迎えられます。ご苦労さまでした。
1. 第1期中期目標の総括について
(1) 法人制度の整備
総括の観点は大学のあるべき姿に沿って行う必要があります。そのために大学憲章を制定し、この憲章に沿った佐賀大学中長期ビジョンの策定とその制度設計を行ってきました。これらを制定、策定、設計の段階に応じて機動的・戦略的に法人を運営する制度(学長のリ-ダ-シップを保証する制度)を整備してきました。国立大学法人評価委員会のヒアリングに際してこの4年間最も苦労したことは何かとの評価委員長の問いに私は佐賀大学の中長期ビジョンを策定することであったと答えました。
(2) 「佐賀の大学」の検証
本学は、統合と法人化のメリットを生かし、国からの財政支援を活用しながら、学生中心の大学に相応しい教育の提供(7事業)と地域・国際社会に開かれた特色ある研究・社会活動(7事業)を展開してきました。とくに、附属病院は、教育と先端的医療科学の研究を行う特定機能病院体制を実現し、佐賀県唯一の医療人養成機関として地域包括医療の中核的役割を果たしてきました。
(3) 自然との共生
佐賀大学は、自然との共生のために教育と研究を通して地域及び社会に貢献する基本理念(佐賀大学憲章)と6つの行動指針からなる環境方針を定め、この方針に基づき「EA21」の認証を取得し登録しました。国立大学として全学的に認証取得・登録した最初の大学という栄誉を得ました。
(4) 今後の課題
大学教育の実質化とは何か?そのためにどのような教育を行うのか?教員中心から学生中心の抜本的教育改革が必要です。また、21世紀に入り学生の大学選択の範囲は地方大学から世界の国々の大学にまで及んでいます。地域社会、国際社会で活躍できる能力を育成することが国際的競争力に直結します。 大学の教育と研究は不可分なものであり、研究することの魅力と研究成果を学生の教育に活かすために、教育活動と同様に研究においても組織的な活動が必要です。 大学は、社会の外にあるのではなく、その中にあって共に発展を続ける関係にあります。この関係は今後ますます密接となり、教育・研究活動は地域社会から国際社会まで多様な広がりを見せると推測されます。21世紀の知的基盤社会を担う大学への期待に応えなければなりません。
2. 第2期中期目標・計画の作成について
第2期中期目標・計画作成の観点は、第1期中期目標の総括を踏まえて佐賀大学中長期ビジョンを指針とすること及び国立大学としての佐賀大学の特性、機能を明確にすることです。 まず、どのような人材を育成するか? そのために、国公私の役割分担を明確にし、世界にも通用する教育を提供することです。研究については、全国的な共同利用あるいは拠点形成を通じて世界に通用する、佐賀大学ならではのオンリ-ワンの研究を掲げることです。さらに、これらの教育と研究の成果を地域に還元して佐賀の知的拠点となることです。
3. 平成21年度の概算要求の結果(運営費交付金)
心配していた運営費交付金の3%減額(財務省原案)は復活折衝により、2年ぶりに交付金配分ル-ルに従う1%減額にもどりました。本学は0.5%の増額を獲得しました。新生児集中治療体制、医師養成、大学病院の機能の整備など医療関係をはじめとする様々な社会問題に対して大学の速やかな対応が期待されたものと思われます。
本学においては、医療関係の増額を含めて21年度の概算要求のほぼ満額の結果が得られました。目的積立金の活用を併用することによって、施設、設備に関して永年の本学の懸案事項を解決できる状況になっています。平成22年度より始まる第2期中期目標に向けて本学の環境整備は充実されるものと期待しています。
来年は、第1期中期目標を完全に達成するとともに、「佐賀大学の将来ビジョン」に向かって飛躍する準備の年であります。中期計画を実施することが喜びとなる中期目標を定めたいと願っています。
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