平成22年度佐賀大学学位記授与式 式辞
学士、修士、博士の学位を授与された皆さん、佐賀大学を代表してお祝いと御礼を申し上げます。本当におめでとうございました。今日のこの日を迎えることになった皆さんは、入学以来、真摯に勉学に励み、様々な困難に打ち勝ち、本日学位を授与されました。
特に、母国を離れ本学で学ばれた留学生の皆さんは、言葉や習慣の異なった困難な環境の中で研鑽され、見事学位を取得されたことに敬意と感謝の意を表します。直接研究を指導された教員の皆様をはじめ、ご支援いただきました教職員の皆様に心よりの感謝と御礼を申し上げます。
また、本日ご参列いただいておりますご家族をはじめ関係者の皆様はもとより、ご支援いただいた全ての皆様に、今日の学位記授与式を無事迎えられましたことを心よりお祝い申し上げます。長年のご苦労が報いられたものと推察申し上げます。本当におめでとうございます。
さて、今月11日に起こりました東北関東大震災では地震と津波による壊滅的な被害、万余の犠牲者、数十万人の避難者、さらには原子力発電所の危機的状況も今だに続いています。このような国難ともいうべき状況の中、私たち佐賀大学では、今ここに学位記授与式が挙行されています。いまここにいる我々の全てが万余の犠牲者や壊滅的被害を受けた東北関東の町々に思いを巡らせたとき、犠牲者のご冥福を祈るとともに一日も早い復興を願わずにはおれません。
大学の使命は学術の中心として、高い教養と専門能力を培い、深く真理を探求して新たな知見を創造し、社会の発展に寄与することです。佐賀大学では、これらを踏まえて質の高い教育と様々な学生支援に取り組んでまいりました。必ずしも十分でなかったかもしれませんが、私ども佐賀大学の教職員は、学位を取得した学生の皆さんを誇りに思います。
しかしながら、最近の世界的不況のあおりを受けて、これまでにない就職難となっており、未だに就職先が決まっていない卒業生がおられることは、大学にとっても大きな問題と受け止めています。これからもできる限りの支援を行いますので、卒業後も相談していただきたいと思います。
ところで、現代社会において私たちはグローバルな問題から身近な地域に関わる問題まで、多くの複雑で困難な課題に直面しています。世界的には環境やエネルギー問題、国際的な政治、経済の問題、宗教や民族間の地域紛争、貧困など社会の格差の問題、人口問題とそれに伴う食糧や居住環境の問題、少子高齢化や医療・福祉の問題、科学技術の発展と倫理の問題、文化や伝統の継承発展など多岐にわたって多くの課題が待ち受けています。
この度の東北関東大震災では、自然の脅威の前に人類は無力であることと命の尊さを改めて思い知らされました。佐賀大学ではいち早く学生、教職員の皆さんが主体的に支援活動を開始し、大学としても様々な取り組みを行っています。国内はもとより世界中の国々から暖かい支援の手が差し伸べられています。
グローバル化した世界では、それぞれの地域や国だけで豊かで持続可能な社会を構築することはもはや不可能です。また、先端科学技術や高度な経済政策が必ずしも安心安全で持続可能な社会の構築に繋がらない面があることも事実です。しかしながら、これらの困難に立ち向かい克服し、社会の持続的な発展を支えていくのは他ならぬ皆さんです。
佐賀大学で学び、それぞれの学位を授与された皆さん一人ひとりが社会に出ても、あるいは大学院に進学しても佐賀大学で切磋琢磨したことを礎として、生涯にわたって学ぶ姿勢を忘れずに精進することをお願いします。今日の複雑で高度化された社会の中で自分を見失うことなく、これからも高い教養と見識を涵養し、社会の一員として絶えず人間力を磨いていってほしいと思います。
皆さんの母校である佐賀大学も教職員と残された在学生一同力を合わせて、皆さんに愛される母校となるように努めてまいります。これからも同窓会の一員として佐賀大学をそして後輩たちをよろしくお願い申し上げます。
最後に、佐賀大学で学んだことを誇りと糧として、皆さんがこれまで培ってきた知識や技能を活かして、様々な困難に打ち勝って、世界やそれぞれの国のために、そして地域社会のために貢献していただくことをお願いして、学位授与の式辞とさせていただきます。
平成23年3月24日
国立大学法人佐賀大学長 佛淵 孝夫
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