国立大学法人佐賀大学

はじめて佐賀大学に入学された新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。また、引き続き大学院に進学され、さらに専門知識を深めようと志す皆さんに敬意とお祝いを申し上げます。

また、ご臨席いただいているご両親・保護者の皆さん、おめでとうございます。本日は、皆さんが大切に育ててきた子供たちが、親離れして青年期を迎える記念すべき一日です。佐賀大学は学生の資質・能力を最大限に引き出します。ご安心ください。

新入生の皆さん、大学生になったご気分は如何ですか。大きなキャンパスは皆さんに開放感を与えてくれるでしょう。その大きなキャンパスの中で生活している学生や教員、職員はそれぞれの立場・役割を超えて、人と人の付き合いをしている、そんな雰囲気を感じてください。私も新入生の頃味わったこの自由に溢れた雰囲気を今でも思い出します。佐賀大学はこの自由な雰囲気の中で、教育と研究の進展に挑戦する精神を育み、社会の発展に貢献する姿勢を貫いています。皆さんもまた、この精神と姿勢を堅持し、目的を持って活き活きと大学生活を送ってください。

佐賀大学は、皆さん一人ひとりの持つ個性と感性を大切にしながら知性を磨く教育プログラムを提供します。個性は自らの価値を表現するものであり、感性は受けとめたあらゆるものに反応するイメージ（想像）の豊かさを示すものです。知性とは学んだ知識を幅広く活用する知恵です。個性はその知性によって独創性を引き出し、独創性は豊かな感性と相まってそのイメージ力をさらに強め、「ひらめき」となって現れるでしょう。知性はプロフェッショナルを育て、個性と感性はリーダーシップに繋がるものと思っています。本学は、教育先導大学として、際立つ個性と豊かな知性・感性を身に付け、現代社会の動向を的確に捉えてリーダーシップを発揮するプロフェッショナルを育成します。

現代社会は二つの大きな課題を抱えています。一つは地球の温暖化をはじめ地球環境の変化に起因する、エネルギ－、食糧、水、新感染症の発生などへの対策、もう一つは経済の世界的な同時不況とともに社会的な不安もまた同時に世界的規模で広がっている現状です。日本も例外ではなく、長期的な医療不安をはじめ雇用・年金問題など若者から高齢者まで安心して生活できる社会とは云えなくなっています。課題の解決のために大学の役割も次第に大きくなってきました。個々の問題に対して応急的な対策を図る役割を果たすことは云うまでもなく、安全で安心な社会を創り上げる骨太な構想を提案する必要があります。21世紀は知的基盤社会が到来すると言われています。知的基盤社会とはどのような社会であるのか、誰も具体的な姿をイメージ出来ません。この課題はすべての学問分野が総力をあげて基礎研究から始めなければならない大学の仕事と考えます。この二つの大きな課題を忘れずに勉学と研究に励んでください。

21世紀の社会は、国と国の交流を基本単位とする国際化社会から、個人と個人の交流を基礎とするグロ－バルな社会へと向かっています。佐賀大学は、120を超える海外の大学と学術・教育交流協定を結び、全学生の5％に近いおよそ350名の留学生が在籍しています。特に、１年間の短期留学ですが、協定大学との交換留学生制度を利用して、毎年30名の留学生が、佐賀大学に在籍して異文化交流を将来の糧としています。一方、留学を希望する日本の学生は極めて少ないのが現状です。皆さんもこの制度を利用して積極的に海外の大学に留学して国際的な感覚を身に付け、国際的舞台にデビューする準備をしてください。佐賀大学はこれまでの国際交流の実績を基礎にして、アジアを中心に教育研究水準を相互に高めるために、九州・環黄海沿岸に位置する大学の間で相互留学プログラムのネットワークを構築する計画を練っています。

最後に、昨年の入学式においても述べましたが、佐賀大学は環境マネジメント「エコアクション２１」の認証を取得・登録しています。国立大学法人として全学的な認証取得・登録した最初の大学です。エコアクション２１は、エネルギ－や水の節約、廃棄物量の削減についてISO14001と同様に数値目標を設定するとともに、環境マインドを持った学生の育成、環境技術の研究・開発など独自の目標を掲げたものです。エコアクション２１学生委員会も発足しています。皆さんも環境と安全に配慮した快適なキャンパスづくりに参加して、佐賀大学から安全で安心な社会のモデルを提案していきましょう。

平成21年4月7日
佐賀大学長  長谷川 照

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