平成19年度佐賀大学学位記授与式式辞
文化教育学部 | 259名 |
---|---|
経済学部 | 277名 |
医学部 | 153名 |
理工学部 | 443名 |
農学部 | 154名 |
計 | 1,286名 |
教育学研究科 | 45名 |
---|---|
経済学研究科 | 14名 |
医学研究科 | 36名 |
工学系研究科 | 201名 |
農学研究科 | 34名 |
計 | 330名 |
医学研究科 | 4名 |
---|---|
工学系研究科 | 15名 |
計 | 19名 |
学位を授与された皆さん、おめでとうございます。皆さんは、それぞれ目標とした学位の取得に精励し努力され本日の学位記授与式を迎えました。高度な知識と技術の修得に加えて人間として大きく成長されたことに深く敬意を表します。この会場は皆さんの喜びと充足感で満ち溢れています。本日は、皆さんのこれまでの人生において最も記念となる一日となるでしょう。
また、ご参列いただいています保護者の方々、学位取得に向けて常に支援を続けてこられた支援者の方々、今日の日を無事に迎えられ長い間のご苦労が報われたものと推察いたします。おめでとうございます。
私ども佐賀大学の役職員は、学位を取得した学生の皆さんを誇りに思うと共に保護者、支援者の皆様の期待に応えることが出来たものと安堵しております。まさに、教育に携わるもののみに与えられる教育冥利を実感しているところです。
本日、学士の学位を授与された皆さんは、法人化された佐賀大学を卒業する第1期生であります。法人化の当時、国立大学法人佐賀大学の理念について、私は、丁度4年前の学位記授与式の式辞のなかで次のように、「本日学位を授与された皆さんはそれぞれの学部あるいは研究科で専門的な知識と技術を学んできました。しかし、これから皆さんが取り組むテ-マは、エネルギ-、物質、情報、環境、生命、教育、福祉、健康等であり、いずれも複雑で複合的な問題であります。文系、理系を問わず多くの学問を動員して総合的に解決を図らなければなりません。このことは、旧佐賀大学と佐賀医科大学が統合して誕生した新生佐賀大学の理念であります。新佐賀大学の理念は、世界を俯瞰する多元的・複眼的な視点に立ち、人類が自然と調和のとれた営みを続けるために「知」の継承と創造を担う役割と責任を果たすものである」と述べています。
今日、佐賀大学の理念は平成18年3月に宣言された佐賀大学憲章に明確に述べられています。この4年間、本学は佐賀大学憲章に則って教育と研究に励んできました。佐賀大学は、皆さんが実社会で取り組むあらゆる分野で本学の理念を具現化して社会を先導していただけるものと確信しています。卒業にあたり、改めて本学の大学憲章の意味するところを味わってください。
本年の世界首脳会議G8サミットは我が国の北海道洞爺湖で開催されます。そこで取り上げられる重要にして且つ緊急なテ-マは地球の環境問題、とくに近年の地球温暖化に対する対策であります。報道によれば、政府は温暖化対策について各国間の調整に苦心しているようです。
昨年の11月、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は第4次評価報告書を公表しました。IPCCは、人類の活動に起因する気候の変化、その影響、そして緩和の方策に関し、科学的、技術的、社会経済的な見地から包括的な評価を行っているところです。第4次の報告書は、温室効果ガスCO2の排出による気温の急激な上昇によって、このまま続けば人類の生存基盤に多大な影響を与えることを警告しています。
我が国の国立環境研究所によって1990年以来調査されてきた「日本の温室効果ガスCO2排出量デ-タ」によりますと、産業界・工業プロセスからの排出量は年々削減されてきています。企業等産業界は、環境問題の深刻化、市民の環境意識の高まりを踏まえ、企業が社会から支持され生き残るために、環境への取り組みの重要性の認識を始めたと言えるでしょう。一方、家庭用および通常業務からの排出量、廃棄物処理による排出量は、むしろ増加する傾向を示しています。日本人一人ひとりの認識不足は今後の大きな課題となっています。我々自身の日常生活の有り様が問われています。
ここ数年、佐賀大学は、市民や学生参画の「環境フォ-ラム」をはじめとする地域貢献授業をすすめてきました。また「有明海総合研究プロジェクト・低平地研究センタ-・海浜台地生物環境研究センタ-」を中心に有明海・玄海の環境保全・回復のために集中的な研究に取り組んできました。
皆さんは、環境の保全・回復についての知識と技術を学び実践する大学生活を送ってきました。皆さんは日常生活においても職場においても率先して環境の保全、改善に努力してくださることを期待しています。
21世紀は、「人」、「物」、「知財」を始めあらゆるものが地球規模で流動化する世紀であると考えます。21世紀の社会は、国際化社会と云う国と国の交流から、地球全体にまたがる個人と個人の交流を基礎とするグロ-バル化社会へと向かっています。グロ-バル化社会は、「国とは何かを問う」人類が今まで経験したことのない未知の社会です。「国や企業の組織が個人を守るのではなく、強い個人が組織をつくる」観点が必要となるでしょう。 このような21世紀の社会を生きる皆さんは、自らを律して自立できる人間であることを求められます。二つの自律と自立は、高度な知識と技術を備え、豊かな文化のもとで育まれた人間としての総合力によって保証されます。皆さんは、グロ-バル化社会を背景に、それぞれの地域社会のもつ多様な価値観を認め合い、平和な国際社会を創り上げる主人公となることを期待しています。
明日から、皆さんは、グロ-バル化社会で様々な困難にぶつかり苦闘の連続となるしょう。社会での実体験は皆さんを予想以上に成長させてくれるはずです。それでもまだ力不足を感じたら、佐賀大学に戻ってきてください。佐賀大学は、何時でも皆さんを「知の故郷」として受け入れる用意をしています。
平成20年3月24日
佐賀大学長 長谷川 照
このページのトップへ