平成23年度佐賀大学学位記授与式式辞
学士、修士、博士の学位を授与された皆さん、佐賀大学を代表してお祝いと御礼を申し上げます。本当におめでとうございました。今日のこの日を迎えることになった皆さんは、入学以来真摯に勉学に励み、様々な困難に打ち勝ち、本日学位を授与されました。
特に母国を離れ本学で学ばれた留学生の皆さんは、言葉や習慣の異なった困難な環境の中で研鑽され、見事学位を取得されたことに敬意と感謝の意を表します。直接研究を指導された教員の皆様をはじめご支援いただきました教職員の皆様に心よりの感謝と御礼を申し上げます。
また、本日ご参列いただいておりますご家族をはじめ関係者の皆様はもとより、ご支援いただいた全ての皆様に、今日の学位記授与式を無事迎えられましたことを心よりお祝い申し上げます。長年のご苦労が報いられたものと推察申し上げます。本当におめでとうございます。
さて、昨年3月11日に発生したました東日本大震災では地震と津波による壊滅的な被害、約1万9千人に上る犠牲者・行方不明者を数え、原発事故の影響により未だ約34万人が避難生活を続けています。このように未だ大きな爪痕を残したこの大震災はようやく復興が始まろうとしています。
このような国難ともいうべき状況の中、私たち佐賀大学では、今ここに学位記授与式が挙行されています。私たちの全てが犠牲者や被害を受けた東日本の町々に思いを巡らせたとき、犠牲者のご冥福を祈るとともに一日も早い復興を願わずにはおられません。
大学の使命は学術の中心として、高い教養と専門能力を培い、深く真理を探求して新たな知見を創造し、社会の発展に寄与することです。佐賀大学では、これらを踏まえて質の高い教育と様々な学生支援に取り組んでまいりました。必ずしも十分でなかったかもしれませんが、私ども佐賀大学の教職員は、学位を取得した学生の皆さんを誇りに思います。
今日の急激なグローバル化や少子高齢化などは我が国の社会活力の低下や経済環境の低迷、様々な格差や人間関係の希薄化などをもたらしています。このような閉塞感に満ちた現代であるがゆえに、皆さんには様々な困難に立ち向かいそれらを克服し、社会の持続的な発展を支えていくことを期待します。中国の古典に「旧安を恃むことなかれ、初難を憚ることなかれ」というのがあります。今まで良かったものがいつまでも良いとは限らない。そこで、新しい挑戦をしなければならないが、すぐに結果が付いてこなくとも諦めてはいけないというような意味です。
そのためにもこれからも高い教養と見識を涵養し、社会の一員として絶えず人間力を磨いて様々なことに挑戦してほしいと思います。
皆さんの母校である佐賀大学も教職員と残された在学生一同力を合わせて、皆さんに愛される母校となるように努めてまいります。これからは、同窓会の一員として佐賀大学をそして後輩たちをよろしくお願い申し上げます。
最後に、佐賀大学で学んだことを誇りと糧として、皆さんがこれまで培ってきた知識や技能を活かして、様々な困難に打ち勝って、世界やそれぞれの国のために、そして地域社会のために貢献していただくことを重ねてお願いして学位授与の式辞とさせていただきます。
平成24年3月23日
国立大学法人佐賀大学長 佛淵 孝夫