アトピー性皮膚炎の痒みの原因を解明するとともに、その阻害剤を発見

 

【研究者】
 代表者:医学部 出原 賢治
 分担者:医学部 布村 聡
 協力者:富山大学医学部 北島 勲、富山大学薬学部 歌 大介

【研究成果の概要】
 アトピー性皮膚炎は強い痒みを示すことが特徴であり、痒みは日常生活において大きな支障となるとともにアトピー性皮膚炎の悪化の原因ともなるため、その原因の解明と治療薬の開発が緊急の課題となっています。
 我々は、強い痒みを示すアトピー性皮膚炎モデルマウス(FADSマウス)を数年前に開発し、アトピー性皮膚炎における痒みの原因の探究を可能としました。
 今回、アトピー性皮膚炎患者の皮膚組織で作られるペリオスチンが、知覚神経に作用して痒みを引き起こすとともに、その阻害剤が痒みを著明に改善することを、FADSマウスを用いて見出しました。
 具体的には、FADSマウスにおいてペリオスチン遺伝子を生まれつき欠損させると、著明に痒みが改善するとともに、ペリオスチン阻害剤(CP4715)をFADSマウスに投与すると、痒みが改善しました。
 今後、CP4715をアトピー性皮膚炎の痒みに対する治療薬として開発することにより、痒みで苦しんでいるアトピー性皮膚炎患者にとって福音となると考えられます。

【研究成果の公表媒体(論文や学会など)】
Cell Reports誌に掲載(日本時間2023年1月7日午前1時オンライン版で発表)

【今後の展開】
※実用化の見通しや応用研究での課題など
アトピー性皮膚炎に対するCP4715の効果については現在特許申請中
今後CP4715をアトピー性皮膚炎の治療薬として開発を推進予定

【その他PRしたい特記事項】
CP4715については製薬企業が薬剤として開発を進めた化合物であり、安全性についてはある程度確認済みであり、その情報を活かして開発期間の短縮が可能

【教員活動DBのリンク先】
https://www.biomol.med.saga-u.ac.jp/medbiochem/index.php

※資料はこちらからご確認ください。

 

【本件に関する問い合わせ先】
 研究代表者:出原 賢治(kizuhara@cc.saga-u.ac.jp)
 当該研究に関する専門家としての問い合わせ先:
 1)長崎大学皮膚科学教授 室田 浩之先生
 2)九州大学皮膚科学教授 中原 剛士先生
 3)順天堂大学環境医学研究所所長 高森 健二先生

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