国内初!純国産手術支援ロボット「hinotori」による噴門側胃切除

【概要】
 われわれ佐賀大学医学部一般・消化器外科は、長年にわたり日本の内視鏡下手術を牽引し、特に近年ではロボット支援手術のトップランナーとして国内外にその治療成績を発信し、ロボット支援手術の保険収載や適応拡大に大きく貢献して参りました。

 現状の消化器科領域のロボット支援手術は、米国インテュイティヴ・サージカル社が開発した手術用ロボット(da Vinci)の使用が主流となっていますが、2021年4月に泌尿器科領域を対象に純国産手術支援ロボットである「hinotori」(図1)が発売され、この度2022年10月11日にの消化器科領域への製造販売承認適応領域拡大がなされました。当教室教授の能城はロボット支援手術の第一人者であり、自身も「hinotori」の消化器科領域への適応拡大に尽力して参りました。

 今回、1月27日に九州初となる「hinotori」による消化器科領域手術を行い、さらにその術式である“噴門側胃切除”に関しては、「hinotori」による国内初の執刀例となりました。“噴門側胃切除”は高度の技術を要する胃切除の一つ(図2)ですが、消化器外科領域の国際A級手術支援ロボット専門医である執刀医の能城、また、これまで築き上げてきたロボット支援手術チームの手によって安全な手術の完遂に成功しました。

 純国産手術支援ロボット「hinotori」の強みは、コンパクトかつ冗長軸を持つアームの「操作性の高さ」、手術における「操作スペースの確保のしやすさ」などが挙げられます。そして何より、“国産”という点で我が国ならではの細やかな気配りが随所にみられること、さらに海外製とは異なり、現場の声が直ちに反映されやすいなどの効果が期待されています。

 「hinotori」は2020年8月以降、泌尿器科領域で導入されましたが、消化器科領域では藤田医科大学、京都大学、そして佐賀大学とごく一部の施設でのみ始動しております。今回の当教室での国内初「hinotori」による“噴門側胃切除”の成功は、今後の国内における「hinotori」による消化器科領域ロボット支援手術の拡大に大きな影響を与え、引いては国内のロボット支援手術のさらなる発展をもたらすものであると自負しております。今後、九州圏内のみならず、日本の「hinotori」による消化器科領域ロボット支援手術を牽引し、世界にその高度な医療技術を発信していきたいと考えております。そして、患者様に対してより低侵襲で、かつより高いレベルの手術を提供できるよう努力して参ります。

 

【本件に関する問い合わせ先】
 佐賀大学医学部一般・消化器外科教授 能城浩和
 Tel:0952-34-2349 FAX:0952-34-2019
 E-mail:noshiro@cc.saga-u.ac.jp

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