平成21年度佐賀大学学位記授与式式辞
今日、ここに、学士、修士、博士の学位を授与された皆さん、佐賀大学を代表してお祝いと御礼を申し上げます。本当におめでとうございます。今日のこの日を迎えることになった皆さんは、入学以来真摯に勉学に励み、様々な困難に打ち勝ち、本日学位を授与されました。特に母国を離れ本学で学ばれた留学生の皆さんは、言葉や習慣の異なった困難な環境の中で研鑽され、見事学位を取得されたことに心からの敬意と感謝の意を表します。直接研究を指導された教員の皆様をはじめご支援いただきました教職員の皆様に心よりの感謝と御礼を申し上げます。
また、本日ご参列いただいておりますご家族をはじめ関係者の皆様はもとより、ご支援いただいた全ての皆様に、今日の学位記授与式を無事迎えられましたことを心よりお祝い申し上げます。長年のご苦労が報いられたものと推察申し上げます。本当におめでとうございます
大学の使命は学術の中心として、高い教養と専門能力を培い、深く真理を探求して新たな知見を創造し、社会の発展に寄与することです。佐賀大学では、「基礎的及び専門的な知識と技能に基づいて課題を発見し解決する能力を培い、個人として生涯にわたって成長し、社会の持続的発展を支える人材を養成する。」ことを理念とし、教育と様々な学生支援に取り組んでまいりました。必ずしも十分でなかったかもしれませんが、私ども佐賀大学の教職員は、学位を取得した学生の皆さんを誇りに思うと共に保護者、支援者の皆様の期待に応えることが出来たものと安堵しております。一方で、思いもよらぬ不幸な出来事や不祥事があり、皆さんやご家族、関係の皆様にご迷惑やご心配をおかけしましたことをお詫び申し上げます。
一方、最近の世界的不況のあおりを受けて、これまでにない就職難となっており、未だに就職先が決まっていない卒業生がおられることは大学にとっても大きな問題と受け止めています。これからもできる限りの支援を行う予定ですので、卒業後も相談していただきたいと思います。
ところで、現代社会において私たちはグローバルな問題から身近な地域に関わる問題まで、多くの複雑で困難な課題に直面しています。世界的には環境やエネルギー問題、国際的な政治・経済問題、宗教や民族間の地域紛争、貧困など社会の格差の問題、人口問題とそれに伴う食糧や居住環境の問題、少子高齢化や医療・福祉の問題、科学技術の発展と倫理の問題、文化や伝統の継承発展など、実に多岐にわたって多くの課題が待ち受けています。
この1年間に限り振り返ってみましても、世界的経済不況、食や電化製品・自動車などの安全に関する問題が世間の関心を多く集めました。わが国では歴史的な政権交代があり、経済政策や社会保障、安全保障などの問題が取り上げられてきました。また、身近なところでは新型インフルエンザにより大学祭の中止が余儀なくされ、本年の入学試験では追試験が実施される事態となりました。先端科学技術や高度な経済政策が必ずしも安心安全で持続可能な社会の構築に繋がらない一面を見せた1年間だったかもしれません。しかしながら、これらの課題を解決し、社会の持続的な発展を支えていくのは他ならぬ皆さんです。
佐賀大学で学び、それぞれの学位を授与された皆さんは社会に出ても、大学院に進学しても佐賀大学で切磋琢磨したことを礎として、生涯にわたって学ぶ姿勢を忘れずに精進することをお願いします。さて、皆さんは佐賀大学に在学中、人生の友、人生の師あるいは人生の書といえるものにどれくらい出会ったでしょうか。今は気付かなくても何年後かに佐賀大学で得たものが、皆さんの心の支えになっているのではないでしょうか。今日の複雑で高度化された社会の中で自分を見失うことなく、これからも高い教養と見識を涵養し、社会の一員として絶えず人間力を磨いていってほしいと思います。
皆さんの母校である佐賀大学も教職員と残された在学生一同力を合わせて、皆さんに愛される母校となるように努めてまいります。これからは同窓会の一員として佐賀大学をそして後輩たちをよろしくお願い申し上げます。
最後に、佐賀大学で学んだことを誇りと糧として、皆さんがこれまで培ってきた知識や技能を活かして、世界やそれぞれの国のために、そして地域社会のために貢献していただくことをお願いして学位記授与の式辞とさせていただきます。
本日は本当におめでとうございました。
平成22年3月24日
佐賀大学長 佛淵 孝夫
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